セシリーの話 後編
「では、具体的にわたくしはどうすればよろしいのかしら?」
スチュアートの変化に全く気づいていないティナーヴには、どうしていいかもわからない。はっきり言うと全く興味のない対象なのでティナーヴはお手上げだった。
「簡単です。ティナ様には殿下のお近くに。ゆくゆくは一緒になっていただきたいのです。」
「何をおっしゃるのですか!!」
セシリーの言葉にティナーヴより先にアンディは声を荒げてしまい、しまったという顔をした。侍女としてあるまじき行為だが黙っていられなかった。スチュアートからティナーヴを守るために女装までして侍女となったのにそんなこと出来るはずもない。
「侍女が失礼いたしました。ですがわたくしも同意見です。わかくしには心に決めた方がいます。その方以外と添い遂げる気は一切、全く、ございません。申し訳ございませんが、このお話は聞かなかったことに致します。」
セシリーは良かれと思って言っているのはわかっている。本当は自分がその立場でスチュアートを支えてあげたいがそれは自分では役不足だと考えティナーヴに相談したのだろう。
「気分を害されたのは大変申し訳なく思います。ただ、ティナ様は殿下が初めて自分から近づきたいと思える女性なのだと思われます。子供のころより殿下を見つめて参りました。ですが、どの令嬢も殿下の目には留まりませんでした。私は入学の時に見てしまったのです。殿下のティナ様を見つめる瞳を。あのような目を初めて見ました。わたくしでは駄目なのです。心に決めた方がいることを知らずに申し上げてしまい改めて申し訳ございません。でしたら、少しだけでもお慰めいただけたらと・・・」
ティナーヴを見つめる目からとうとう涙がこぼれだした。訴えかける為に我慢していたのだが限界だったようだ。
アンディを愛するティナーヴには気持ちが痛いほどわかる。ただ、相手が王太子殿下だ。下手に近づいてしまうと後の対応が難しい。
下を向き涙をぬぐおうとさえもせず、肩を震わせている愛らしい令嬢にティナーヴも同情の色を隠せない。小さくため息をつくと
「わかりました。近くで過ごすことや一緒になることはできないけど、こちらで何か考えてみます。わたくしだけではどうして良いかわからないので友人やお兄様にも相談してみるから・・・もう泣かないで、ね?」
すんすんと鼻をすすりだいぶ落ち着きを見せたセシリーは
「はい、ありがとうございます。その言葉だけでもうれしいです。」
とお礼を言った。それから目を冷やしたいので寮に帰りたいと申し出たので、ティナーヴは「今度はゆっくりお茶をしましょう」と言ってセシリーと別れ、ティナーヴ達も寮へ帰ることにした。
いつもお読みいただきありがとうございます!
元の言葉を残しつつ少し装飾した題名へ変更してみました。
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