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パパに側室なんて許さない!  作者: 灰羽アリス
17/22

17 犬(狼)獣人のロキ


 あたしを助けてくれたのは、茶色の犬耳とふさふさのしっぽがついた男の子だった。背はあたりよりこの子のほうが少しだけ高いけど、たぶん、同い年くらいだと思う。


「つまり、あなたも誘拐犯の仲間だってことね」


「俺は助けてやっただろ!なんだよ、その言い草は!」


 男の子は、名前をロキといった。そこに転がってる()のっぽ(・・・)と同じ盗賊団に所属する見習いだそうだ。


「うちのおやぶん、人身売買だけは許さないんだ。なのにこいつら、小遣い稼ぎだーって隠れてこそこそと。見つかったら殺されちまう。だから、やる前に、止めに来た」


「とかいって、獲物を横取りする気じゃないでしょうね?」


「はぁ!? しねーよ、んなこと!」


 怒ったのか、犬耳がぴょこぴょこけいれんしてる。


「……じゃ、俺は帰るから。お前らも気ぃつけて帰れよ」


「待ちなさい」


 しっぽを引っ張ってとめると、ロキは「いぎぃ!」と変な声を上げた。


「ばか!しっぽはなしだろ!」


「あなた、あたしたちを売り飛ばそうとしといて、何のおとがめもなしで通ると思ってるの?」


「だから俺は───」


「そこの男たち、あたしが通報すれば命はないわよ」


「………」


「通報できないとでも? あたしは連絡用のカラスを持ってるの。手紙くらい、すぐに飛ばせるわよ」


「何がのぞみだ」


「あたしたちを家まで送り届けなさい」

 

「連絡用のカラスを飛ばせるなら、迎えを呼べばいいだろ」


 おっと、そのとおり。この子、馬鹿じゃないわね。


「迎えを待ってる時間はないの。すぐに帰らなくちゃ。パパが危ない」


「───お前の親父、命狙われてんのか」


 やっぱりな、とロキは納得顔だ。


「どうせ、貴族のお家騒動かなんかだろうと思ってたぜ。当主は殺し、邪魔者の子どもと母親は売りさばく。んで、家を乗っ取る」


 どこかで聞いた話ね。おもに、ゴシック小説の中で。現実にはそんなお話、ないわよ。


「まぁ、そんなところ」


 とりあえず、いまは話を合わせておく。あたし、連絡用のカラスなんて持ってないし。ロキに見捨てられたら帰る手段がない。


「いいぜ、そういうことなら協力してやる」


「協力させてください、でしょ。立場をわきまえなさい、わんちゃん」







現在、クリスマスに贈る短編として、

【純文学】『猫の目で見る世界』をアップしております!1万8千字程度の短いお話なので、ぜひこちらもチェックしてみてください(^^)☆


"色覚障害をもつ先輩は、たった三色しか色を識別できない。青と緑と黄色だ。

12月25日。クリスマスカラーの赤を見て、ひよりは中学生の頃に経験した『初恋』を思い出す。"

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