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21話 魔導書の行方を追う!

 ようやく退屈な講演会は終わった。


「よく寝たわ」


 目が覚めたマリーが、かなりスッキリとした表情を見せていた。


「さあ、マリー。午後からはも仕事があるから帰るよ」

「そうね。しかし退屈な講演会だったわ。マスミはよく見ていられたわね」


 マリーは再び欠伸をして、ダニエルと一緒に帰って行ってしまった。


 私は、ここで帰るのも何か惜しい気がした。何か事件の手がかりがないだろうか。


 とりあえず、いったん会場の外に出る事にした。


 そこで、この公演の主催者のスタッフに会う。コリンとの討論会の時にも会った顔見知りの男性スタッフだった。向こうも私が転移者で、ジャパニーズイングリッシュは珍しいと覚えていた。


「イザベラの公演はつまらなかっただろう」

「そうねぇ」


 事実なので頷くしかない。


「しかしよく公演なんてできるわね。収益なんてあるのかなぁ」


 ふと頭に思いついた疑問を口に出していた。すると、スタッフは笑いはじめた。


「イザベラが金持ちだっていう噂があるね。あと、かなりの目立ちたがりやで、この会館のスケジュールもほとんどあの団体がおさえているらしい」

「本当? 他にイザベラの噂は何か無い?」

「あくまでも噂だけどさ、イザベラは、魔導書を研究して悪魔を召喚してるらしいよ。だから金持ちだとか」


 スタッフは他に仕事があると、慌てて走って去って行ってしまった。


 容疑者の一人であるイザベラは魔導書の研究をしていた?

 これも有力な情報である。私は事件ノートを取り出してメモをする。


 ・イザベラが魔導書で悪魔を呼び出していた?


 それが何か事件と関係あるかはわからないが、あの男がその件で彼女とあっていた事は気になる。


 他のイザベラについて何かわかれば良いのだが、突然会館に楽屋に突撃しても怪しまれるのに決まっている。


 どうしようかと考えている時、イザベラがこの会館から出てくるところを待てば良いかも知れないと思いつく。アイドルのファンが裏口で出待ちをするようなやつだ。


 イザベラに出待ちをするようなファンはいないだろうが、とりあえず会館の裏口の方に走って行ってみた。


 さすがの会館の裏口の方は誰も人がいない。一応木陰にまわり身を隠す。彼らが出てきた時、怪しまれる可能性もある。とりあえず身を隠して置いた方が良いだろう。


 ちょうど身を隠した時、イザベラ達が出てきた。


「全く! 今日の客達は、寝てばっかり!」


 イザベラはかなりご立腹のようだった。美人だが、怒りに表情で顔つきは台無しになっている。そんなイザベラにニムロデで媚を売るようにヘコヘコしていた。イザベラには逆らえないようだ。もしかしたら惚れているのかもしれない。


 一方リベアルは、クールそうに無表情だった。メガネをかけ直し、冷静にイザベラに忠告している。


「ところで、イザベラ。アハブの魔導書はどこに行ったんですか。あれが無いとウチらやばいでしょ」


 アハブの魔導書?


「そうよ。月村にも言っていたのに!」


 イザベラはヒステリックに叫ぶ。月村はあの男の名前だ。イザベラとあの男が魔導書に揉めていたことは確かなようで、ドキドキとしてくる。


「一刻も早くアハブの魔導書を見つけなきゃ! そうじゃないとウチらやばいのよ、わかってるの?」


 鬼のような表情のイザベラは地団駄を踏み、スタスタと去って行った。


 彼らがいなくなった事を確認すると、私はホッと胸を撫で下ろす。


 あの集団は、イザベラが女王様といって感じで決して仲良くはないようである。


 そして魔導書との関係は?


 あどうやらこの事件の謎を解くのは、行方がわからない「アハブの魔導書」というものらしい。


 アハブが誰であるかはさっぱりわからないが、この魔導書の行方を探してみても良いかも知れない。


 ・謎の魔導書の行方を追う!

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