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【第五話】ナコンの宿屋



 しばらく通りを歩いていると噴水が見えてきた。どうやらあそこがダミキの言っていた広場らしい。

噴水の周りには、料理や野菜などの食料品、武器や包丁などの金物等まで…様々なお店が並んでいる。

 呼び込みの声がここの活気を物語っている。


 「すごい活気だなー。よし、とりあえずは宿屋を見つけないとな。このあたりだって聞いてたんだけど…。」

 辺りには宿屋はそこしかないって言ってたからな。まあすぐ見つかるだろう…。そんなことを考えながら俺は辺りの建築物を見渡す。


 「お、あった!ん?あれ……だよな…???」

 右斜め前方に見えたのはINNの看板。しかしどこかおかしい気がする。俺は近くにあった露店のおじさんにこの違和感を質問することにした。


 「あのー、少しお聞きしたいんですけど…」


 「どうした兄ちゃん。なにか聞きてえのかい。」


 「ナコンの宿屋ってムキムキマッチョの銅像が置いてあるそこの建物であってますか??」


 「おう!あってるぞ!外装も店主も宿屋っぽくねえが、ちゃんとしたいい宿屋だからな。ちなみに初めて泊まるやつはみんなこの質問をしてくるんだ。」

おじさんは笑いながら質問に答えてくれる。


 俺はおじさんにお礼を言い、改めて外観を眺めてみる。それはまるで某ジムの入り口のような佇まいをしている。

 「あの店主もいい宿屋っていってたからなー。とりあえず入ってみるか。」


 俺は扉を開けて入ってみる。カランカランと心地の良い音が鳴った。


 「いらっしゃい!!!」


 …ここは本当に宿屋なのか。それほどの声量。そしてその身体はまるでボディビルダーのような筋肉である。外装も店主も宿屋っぽくないというおじさんの言葉には納得だった。


 「泊まりたいのか!?泊まりたいなら1日3食付きで銀貨1枚だ!!!」


 「あー、泊まりたいんですけど……。門番のダミキエスさんって方からの紹介で来て…。」


 「おお!ダミキさんの紹介か!!あの人の紹介ってことは金がねえんだろ!?聞いてるとは思うが、7日で銀貨3枚でいい!」

 おお、言っていた通り7日で銀貨3枚でいいみたいだ。これで伝わってなかったとかだったらどうしようかと…。


 俺は泊まることをナコンさんに伝える。帳簿に名前を書き、カギを借りる。


 「部屋は階段を上って一番奥の部屋だ!んでもってこれがカギ、出かけるときはフロントに預けてくれればいい!!誰かしらはいるはずだ!失くしたら追加料金が掛かるからな、気を付けろよ?」


 「わかりました。」


 「飯は隣の食堂だ!泊ってるっていえば、飯出してくれるからよ!」

 「じゃあ今日はゆっくり休めよ~!」


 ナコンさんにお礼を告げ、自分の部屋に向かう。一番奥の部屋なので迷いようもなくすぐに発見することが出来た。カギをスッと差し込みガチャリと音を立てて開錠する。


 「おおー!いいところだなー!」

 机と椅子・ベッドが置いてあるだけだがとても清潔感のある部屋で、窓からは先ほどまでいた広場を眺めることが出来る部屋だった。


 「よし、少し休んだらご飯食べに行くかー。」

 ベッドに寝転ぶと、とてもふかふかでいいベッドを使っていることがわかった。あれ、もしかしてここってそれなりにいい宿屋なのでは??


 ベッドの上でスマホを起動する。アイテムボックスの中に商品が届いてないかなどを確認するが届いてもなく…。一体どうやって届くのやら…。




 ―――――ベッドに寝っ転がっていた俺は、転移初日というのと歩き回ったという精神的・体力的のWパンチを喰らっていたため次第に意識が手放してしまう…。






 「はっ!?今何時だ!?!?」

 目が覚めた俺は急いでスマホを確認する。時間は午後8時30分を表示している。ここに入ったのが午後5時30分頃だったので3時間ばかり寝ていたようだ。


 「食堂まだやってるかなー?遅かったら今日はもう寝るしかないか…。」

 「とりあえず向かってみるか…。」




 部屋を出て、鍵をかける。一応食堂は隣とは言えここはもう異世界だからな。日本のような防犯意識ではやっていけないだろう。

 階段を下りるとフロントには可愛らしい女性が立っていた。


 「ああ、あなたがテツさんね。旦那から聞いてるわ。ダミキさんの紹介で来たんですってね。ゆっくりしていってね。」


 どうやら可愛らしい女性の正体はナコンさんの奥さんだったようだ。名前はマリーさん。


 「まだ隣の食堂ってやってますかね?やってたら行こうかなって思ってたんですけど…。」


 「あら?まだ行ってなかったのね、まだやってるわよ。」


 「はい、ちょっとうたた寝しちゃって。じゃあカギ預かってもらっていいですか?」


 「ええ、預かっておくわ。旅の疲れが出たのかしらね。」


 「今の時間なら空いてるからゆっくり食べれると思うわ。」 


 俺はカギを預けて扉を開ける。後ろからはマリーさんの行ってらっしゃいの声。可愛らしい女性のお見送りっていいなと思いながら返事をし、食堂に向かうのだった…。






ごめんなさい、次話投稿遅れるかもしれません。

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