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12話 村人全員グルですか?

 コージー村とハードボイルド村のちょうど境にある移籍発掘場は、あちこちに穴が掘られ、研究員らしき人物は調査しているのが見えた。


 どれも知らない顔ばかりである。村の境にあるとはいえ、ハードボイルド村の人間の方が多く関わっているらしい。


「アデル!」


 プラムはちょっと大きな声でアデルの名前を呼ぶ。発掘場の中で、アデルだけがコージー村の人間のようで私は少しホットする。


「あら、プラムにマスミじゃない。こんにちは」


 アデルは、顔を上げて挨拶をする。


 メガネ姿にちょっと陰気そうな女性だ。歳はアナと同じぐらいではあるが、雰囲気は真逆だ。やかましい村の女達の中では珍しくヲタクっぽい雰囲気の女性で私はちょっと親しみを持つ。今はこの土地にいるから読めないが、私もロマンス小説ヲタクであるし。


「こんにちは、アデル。仕事中ごめんね」


 私は申し訳なさそうに謝るが、アデルは特に気にして稲尾ようだった。マイペースな女性で、歴史や過去の古いものを見るだけでも興奮すると語っていた。特に転移者がキリスト教を広める前の魔術師が溢れる魔法国家だった時代に興味があるらしい。


「みてよ、マスミ、プラム。この遺跡は、当時の魔術師達がやっていた生贄儀式の跡みたい。ほら、ここに生贄に捧げていたとされる人形のカケラがあるわね」


 アデルが指さした方向には、確かに土でできた人形のカケラのようなものが埋まっていた。


 日本の土偶のようまものだろうか。土偶も生贄の依代に使っていたという噂は、大学時代に聞いた事はあった。


「ところで、アデル。本当に本物の宝地図が盗まれたと思うの?」


 プラムはアデルの歴史の豆知識には興味が無さそうで、単刀直入に本題を気切り出した。


「ええ。まあ、当時の悪魔数儀式の出土品を研究しているのは、ここでは私だけだし、きっとそうよ!」


 アデルは宝地図を盗まれた事に関して憤りを感じているようだった。


「コージー村速報に載った宝地図はなんだったの?」


 私は疑問に思った事を聞く。


 あの地図は結局フェイクだったが、どこから出てきたものであるかは気になる。


「あっちで出土されたんだけど、一応見てみる?」


 アデルにそう言われて、その地図が出土されたところに歩いていく。


 長方形型に穴が掘られ、そこにかなり古い大きな宝箱が置いてある。


「なにこれ、この中に地図があったの?」


 プラムは、宝箱を顔を顰めてのぞいている。


「コージー村速報に乗ったあの地図は本当に出土品だったの?」


 さらにプラムは、あの地図がフェイクだった事を説明すると、アデルはかなりショックを受けていた。


「そんな…。あの地図は確実にここから出土したのよ。でも、本当に宝が埋められていたかは未知数ね」

「そうなの?」


 私は驚いて顔をあげる。


「ええ。その点については、コージー村速報の編集者にも言ったんだけど、話題になるからって」


 それを聞くとプラムは深いため息をつく。やっぱりこの土地の人達は、色々とゆるいようである。


 しかし、アデルの話によると宝が本当にあるかはわからないようだ。やっぱり、あの地図はフェイクで本物は盗まれた可能性が高そうだ。


 フェイクの地図は、泥棒達が盗みを働くためだろう。

 本物の地図は犯人にとって都合の悪い情報は載っていて隠した?


「まあ、この村には昔、泥棒集団がお宝を埋めたっていう噂もあるけどね」


 アデルは、何か思い出したように呟く。


「本当?」

「ええ、マスミ。まあ、噂だから本当にお宝があるかどうかはわからないけれど、あの霧の森や湖のそばの森に何かあるとは言われてるね。あの森は昔の人が悪魔教は儀式をやっていた所だからね」


 そう言われてしまうとちょっと怖くなる。実際チェリーは魔術師の血筋で、悪魔崇拝儀式を繰り返してこの土地と元いた世界を行き来すりようにしていた。


「まあ、あんなチンケな悪魔崇拝儀式で違う世界に行ったり来たりするのは無理よ」

 

 アデルは、つい秘密を溢してしまったという感じだった。明らかに「しまった!」という顔をしている。


「どういう事、アデル。この世界は夢なの?」


 私は思わずアデルに問い詰めていた。アデルはタジタジになり、バツが悪そうにメガネをかけ直していた。


「マスミ。世の中には知らなくても良い事の方が多いのよ」


 またこの台詞だ。この村の住人は全員グルにでもなっているのだろうか?そういえば日本のドラマ・古畑任三郎でそんな事件があった事を思い出す。


 これぐらい団結力があれば、殺人事件を隠蔽する事もできそうでは無いかとも思ってしまう。


「まあ、マスミ。事件は調べなくていいの?」


 珍しくプラムもちょっと慌ててそう言った。


「そうよ、マスミ。地図がフェイクだったんでしょ。調べなきゃ」


 助け舟を出されたアデルは、ごまかすように言う。


「次は、チェリーの家の方にも行ってみましょうよ。謎の男がいるんでしょ」


 半ば無理矢理プラムに手を引かれ、遺跡発掘場を後にした。

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