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番外編短編・all right

 私は相変わらず針のむしろになりながらも、仕事を続けていた。杏奈先生にも呆れられているが、残業時間などは改善されつつあった。


 それにあんな自殺騒ぎを起こしたのは、自業自得だった。当時の記憶は相変わらずあまりなく、遺書もなかった事から突発的に起こしたと自分では分析しているが、誰のせいでもない。完璧に自分げ原因だった。


 そんな中、一人の生徒が頻繁に声をかけてきた。私に興味があるというよりは、英語を勉強したいようだった。


 橋本という生徒で、若干ヲタクよりの大人しい生徒だ。ロックバンドヲタクのようで、洋楽の歌詞の意味などをよく聞いてきた。


「歌詞で覚えるのって意外とハードル高いのよねぇ」

「なんで?真澄ちゃん」


 橋本には完全に舐められているようで、私は真澄ちゃんと呼ばれていた。ロックバンド好きらしい反骨心はあるようである。


「日本語の歌詞でも空耳する事ない?」

「確かに」

「おススメはやっぱり洋書ね。読むとなぜか聞き取りやすくなるし、語彙と文法も勉強しやすいのよ。今はAmazonでは洋書をオーディオブックも売ってるし、あれはおススメよ。トイックや英検もやってもいいけど、資格だけてみアレだから、おススメの教材やYouTubeの動画は…」

「う、真澄ちゃんってヲタクぽいなぁ」


 私がおススメの英語勉強法を教えると、橋本はドン引きしていた。


「ところで、英単語で長年謎だった事聞いてもいい?」

「いいわよ。その為に放課後残って私に相談したいんでしょ」

「うん。right って単語あるじゃん。 right って右って意味もあって、正しいって意味があるのは、どいいうわけ?」

「ああ、それは…」


 確かキリスト教では、右が正しいという概念があるのだ。イエス様が十字架に磔にされた後、3日に復活して、父なる神様の右に座った事も関係しているようだ。


 その事を橋本に説明するが、釈然としていなかった。


「ちょっと、待って。私、牧師に知り合いが居るからちょっと聞いてみるわ」

「牧師? 真澄ちゃんキリスト教の人だったっけ?」

「違うけど」


 私はエディにLINEを送った。神様と右の関係について何か知らないか?と聞くと、すぐに返事が帰ってきた。


「すぐ返事きたわ」

「なんだって?」

「ええと、旧約聖書の伝道の書10章2節に《知恵ある者の心は右に向き、愚かな者の心は左に向く》ってあるんだって!」


 エディは聖書の質問をされたことが嬉しいのか、「ハレルヤ!」を連発。しかも、羊のイラストで「ハレルヤ!」と言っているスタンプも送ってきた。


 よっぽど嬉しい事が伺われて、思わず笑ってしまう。普段、聖書に興味のない日本人が話題にするだけでも嬉しいらしい。


 こういう所は、夢の中の牧師さんより純粋で、なぜか心がキュンとなる。


「…真澄ちゃんって、その牧師さんの事が好きなの?」

「え!?」


 思わず変な声が出てしまう。


 今まっで考えた事がなかったが、そういう可能性もあるかもしれない。まあ、夢の中の牧師さんと混合している可能性も大ではあるが、エディの事は気になる事は気になる。


「ところでその伝道の書ってなんなの? その牧師さんに聞いてみてよ」


 橋本はけしかけるようにいう。


「まあ、あなたの為に連絡とってみるわ」

「はは、面白い!」


 橋本がからかうように笑う。

 返事はメールでぎっしりとした長文で送られてきた。伝道の書は、要は耳の痛い事ばかり言っているが、人間は耳を傾けるべきだという主張であったが、時々「イエス様は素晴らしい」という話題に脱線し、長文になってしまったようだ。


 後でこのメールを印刷して橋本に見せた。


「う、うん…。よくわかったよ」


 橋本はドン引きしていた。


 同時に私は、おススメ英語学習の参考書をどっさり10冊分を橋本に貸して上げた。


「ああ、その牧師さんと真澄ちゃんはすごい似たもの同士だよ…」


 橋本は深くため息をついていたが、聖書にも興味を持ったらしく、エディの教会に行くようになった。

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