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40話 最後のピース

 翌日、私はちょっと緊張しながらデレクのカフェにいた。

 窓際の席に座り、ブラックティーを啜りながら牧師さんが来るのを待っていた。



 今日は、ご褒美として牧師さんと会う予定だった。アビーとジーンがまたイタズラをしたようで、少しくるのが遅くなるとは言っていたが、悪い事ではない。私も少し緊張していたし、牧師さんと会う事を面白がったプラムとクラリッサが私にガッツリとフルメイクを施しているので、落ち着かない。


 手鏡をちらりと見て、マスカラが塗られたちょっと重いまつ毛を確認する。マスカラなんてつけたには久々だ。元いた世界よりもだいぶ質が劣るマスカラで、粉が落ちていないか確認した。


 とはいえ、他のファンデーションなどはそこまで質は悪くはいようだ。値段は高いようだが、クラリッサとプラムが今日だけ特別だとメイクをしてくれた。


 昼前という中途半端な時間のせいかカフェの中には、他に客がいなくて静かだ。村の女性人生達の喧しさがちょっと懐かしいぐらいでもある。


「マスミ、今日はちょっとオシャレしている?」


 デレクが、ブラックティーを持ってくると首を傾ける。


「そうでもないけどね」

「まあ、事件が解決したのは良かったよ。この世界の謎はちっとも解けないけどね」


 デレクは、あれ以来彼なりにこの世界を調べているらしかった。しかし、村人もみなむ口を紡ぎ、たいした成果は無いようだった。


「マスミは何かわかった?」


 私は首をふる。綾本の事は、とてもデレクの言えなかった。


「私もわからない」

「そっか。でも僕は、2年ぐらい前日本にいた事があるんだ。これは何か関係あるかな?」

「本当?」


 これは初耳だった。私はちょっと身を乗り出してデレクに詳細を聞く。


「うん。すっかり忘れたけどさ、日本で料理の勉強もしてたんだ。隣の家にアヤモトアキっていう、女の子が住んでてさ」

「アヤモト!?」


 私はつい大きな声を出してしまう。あの綾本の事だろう。なぜここで綾本の名前が?


 私は混乱し牧師さんを待っている緊張感は吹っ飛んでしまった。


「うん。家庭が複雑な子だったから、親に放って置かれたみたい。時々、パンケーキや野菜ジュースなんかを作って持っていくと喜ばれたよ」


 デレクの話の様子からして、どう考えてもあの綾本の事としか考えれなくなった。


 これはどういう事?関係があるの?


「まあ、ちょっと思い出しただけ。僕も何か関係あるかはわからない」


 デレクはそう言って厨房の方に行ってしまった。同時に牧師さんが、カフェの中に入ってきた。


 デレクから綾本の話を聞いて、少し頭が痛くなってくる。背中もじっとりと汗が流れてくるが、今は忘れよう。せっかくの事件を解決したご褒美の時間なのだから。

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