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仮設風向計/詩集その3

菜の花畑

作者: 浅黄悠

 丘の上の菜の花畑を

 八つの子が走っているよ

 菜の花畑のうえの

 真昼の星は

 菜の花畑の向こうの

 海を見ているよ


 レドリバーを散歩させて

 帽子を被った青年が

 花びらを散らすよ


 すずしい風が吹くと

 菜の花畑にも

 丘のしたの海にも

 しんと漣がたって

 高い声空に響かせながら

 飛ばされた帽子を

 子どもがおいかけるよ


 笑い声とすれ違うのは

 白いちょうちょの群れ

 飛び魚のように

 花から出たり隠れたり

 嬉しそうにしているよ


 菜の花は子供たちに手を振り

 ちょうちょに追い風送り

 夕靄のなかまどろみ始めるよ

 明日も明後日もきっと花びよりで

 だれかが遊びに来るよ、ってね


 菜の花畑めがけて

 流れ星がいくつもふってくるよ

 でも誰にも気が付かれない

 太陽の光がまだ強すぎて

 菜の花の黄が強すぎて


 流れ星は菜の花の黄にあこがれて

 身を削りながら手をのばすけれど

 星と花畑とは何キロも離れているのでした

 星の種はひっそりと海に落ちて

 春の丘を走る少年の夢を見ながら

 きっと幾億年の眠りにつくよ

 星たちが最後にこぼした涙は

 海の水をまた少ししょっぱくした


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