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ティナーヴの楽しいひととき

「どう思ったかしら?」

自室に戻るなりティナーヴはアンディに聞いてみた。

「私としては殿下と話をされるのは反対です。だからと言って今日の事があるのに殿下と話されるのを避けてしまうというのも後々心配なところもあります。」

努めて冷静に話しているが、明らかに嫌がっているように見えてティナーヴは嬉しくなった。

アンリがアンディとわかってから今まで以上にアンディの表情や仕草が気になるようになった。

今まで何事にも冷静沈着な完璧侍女だと思っていたのは、実はティナーヴに気づかれないように努力した結果だろう。

そう気づいた時は嬉しくてアンディに気づかれないようベッドの上でゴロゴロ転がって心の中で叫んでいた。


本当はティナーヴもスチュアートと会うのは避けたいがセシリーの事もあるので仕様がないと思っている。

実際、スチュアートの事はどうでも良くてなんとかセシリーの方を向いてもらいたい、その為にはどうすれば良いか?とそちらの方にばかり気が向いている。

頬に手をあてて

「そうよね。わたくしも本音を言うと例えアンリが一緒だといっても出来たら遠慮したいのよね。セシリーとはなしを・・・」

少し考えて、手をパンっとたたき

「そうね。今度はセシリーも同席してもらいましょう!」

名案かどうかは置いといて、そもそもスチュアート

はセシリーを認識しているのだろうか?と疑問に思った。

学院の外では沢山の令嬢から常に囲まれていてその令嬢達の事はなんとなく知ってはいるものの、セシリー曰く1人の女性として認識したのはティナーヴが初めてというではないか。

特にセシリーは奥ゆかしい女性でスチュアートの近くには決して近づかず、そっと見つめていたというし・・・

「わたくし、殿下にはセシリーという素晴らしい女性がいるという事を知ってもらいたいの。」

「それは良い考えだと思いますよ。ティナ様もそちらの方が気持ちも楽でしょう。」

アンディとしても自分が同席するとはいえティナーヴだけで会うよりかセシリーも一緒の方がはるかに良い。

2人で顔を見合わせ大きく頷いた。

「そうと決まったらこの話は終わり!今日の授業は集中出来なかったからこれから復習するわ。今日は殿下の事を観察し続けてたしね。」

と言いながらちらりとアンディを見た。もちろん、最後の方はわざとアンディを煽るような言い方をした。

アンディは不機嫌そうに目をあさっての方に向けながら礼をして退出して行った。

ティナーヴはイタズラが成功した子供のようにニンマリとしながら見送った。


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