遥だった私
ボーイズラブな表現があったり、バカで腹黒の女性主人公です。たまに流血など残酷な描写もあります。苦手な方はご遠慮下さい。
「遥は5月生まれだから、誕生石のエメラルドをあげるわね。お守りとして大事に持っていなさい」
成人の祝いに祖母は笑いながら宝石をくれた。
手の中にある宝石はキラキラと光る。あまりにも豪華な成人祝いだと嬉しくて、重さを確認したり、太陽にかざして色々な角度で凝視する。
私の様子を祖母は満足そうにニコニコと見守る。
「おばあちゃん、有難う!大事にする!」
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短大を卒業して、成人式を終えた。
幸いにも無事に就職も決まり、友人達とは卒業旅行にも出掛けた。現在彼氏はいないけど、優しい家族と友人、楽しい趣味(腐女子)、何一つ不満はない。
むしろ幸せな人生だと胸を張る自信がある。
犬より猫が好き、和食より洋食が好き。
お洒落より漫画が好き、単純思考で極端に難しいことを考えるのが苦手。
人の感情には敏感で、悪知恵はよく働く。
標準の女性よりややぽっちゃり(本当は結構太め)体型だが、幼い時からずっとなので気にもならない。
礼儀やマナーは知っていても、英語や地理は大の苦手。それが私、大西 遥。
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明日からは新社会人。
短大時代にバイト三昧で過ごしたノウハウを活かして、バリバリと働いて稼いだお金で趣味に生きる楽しい人生を送るのだ!
「うげ!白いハンカチがない!流石にヲタクだと初日からバラすわけにはいかん!」
ヲタクを周りに隠す気はない。
家族や元彼には即バラして、BL本や乙女ゲームでぐちゃぐちゃになっている部屋を片付けてもらった。
でも、第一印象は大事だ。
新生社会人なのだから、ある程度は周りに合わせて、一般人のフリをしなければならない。
ネタバレは時期と相手を見て慎重にしなければ!
「外出は面倒だけど、必要な物だし。心機一転で筆記用具を全部揃えておこうかな?研修で暫く使うだろうしね」
重たい腰をあげて、軽いメイクを施す。
部屋着から外着に素早く着替えて、いつものバックを肩に掛けて、準備完了。
誰もいない部屋に向かって、いってきますと小声で囁く。玄関の鍵をしっかりとかけた。
徒歩5分もかからないバス停に到着すれば、街行きのバスが来るまであとは待つだけ。
携帯電話にヘッドホンを差し、YouTubeで大好きな曲を少し大きめな音で流す。
だからかな…周囲の変化に気がつかず、目を開けた瞬間に、目の前にバスが突っ込んでくる。
走馬灯は見えないけど、やけに世界がスローモーションに見える。逃げ惑う人々、居眠りなのか発作なのか分からないけど、ぐったりしているバスの運転手。
《あー、私まだまだ漫画読みたいのに、20歳ピチピチなのに、いつかウエディングドレス着たかったのに、親孝行したかったのに…死んだな》
冷静な言葉と現実が次々に浮かぶ。
祖母から貰ったエメラルドを握り締めて…
私の世界は赤になる。
《生まれ変わっても漫画大国の日本を希望します》
なんて、神様にお願いして、目を閉じた。
転生漫画・小説が好き過ぎて、ついに自分でも書いてみようと決心しましたww
誤字脱字がありましたら申し訳ありません。
亀更新予定ですが、よろしくお願いします。