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マナーレッスン

先生方の授業開始を調整している期間も時間が惜しいと、ティナーヴは侯爵夫人である母に貴族で必要な歩き方とお辞儀を教えてもらっていた。

「ティナ、目線は一定に!」

「はいっ お母さま」

「淑女はそんなに元気よく返事をしない」

「はいっ お母さま」

「・・・・ティナ」

ほんの少し前まで元気いっぱい走り回っていたティナーヴにはおしとやかの“お”の字もない。

でも、やらなければという思いでティナーヴは深呼吸をして母へ向き直り

「申し訳ございません。お母さま。もう一度お願いできますでしょうか?」

と、落ち着いた口調でニッコリと微笑みかけた。

幼いながらもその微笑みはハッとするほどに美しく、教養が身についたティナはアル王国一の貴婦人になり王太子妃になることも夢ではないのだが、本人には一切その気はない。

ティナはアンディの為しか考えていないのである。

歩き方とカーテシーを母より教わりつつ授業開始を心待ちして、いよいよ授業を受ける日が2日後に決まった。


2日後。

初日はマナーのマチルダ子爵婦人。スラっと背が高く、髪は高い位置でまとめていて美人だが少しつり目で細めの眼鏡をかけているので見た目はかなりきつい感じだ。

ティナーヴは少し怯えながら

「マチルダ子爵婦人、初めまして。ティナーヴ・アル・プレイシャスと申します。本日よりよろしくお願いいたします。」

と母から教わったお辞儀をする。

「ティナーヴ様、初めまして。よろしくお願いいたします。私のことはマチルダで結構ですわ。」

「では、マチルダ先生とお呼びしてよろしいでしょうか?」

「構いません。一緒に頑張りましょう」

マチルダが微笑んで答える。先日ディオルが言っていた厳しい中にも優しさが見えるというのがよくわかる微笑み。

ティナの緊張が少し和らいだのを待っていたかのように

「では、早速レッスンを始めましょう。」

「はい。」

ティナの本格的な淑女になるためのレッスンが始まった。


マチルダのレッスンは厳しいが、良いところはしっかり褒めてくれて、出来ていないところは幼いティナーヴにもわかりやすいように教えてもらえる。

ゲーム感覚にしたりと今のティナーヴにあった方法でレッスンを進めてくれるのでティナーヴはマチルダ先生がすぐに大好きになった。


休憩を多めにしながら1日レッスンを終えてマチルダの帰る時間になってもティナーヴは

「もう終わりなんてつまらないですわ。まだ、わたくしできます。」

とむくれていたのだが

「まだできる。もう少しできる。と思っている時に終わるのが長続きする“コツ”ですよ」

とマチルダにいたずらっぽく片目とつぶりながら言われてしまい、渋々

「わかりました。また次回のレッスンを楽しみにしておきます。マチルダ先生、ありがとうございました。」

と挨拶をしてマチルダを見送った。




週に3~4回、1000文字前後を目標に投稿出来たらと思っています。

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