美少女になった私
酷い吐き気と頭痛で目が覚める。
体は上手く動かせない、かろうじて腕を持ち上げるとやけに小さい気がする。
病院??
いや白くない。点滴もない。
《絶対死んだと思ったんだけどな》
視界がどんどんと広がる。
記憶も蘇る。
バス停で事故に巻き込まれたはずだ。
色鮮やかな世界は一瞬で真っ赤になった。
元々汗びっしょりだった体から、今度は冷や汗が出る。鮮明な記憶から体も震えだす。
声を出したいのに、ヒューヒューと乾いた空気が漏れるだけで音にならない。
「お嬢様!?お嬢様!?分かりますか?
すぐに旦那様と奥様を呼んで参ります」
人が側に居たなんて気付かなかった。
えらく慌てた様子でバタバタと走って部屋から出ていったようだ。
《ん??お嬢様??看護婦じゃなくてメイド??
ちょっと待て意味が分からない??》
混乱し過ぎて、冷や汗と震えは止まった。
思い通りにならない体に力を振り絞り、上半身を起こしてみた。
正面を向くと大きな姿見がある。
疲れた様子の幼女が映っている。
8歳〜10歳位だろうか、見るからに良い所のお嬢さんだ。寝巻きのはずなのに、白いフリフリしたレースが沢山ついている。
ストレートな長い黒髪。カラコンだろうか?瞳はエメラルドグリーン。パッチリした二重の大きな目。
痩せているためシャープな顎。
血色が悪いせいもあるが、色白な肌。
もう完結に表現するなら美少女だよ。
ジーと観察するばりでは失礼だと思って、声を掛けてみる。
「お嬢さん、ここはどこでしょうか?」
違和感。もの凄く違和感。
自分が発した声は掠れているが高めの声。
鏡に映る美少女が同じように口をパクパク動かす。
???????
右手上げて、左手も上げて。
右手下げて、左手は下げない。
???????
なぜ同じ動きをする?
ムンクの叫びのように、両頬に手を当ててみる。
やはり同じ動き。
確かめなければならない、全身筋肉痛のような体を動かす。豪華なベッドからゆっくりと降りる。
頭痛はまだ治っていないせいか、立ち上がることは出来ない。ヨチヨチと四つん這いになりならが、2m先の姿見にフラフラと近づく。
息が上がる。少しの距離のはずなのに。
やっとの思いで鏡に到着した時には、倒れそうだった。
頭を上げて、鏡を見る。
うん、さっきよりハッキリと美少女が映る。
「私?これ私?嘘!?美少女になるとか、どんな漫画の世界なんだよぉーー!?」
よぉー よぉー よぉー と木霊する声で叫んでしまった。
簡易ですが、いつかキャラ設定のラフ画を載せてみたいですね(●´ω`●)




