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異世界生活~剣と魔法の異世界転生を楽しむ

 俺は異世界に転生した。

 なーんてな。


 そんなことはとうに知っている。ただ、俺は今日まで美味いものを食べて、快適な生活を過ごすことに重きを置いていた。いわゆる、転生してきた転生者らしい楽しさの醍醐味を味わっていなかったともいえる。俺だって、転生した異世界で、俺つええ!!がしたいのだ。何しろ、男の子だからな。


 なんてことを思いながら、学園に併設されている、練武場に立っている。

 学園の紋章が大きく刻まれた、日本のスタジアムぐらいの大きさの石造りの練武場所に立つと、足元は砂で固められていて、目を壁にやると、石垣になっていて、俺でも、なんだか気を引き締められる。


 俺は、ひと呼吸すると、左手に握っていた訓練用のロングソードを正眼に構えた。


 学内の練武場ではあるけれど、今、こうして一人で構えから、確かめることができているのは、ファンタジー世界で、つまり、物語の主人公たちは、おれより先にいったん武具の使い方を覚えて、今は森へ経験値稼ぎに向かっているからで、この世界を知り尽くしている俺は、ゆっくりと鍛錬を積むことができているわけだ。


 経験値を積むことで、レベルが上がって強くなるという発想は、ゲームだからそうなっているという訳ではない。実際に何かをやってみて、成功を重ねることで、自信をつけるというのは、ゲームだけではなく、ただの現実だ。


 ただ、その意味でいうと、この世界だけでははなく、前世の経験のある俺なら、もっと効率よく鍛えることができる。


 まずは胸冑が体の動きを妨げないように、少し肩の力を抜く。対面する相手を想像する。自分の構えを意識しながら、相手が攻撃してきた時に、咄嗟に守れるか、捌けるか、動けるか、重心を意識しながら、自分の体を少しづつ細分化していく。ここまでは、子供のころにしていた、剣道で覚えたことを思い出しながらでなんとなくできる。


 腕の力ではなく、背中を意識して、ロングソードを振ってみる。

 一振り、二振り。自分の体を意識しながら、頭の先から、足の先まで意識を張り巡らせていく。次第に、道具に体が適応していく。胸冑をつけていることが気にならなくなってくると、まるで自転車にのっているような感覚、体が、部品の一部になったかのような、爽快な感覚を覚え始める。


 き、きもちいい!!


 引きこもりをしていて、忘れていたけれど、こうやって、剣を振るのは、そりゃあもう!楽しいのに決まっている!現実世界では、剣を振ってもなんの意味もないと、中学でやめてしまったけれど、この世界には、ドラゴンだっているんだ。くぅぅぃぅ!!!たのしい!!!


 少しずつ、剣を振るときの重心を意識しながら、より早く、より強く、剣が振れるような動きに修正していく。


 この世界に転生して、三年間、ジーナで、鍛錬を積んではこなかったけれど、改めて、ジーナという肉体のスペックの高さを思い知らされた。正直、前世の俺なんかよりも、ずっとスペックが高い。ずっと引きこもっていたのに、これだけ動いても、まだまだいける余力がある。普通に鍛えていたら、どれだけのことができたのだろう?それだけ、元からのスペックが高かったからこそ、ハイスぺ王子の婚約者にもなったのだし、崇拝者になり、失敗したとはいえ、高等魔術を行使することには成功していたのだ。


 俺は、顔の汗を洗いに水場に行って、少し休憩をはさむことにした。


 剣かぁ~いやあ、けど、やっぱ、剣なんだよなぁ~


 剣道は中学の時にやめてしまったけれど、大学のときに、漫画の知識で、ユーラシア大陸では、思想として、遠戦を主体とする地域も多かったという説を読んだときにハッ‼として、つい、江戸時代に剣術が盛んになった為に、日本でも白兵戦を好む思想があって、それが世界的な標準だと思い込んでいたのだけれど、実はそうではないのかもしれないと気づいてから、自分の思い込みが、実はそうではないのかもしれないということに気づく楽しみが増え、そうして調べた知識が、小説を書く時に役立ったし、今こうして、異世界に転生して考えてみることの役に立っていることに、そうしたことを調べることを否定はしないでくれた両親に対して、本当に感謝がわいてくる。


 古代のローマでは、軍団兵が組織されたときに、通達で、「剣は刺すもの。振るにあらず。」と書かれているのを読んだときは、なるほど!と感じたし、その漫画の中で、「槍は叩くもの。刺すにあらず。」と読んだときにも、なるほど!と感じた。


 「いろいろな武器で戦うとなったら、薙刀が一番強い」という話を近所に住んでいたおっちゃん聞いていた。「あいつら、間合いを隠せて、そこからおすね!って、打ってくるやろ?八段の人が、うーんって悩んだ後に、あれには、飛ぶしかない。っていわれたんだよ。女性やし、なめてたんかな。胸蔵つかむ訳にもいかへんしなぁ。」

 日差しと風を感じながら、前世の記憶であるけれど、俺は思い出に浸っていた。


 「稽古ですか?」


 人が気持ちよく休んでいると、すぐに邪魔をしに現れる。まだ、日が昇りきっていない太陽が公爵の顔を照らしている。ほんとに嫌な笑顔だな。

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