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ただ、そばにいたかった  作者: 茉莉花
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部活勧誘

今日から部活勧誘期間だ。新入生は放課後に自分が興味のある部活に見学に行かなければならない。



「汐梨と咲彩は何部にするの?」


「運動系だけはやだけど、それ以上は決まってないんだよね」


「咲彩はテニス部にしようかなー」


あれから私たちはお昼を一緒に食べる仲になった。もう1人、鳳咲彩おおとりさやという子とも仲良くなり、基本的にこの3人がイツメンだ。



「咲彩、もう決まってるんだ!」


「うん、高校に入ったらテニス部入ろうって思ってて。すずはどうするの?」


「私もまだ未定なんだよね〜」


「じゃあ、汐梨と部活見学まわっちゃえば?」


「あ、それいいかも。一緒に行こうよ、すず」


「うん!」



(やった……!)


咲彩の提案から私と汐梨で部活勧誘巡りをすることになった。汐梨と同じ部活に入りたかった私からしたら、その提案はとてもありがたかった。一緒に巡れば同じ部活に入れる可能性もぐっと上がる。




(同じ部活に入れるといいなぁ)


その日の授業の間はずっと部活勧誘のことばかり考えていた。






──放課後──


「どうする?部活」


「私、吹奏楽見に行きたいな」


「汐梨、ピアノやってるもんね」



(吹奏楽は……どこだっけ)

先生から渡されたパンフレットを見る。

学校の校内図と各部活の活動場所と活動時間が書かれているものだ。



「吹奏楽は4階の第2音楽室だって」


「ありがと!すずも行く?」


「もちろん!」



✱✱✱



「……吹奏楽部人数やばかったね」


「あれじゃあ絶対部活きついよ」


どちらからともなくため息をついた。



あれから私たちは吹奏楽部の見学に行ったのだが……。



正直いって圧倒された。100人を超える部員に、全国大会常連という実績。楽器体験では優しくしてくれたが、実際はスパルタ指導なのは言うまでもいだろう。




(キツすぎるのもちょっとね……)


「もっと楽なとこ入りたいな」


「私もすずと同意見。部活と学業両立させなきゃだし」


「といっても、もうすぐ部活終わっちゃうんだよね〜」


あ、と汐梨が声をあげる。


「どうしたの?」


「この音、聞いたことある。どこから流れてるんだろ」


「ちょ、汐梨!?」


突然走り出した汐梨を私はただ追いかける。


「ここから音してる……」


「えっと、三階の第1音楽室だから……」


(箏曲部……って何してるんだろ)



「ね、ちょっと見学してみようよ」


「うん……」



よく分からなかったけど私は汐梨の言うことを聞くしか無かった。



「割と良かったね!」


汐梨が頬を赤らめて笑顔で話す。


見学に行った箏曲部はアットホームな雰囲気で先輩たちもとても優しそうだった。



ちなみに箏曲部とは和楽器の(こと)を弾いている部活のことを言うらしい。



「にしてもよくあそこからここの音聴こえたね?」


フロアも違うのに、と付け足すと汐梨はへへっと笑う。



「私、すっごく耳がいいの。あとは私のおばあちゃんが箏弾いてて、なんだか懐かしい音がするなーって思って」



(すごく楽しそうに話すなぁ)


汐梨の笑顔を見てるとなぜだかこっちまで笑顔になってしまった。



「んで、部活どうするの?」


「箏曲部にしようかなー、すずは?」


「私も、そうしようかな……」



(正直いって箏に興味がある訳ではない、けど)



「じゃあ一緒に入ろ!」



笑顔の君を見てるとどうでもよくなっちゃった。



(これから、たくさんの時間を一緒に過ごせるんだ)


一緒にお昼食べて、部活行って、遊んで……。なんだか凄く楽しみだ。いわゆる青春っていうやつを経験出来るかもしれない。



(それに、あの子に惹かれた理由を知りたい)



そうして私の高校生活は幕を開けた。

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