スチュアート
現王と王妃の第一子として生を受け、容姿・能力共に恵まれていた。
両親に溺愛され、2人の妹からも慕われ周りからも可愛がられていた幼少期だった。
何をしても褒められ自分はなんでもできる人間だと信じ切っていた。
いつの頃からか父が自分を褒めてくれなくなった。
今思えばディオルが城に上がってくるようになったぐらいからだ。
賢王と名高い現アル王。自分の息子が一番だと思っていたのがディオルの登場で崩れて行ったのが始まりだったように思う。
少し年齢は上だが知性あふれる振る舞いに周りからはため息が出るぐらいで、将来はスチュアートを立派に支えて次代も安泰だという声が上がっていた。
ただ、父は周りの人間も重要だが王本人の能力が一番でないといけないと思っているので、ディオルの存在が父を焦らせてしまった結果、スチュアートを溺愛しながらも決して褒めることはしなくなった。
まだ小さかったスチュアートは何をしても褒めてもらえなくなったので不安になってしまい、初めは褒めてもらうために必死に頑張っていたのが、段々自分への無意識のプレッシャーになっていき今はそれが普通となっていた。
もちろん、父からのプレッシャーは年々強くなっている。
ディオルが苦手なのはそのせいでもあるだろう。
今日、ティナーヴと話をしてそのことに気づかされた。子供の頃はもっと感情を素直に表して周りからの好意を素直に受け入れていたように思う。
今は、笑っているけど笑っていない。楽しくなくても笑っている。感情を表に出さないように目もしっかり笑っているように見えるようにしていた。それが普通になっていき、どんな時でも無意識に笑顔を作っていたことさえも忘れていた。
王太子として感情を表に出さないようにはしないといけない。ただ、いつ何時でもというわけではなく、感情を素直に出せる時を自分は必要としていることに気づいた。
それがティナーヴとならばできるような気がする。そういえば、休暇前に話をした時も感情を出すことが出来ていた。いつも感情を揺さぶられるのはティナーヴと話している時だ。
ティナーヴと話したい。もっと話しをして最後には自分を選んでもらいた。
幸い話しをしてくれると言ってくれていたし、また近いうちに声をかけてみようか。
・・・アンリと言ったか、あの侍女は邪魔だな。いつもいつも邪魔をしてくる。
何とかして引き離せないか。
ああ、ティナーヴもきっと自分と話しをしたくて声をかけてくれたのだろう。
適当な理由をつけてまで。
もしかしたら思い悩んでいるのはティナーヴではないか?
もしかして、休暇前に断ってしまったことを後悔しているのではないか?
そうだ、きっとそうだ。
ティナーヴが心置きなく自分と一緒になれるようにしなければ。
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