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そして8年後

そしてアンディがティナーヴの元から去って8年後。


ティナーヴは15歳になり、来週からアル王立アルヴィン学院に入学するため準備をしているところにディオルがやってきた。

「ティナ、準備は捗っているか?」

「お兄様。準備といってもメイドがしてくれているから、わたくしは指示を出すだけですわ」

7年前より淑女になるための努力をしてきたティナーヴにとって学院に通うくらいは大したことではなく余裕の表情である。

「ただ一つ気がかりが・・・」

珍しく顔を曇らせてティナーヴが話す。

「わたくし、一度も異性のいるお茶会に参加したことがないのです。」

社交デビューは16歳から。それまでは親に連れられてお茶会等で男女ともに交流をするのが通常なので、ほとんどの貴族は男女のお茶会に参加をしている。

ティナーヴもそのつもりでいたのだが、なぜか一度もないまま今に至ってしまっている。

お茶会は何度も参加している。ただ、いないのだ。異性が。

「わたくしの知っている異性の方はお父様と同じぐらいの方かお兄様、使用人の方々しかいらっしゃらないのです。同性のお友達は出来たのですが、それが不安で・・・」

頬に手を当ててそっとため息をつく姿も美しく、周りのメイド達が見とれている。

ディオルも一緒になって見とれていたが、ドアの外からの殺気のようなものを感じ、

「不安が解消されるかわからないが、ティナに紹介したい女性がいるんだ。」

ディオルがわざとらしいほど明るく元気な声で言いながらドアの外へ向かって手招きした。


入ってきたのは黒い服を着た背の高い女性。

黒髪で後ろは低いところでまとめていて、一言で言えば“地味”

だが歩き方や所作が美しく、前髪が長くはっきり見えないが整った顔立ちをしている。

「初めまして、ティナーヴお嬢様。アンナと申します。」

少し低めの聞き心地の良い声でアンナと名乗った女性は、男爵令嬢で兄が家督を継ぐため侍女としてプレイシャス侯爵家に仕えることになったという。

「ティナーヴ・アル・プレイシャスです。よろしくね。」

「ティナ。今日からアンナがお前の専属として仕え、学院にも同行してもらうことになった。」

ディオルの発言にティナは目を丸くした。以前より勤めている侍女から専属を決め同行を依頼すると思っていたので近いうちにティナーヴからお願いに行こうと思っていたからだ。

「お兄様。なぜ勝手に決められたのです。今までプレイシャス侯爵家に仕えている方ならまだしも、彼女は初対面ではないですか。」

確かにアンナは初対面なのに一緒にいて安心できると感じたが、これから3年間も一緒に過ごすのにいきなりすぎるのではないか?憤りディオルに迫るが彼はなんでもないように

「大丈夫だって!兄を信じなさい。可愛い妹よ」

ティナーヴを優しくハグしたあと部屋を出ていった。


やっと侍女を出せました。

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