幸せな時の終わり
抜けるような青空。
無造作に寝転がり空を掴むように右手を伸ばしている、黒髪に緑がかった青い瞳で幼いながらも男らしくも美しい容姿の少年と、
うつ伏せで肘を付き足をぶらぶらさせながら輝く笑顔で少年をを見つめている、サラサラプラチナブロンドにグリーンの瞳の色白のとても美しい少女。
侯爵家自慢の庭園の芝生でのひととき。2人がいる空間はまるで絵画のよう。
「アンディ!だいすき!ティナはアンディとけっこんするの!」
「俺もティナとずっと一緒にいたい」
毎日毎日一緒に過ごしてはお互いの思いを伝えあったり、庭中を走り回って遊んだり、周りの人間からほほえましく見守られていた。
侯爵令嬢ティナーヴ・アル・プレイシャス 7歳
侯爵令息ディオル・アル・プレイシャスの親友 アンディ 12歳
これからもずっと一緒にいることが出来ると思っていたティナーヴは次に言われたアンディの言葉に
動くことができなくなった。
「ティナ、俺、遠くに行くんだ」
「・・・えっ・・・」
つい先ほどまで笑顔で笑いあって楽しいひと時を過ごしていたのに
今は目の前が真っ暗にあり、心が痛くて身体に力が入らない。
どれだけこうしていたか、ほんの数秒かもしれないけどティナーヴにはものすごく長い時間に感じた。
「・・・いつ?・・・どこになの?・・・なぜなの?」
ティナーヴの中で精一杯の声を出したつもりだったが、かすれてかろうじて聞き取れる声だった。
「ごめん。それは言えない。」
とても苦しそうで、泣きそうになるのをぐっとこらえているアンディを見て
ティナーヴはこれ以上何も聞けなくなってしまった。
ただ、さよならなんだ。もう会えないんだ。
ということだけはわかった。
次の日からアンディは姿を現さなかった。
ティナーヴは毎日同じ時間に庭園に出ては会えずに、部屋に戻っては泣いて過ごしていた。
次の日には笑顔で顔を出してくれるかもしれない。
その次の日こそはと思いながらひと月経ち、ティナをーヴ溺愛している優しい兄ディオルがいなければ
立ち直れなかったかもしれない。
ある日、ディオルはティナーヴに言った。
「ティナ、辛いだろうけどティナにはこれからもっと色々な出会いがあり、
素敵な経験をすることができるんだよ」
「アンディ以上に大事なことなんてないっ」
「でも、アンディは今のティナを見てどう思うだろう?
自分が離れていったばっかりにティナを辛い気持ちにさせてしまっているのだからね」
ティナーヴはハッとした。そしてもう会えないかも知れないけれど、いつか会えた時には立派な淑女になっていなければアンディに恥ずかしくて会えなくなるかもしれないと思った。
「お兄様、ティナ・・・いいえ、わたくし誰もが認める立派な淑女になりますわ!
そして、いつか、アンディに会えた時、あなたに会えることを心の支えに頑張ったことをお伝えすることに致します。」
「それでこそ、わが妹だ」
ティナーヴは淑女にはふさわしくないサムズアップをして宣言した。
書きたいことをたくさん詰め込んで頑張って続けたいと思っております。
よろしくお願いします。