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月の微笑み、春を想う風

作者: 逢乃 雫

春を想いながら


見上げた頬の上で



ひとひらの雪が


そっと溶けていく



僅かな雲間から


月の光が滲む


雪月夜



やがて差し込む


やわらかな陽射しの中



マーガレットの花びらは


幾筋もの光のように


細く長く


そして白く




月の微笑みは


やさしく時を見つめて



静かに刻まれる時は


いつしかあたりを


夕闇に染めて



月の女神がオリオンを


見つめる瞳のように


煌めく白い花びら



冬から春へと


季節は月が


満ちゆく如くに



それを如月(きさらぎ)


人は名づけて




月の微笑みは


やさしく夜を包んで



空には月と


ふたご座の二つ星



カストルとポルックス


白とオレンジの光


花びらと花のように



春の星座へと


バトンを渡す


時を待ちながら




春を望む風に


そよめく白い花びら



マーガレットは


散らない花



花と花びらは


固い絆のように


繋がり続けて



冬も枯れることのない


葉の翠があるように



散ることのない


花と花びらがあるように



言の葉もきっと


そうであると信じて




たとえそれが


遠い空の先でも



やさしく


やわらかに


そしてあたたかに



粉雪のように


舞い降りていく


言の葉があると信じて



みな形が違う


雪の結晶のように



幸せもまた


一人ひとり


違ったかたちをしながら



同じ惑星(ほし)の上で


繋がり合い


月の微笑みに


見守られて




春に想いを馳せて


見上げた頬に



一歩ずつ


一歩ずつ


近づく季節の


息吹きを感じて



そして


移りゆく星空に


春を、想い描きながら















マーガレットは2月の誕生花の一つで、名前はギリシャ語の「真珠」に由来します。咲いた後も花びらが散ったり花が落ちたりすることがなく、「落ちない花」「散らない花」といわれます。花言葉は「真実の愛」「信頼」で、月の女神アルテミスに捧げる花とされています。「如月」の由来は諸説あります。


ふたご座は、冬の大三角の近くで白いカストル、オレンジのポルックスが輝き、黄道十二星座で最も南中高度が高く、春の星座へと繋がる星座です。


少しずつ近づく春に、星空も移りゆく時期です。月と星、そして花をモチーフに描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  冬も枯れることのない葉の翠。  散ることのない花と花びら。  言の葉もそうであると信じること。  ここではない遠くに届く、優しくあたたかな言の葉。 『ここ』で紡がれる数多の言葉のよ…
[良い点] 全体が優しく抱きしめられているように感じました。いつも感想をいただいているのに、見方が分からず、初めて拝見させていただきました。遅くなってごめんなさい。いつも、感想で、素敵な言の葉を紡がれ…
[良い点] はぁ とため息が出るくらい素敵な詩ですね。 >一歩ずつ >一歩ずつ >近づく季節の >息吹きを感じて この部分大好きです。 如月の由来って知りませんでした。 私は春はフクジュソウとかミスミ…
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