侍女の告白
「実は8年前、ティナ様のお兄様であるディル様より内々に相談がありました。群がる男たちよりティナ様を守ってほしいと。家にいる間は自分が守ることが出来るが、学院ではそうはいかない。常にそばにいて守ってやるには専任侍女しか無理だから・・・と。私はそのためだけに侍女として育てられてきました。」
ティナーヴはこれでもかというぐらい目を見開いた。今日は驚いてばかりだがこれが一番驚いた。思考が追い付かなくて考えるのを放棄してしまいそうになっていた。
「あの・・・?ティナ様?」
ずいぶんと長い間動かなかったのを心配してアンリが声をかけてくれた。
「あっ ごめんなさい。アンリ。あまりにびっくりしてしまって・・・
アンリはたったそれだけのために8年間も侍女として育てられたの?
なぜ、そこまでしなければならなかったの? 嫌じゃなかったの?」
言いながら目頭が熱くなってきているのがわかる。アンリが悪いわけではないのはわかっているのに問い詰める口調で言ってしまった。こんな言い方しかできない自分にも腹が立ってどんどん涙があふれてきて止まらなくなった。
アンリは立ち上がり、小さな声で「横、失礼します。」と言って座りそっと抱き寄せ、背を優しくなでながらティナーヴが落ち着くまで静かに待っていた。
少し落ち着きが見えたティナーヴにアンリは
「こんなに泣かせるつもりはなかったのです。私は望んでティナ様の侍女になったのです。
言葉が足らなくて今更もうしわけないのですが、侍女の教育だけではなかったのですよ。
学院にも行きましたし、それなりに楽しんで今に至っています。
ただ、もう少し早くティナ様につく予定でしたが・・・」
優しく語りかける様に言った。
最後の一言だけは、誰に言いたかったのかトゲのある言い方だったが。
それを聞いて少し安心したティナーヴは少し微笑み、そっと目を閉じ意識を手放した。
少し短いですがここで一旦切ります。
次回はアンリ(アンディ)話を少し。