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俳句で青い春を‼︎  作者: 桜渓凪愛
8/8

熱い夏の始まり

1年生編最終話投稿しました。

「いやぁ、まさか3人とも辞退するとはね

 笑っちゃうね、はっはっはっは!」


「部長…すみません、僕が昔の話をしたばっかりに」


「いやいや、清水くんは悪くないよ

 今年は残念だけど、来年彼らはきっと来るよ」


「そうだといいのですが…」


「そんなことより清水くん。

 彼らの句、中々いいねぇ!

 まぁ、改善の余地はまだまだあるんだけどさ」


始発便 バナナシェイクと ワイシャツと

木漏れ日と あなたの笑顔 小春かな

一目惚れ 君の横顔 風光る


「うーむ…僕は特にこのバナナが好きだなぁ」


「それはーーー」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




あれから2週間が経った。地区予選も終わり、いよいよ本戦に向けた準備で俳句甲子園出場メンバーは俺たちとは別の活動をするらしい。部長もメガネ先輩も森山先輩も今は俳句部にはいない。

ちなみに地区予選の結果といえば、もちろん1位通過。決勝では驚異のストレート勝ち。3人とも素晴らしかったと聞いた。地区予選最優秀は部長だったそうだ。


開校の 机運びて 風光る


さすが部長だった。“風光る”の特性を上手く使っている。

そもそもによくこのような言葉が出てくるものだ。普通、自然のイメージしか出てこない。だというのに、開校の、という言葉から日が差し込むイメージが容易にできる。この句には作句する時には言葉を知る、というのも大切だということを教わった。

放課後になり、教室から出るとメガネ先輩がこっちに向かって歩いてきた。


「ユッキー、君の句が部長に好評だったよ」


「ほんとっスか!?

 でも、なんでなんスかね?

 2人にはまぁまぁ、って言われたのに。」


思い出したら腹が立ってきた。あいつら俺の句をボコスカ言いやがってこの野郎。


「部長的に刺さったんだろうね。

 まぁ、とりあえず要件はそれだけだけだから、また」


「あ、うす」


教室に戻ると、珍しくフランセスカがさっき話していたことについて聞きに話しかけてきた。普段は滅多に話しかけにこないのだが、珍しいこともあるものだ。


「先程の話、聞こえましたわ、よかったですわね」


「おう、サンキュな!」


「…次は負けませんわ」


「…っ!

 次も負けねーぞ!」


フランセスカからの思わぬ声かけで俄然燃えてきた。

来年は今年のリベンジをするために、今からでも帰って作句しようと帰りの支度をする。さっきまで一緒にいたはずのフランセスカはもうすでに帰っていた。


「…さっき話したばかりなのにもういない」


「あいつは帰るのが早いからな」


「藤広…」


藤広が俺の背中からヌルッと現れ、声をかけてきた。

藤広もさっきのことについて話しかけにきたのだろうか、とすればこのままでは少し調子に乗っちゃうかもしれない。乗っちゃおうかなー!なんて思っていると。


「それよりお前…さっき」


「さっき?」


藤広もフランセスカと同じ内容を言ってくるのかと思ったら。


「フランセスカがお前に話しかけてなかったか?」


そこかい。そこかい藤広。頼むからもっとこう…違う場所を…主なメガネ先輩が話しかけに来たところを見ててくれ。まぁ、少しズレてるくらいの方が藤広らしいちゃらしいけれど。


「あぁ…まぁ」


「珍しいこともあるもんだな」


「そうだな、基本あいつは話しかけないからな」


フランセスカの珍行動の話をしていると、放課後のチャイムが鳴った。もう日も傾いて来ている。そろそろ帰ろうと思い、2人揃って帰りの支度を始める。


「なぁ、藤広」


ふと。思いついたように話しかけた。俺はこいつにはまだ言ってなかったことがある。隠してた本音。


「なんだ?」


「入学して最初の頃、お前、俺のこと覚えてないのか

 って聞いてきただろ。

 俺が覚えてない、って答えたやつだよ

 あれ、実は覚えてたんだ。俺に昔勝ったやつだからな

 正直、あんまり好きじゃなかったんだ

 だから、覚えてるって答えたくなかった」


「そうか」


「でも、関わっていくうちに俺の偏見だってことが分か

 った。だから、今はもう違う。おまえはいいやつだ」


「…そうか」


「俺は、来年こそお前らと最高の舞台に立つぞ」


「当然だ。せいぜい足を引っ張るなよ」


「はっ、スランプ野郎が何言ってんだ」


俺たちは笑いながら教室を出た。

俺の、いや、俺たちの挑戦1年目は失敗に終わった。しかし、仲間ができた。お互いに切磋琢磨できる仲間がだ。

あと2年の内に自分にできることをし、本戦に出る。

そして目指せ完全優勝。

そのために先輩から学ぶ。少なくとも、今はまだその時期なのだから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺たちは校門を出て、空を見上げた。

大きな入道雲がこちらを見下ろしている。辺りはすっかり初夏だということを知らせてくれる。

これからあの、俳人の青春の全てと言ってもいい白熱した長い長い夏が始まる。

これは俺の高校3年間、青春の全てを捧げた偉大なる俳句甲子園までの軌跡のお話。

読んでいただきありがとうございました。

俳句の小説と言いながら、ほとんど俳句が出なかったという点については大変申し訳ありません。

1年時は上手くいかなかった、という設定にしたかったので中々出す場面がなく、1年生編はほぼ出ないようになってしまいました。

2、3年生編はいつかまた書いていきたいと思います。

それでは、また。

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