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寮にて

ゆらゆら揺れている。ふわふわ気持ちいい。

意識がゆっくり浮上してきてぼんやり目を開けるとすぐそこにアンリの顔があった。

状況がわからず混乱していると

「お気付かれましたか?ご気分はいかがですか?」

アンリが優しく笑みながら聞いてきた。

「ええ、もう大丈夫。心配をかけてしまったわね。下ろしてくださる?」

「いいえ、寮の近くまでこのままで。人気の無い通りを選んでおりますので問題ございませんよ」

どうやら下ろす気はないらしくしっかり抱えて歩いて歩いていく。

見た目は華奢なのに抱き上げている腕はしっかりしていて安心感がある。見上げる感じで見るアンリの顔はとても綺麗だ。化粧でワザと地味にしているのが勿体ないなと思いながら見つめていると

「あまり、見ないでいただけませんか・・・」

できる限り顔をそらして少し早足になるアンリの耳は赤くなっていた。


寮の近くまで来るとティナーヴを優しくおろし、

「この道をまっすぐ行くと寮の入り口です。部屋は整えておりますのであとはティナ様の簡単な整理で終わりますよ」

と伝え先を促した。

ティナーヴは寮へ向かおうとして、アンリの方へ向き直り

「アンリはこれでいいの?わたくしのそばにずっといてくれるの??」

と不安げな表情で聞いた。

「もちろんです。私は喜んでティナ様にお仕えしているのです。嫌なことなどあるもんですか。」

と即答しててくれた。

仕草は美しいながらも使命感に燃える表情ってこんな感じかしら、とティナーヴは思った。

今度こそ連れ立って。寮へ向かった。


身分の上下はないと言っても住まい、侍女の有無はやはり家柄、資産で異なる。

侯爵令嬢であるティナーヴは最高級の扱いになる為、十分な広さの部屋が用意されていた。

入ってすぐの居間にはローテーブルとソファーが配置してあった。右の部屋は主人であるティナーヴの寝室と書斎の2部屋。左の部屋には使用人用の部屋1室と水回り。

家具は侯爵家で誂えられており、統一感のあるシンプルでティナーヴ好みになっていた。

「まあ、とっても素敵なお部屋。家具もシンプルで飽きがこなさそうだし、卒業の時には下げ渡しても問題なさそうね。」

「そういう目線で家具を見るのは上位貴族でティナ様ぐらいだと思いますが・・・。そうですね。ティナ様の好みに合わせて揃えさせましたので気に入ってもらえて何よりです。」

満足げに見て回るティナーヴにアンリはほっとした表情になった。





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