殿下とのティータイム
ティナーヴは午後の授業を受けている間もスチュアートを観察していた。昨日セシリーに言われてからスチュアートの観察をしていたが、やっぱりわからない。
入学のときから話し合いをした時までは少し強引でありながらも周りからはスマートに行動をするイメージを持たれていた。
その後はティナーヴには話しかけはしなくても周りからのイメージはやはり変わらずにいる。
ティナーヴも話しかけて来なくなって楽になったなあ、と思っていただけで、何も感じていなかった。
注意深く観察している今でもスチュアートは変わらず闇を感じさせず、姿だけでなく雰囲気も美しい。
ティナーヴは今日授業が終わったらスチュアートと話をしようと決めていた。
見た目は深窓の令嬢だが本来の性格は大雑把なので本人からさっさと聞いた方が手っ取り早いと判断した。
ディオルとは正反対だ。ディオルは正面からぶつかるティナーヴを心配してアンディをそばに置くように言ったんだろうなと思った。
スチュアートについて全くわからないまま今日の授業が終わった。今日の授業は観察のせいで半分ほどしか聞けていなかった。帰ったら復習をしなければと思いながら帰りの支度をしていると、もうスチュアートが教室から出て行こうとしていた。
ティナーヴはあわてて教室から飛び出しスチュアートに声をかけた。
「スチュアートさん!」
振り向き驚いた顔のスチュアートに続けて
「これからお時間ありますか?」
とにっこり微笑みながら言った。
「これといって、急ぎの用事はないが・・・」
「では、お茶でもしませんか?」
スチュアートとティナーヴが2人で話していると目立ってしまうので早々に場所を移動する事にした。
食堂のテラスにスチュアートとティナーヴが向かい合って座った。後ろにはアンディが控えている。
少し離れたテーブルにマーガレットとリエラがさり気なく居てくれている。
お茶を一口飲んだところで
「・・・私に今更何を話そうと言うんだい?」
スチュアートが聞いてきた。
「わたくしは遠回しに話をする事が苦手なので単刀直入にお伺い致します。とある方よりスチュアートさんが気を落とされているので心配だと相談を受けまして、微力ながら何かお力になれなれないかと思いお声をかけさせていただきました。」
するとスチュアートは見るからに怒りに顔を赤くして
「誰だ!そのような事を申すものは。私は気落ちなどしていない。私は今までもこれからもそのような事にはならない。」
捲し立てるスチュアートを見てティナーヴは初めてスチュアートの素を見たような気がした。
普段は自分の素をものすごく上手く隠しているのか、もしかしたら隠しているのは無意識なのかもとティナーヴは思った。
捲し立ててしまった自分に驚いたスチュアートと見て、ティナーヴは後者だと判断した。
「取り乱してしまったようだ。済まない。ティナーヴ嬢、確かに私は貴女に恋焦がれ求婚にも似たような事をした。このような気持ちになったのは貴女が初めてだったからどうして良いかわからず行動してしまい申し訳なかった。ただ、その後長期休みもあり、落ち着く為の時間もあった。正直、貴女をあきらめ切れない自分もいるが距離を置くことで今は普段通りに出来ている。それに王太子という立場上、そのような些細な事に心を乱してはいけないし乱すべきではないのだ。」
スチュアートはきっぱりと言い切った。
「では、わたくしから話しかけるのは今後控えた方がよろしいですね。」
「いや、そのような事は・・・ない。」
なんだか曖昧ね。と思いながらも
「たまにはお話し致しましょう。このような内容ではなく、勉強の事や趣味とかでも構いません。」
「そ、そうだな。また、話してくれるか?」
「はい、もちろんです。今日はこの辺でまた後日お話し致しましょう。」
そこまで言うとティナーヴはアンディに合図し立ち上がった。
「ではスチュアートさん、ごきげんよう。」
美しくお辞儀をし、スチュアートの元から立ち去った。
いつもお読みいただきありがとうございます。
スチュアートとのお話を一気に書くことが出来ました!




