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パパに側室なんて許さない!  作者: 灰羽アリス
15/22

15 おじさま、ヘルプ!


 もう我慢ならないわ……!!!


 あたしとトニーは真っ赤に腫れ上がった肌をかきむしった。世話係のミアがおろおろと、あたしたちの肌に薬をぬってくれる。しゅんとたおれた猫耳は、反省を示していた。龍姫にもらったものは捨てろって言ったのに!なんて、だからあたしはミアをしからない。


 ミアが湯ぶねに入れた赤い粉を見たとき、ああ、新しい入浴剤なんだなって特に気にしなかった。バラの香りがしたし、オトナな感じがして気に入った。トニーとふたりでお湯につかって、最初はよかった。楽しく遊んでた。そしたら突然、お湯がぼこぼこしだして、ゆであがるほどに熱くなった。龍姫がくれたという入浴剤に、何か仕掛けがしてあったんだと思う。あたしとトニーはすぐに湯ぶねから出て助かったけど、かゆくなるほど、全身をやけどしたってわけ。


 最近、あたしたちがしかけるイタズラはことごとく失敗するのに、龍姫があたしたちにしかけてくるイタズラ(そんな生易しいものじゃないけど)は絶対に成功する。あたしたち、そろそろ本気で殺されるかもしれない。


 龍姫にとってみれば、あたしたちってすごく邪魔な存在だもんね。パパへのアプローチを邪魔してくるからって意味だけじゃなくて。仮に、龍姫が本当に側室になったら。ほら、龍姫が言ってたじゃない? 自分の子どもを魔王にしたいって。そのためには、現時点で世継ぎと決まっている"クソガキども"が邪魔だって。


「ママ、おはなしがあります」


「なにかしら」


「あたしたちはもうオトナなので、おやすみの儀式をしにこないでください」


 ママからふっと表情が消え、そして、


「えぇっ!!」


 大げさに悲鳴を上げた。


「だって、絵本を読むのは? 子守唄は?」


「必要ありません」


「急に、どうして。トニーは?寂しいわよね?」


「トニー?」


 泣きそうなトニーを、じっとりと睨む。


「うっ……ぼ、ぼくはもう、おとななので」


 説得のかいあって、ママはあれからおやすみの儀式をしに来ない。

 酔ったふりして寝室に突撃~っていう龍姫の計画。あれを阻止するには、ママにはずっとパパのそばにいてもらわないといけないんだ。

 最初の何日か、トリーは泣いちゃって大変だったけど、もう平気。弱音を吐かない男、ドラゴンライダーの"アントニオ"のはなしを出したら、トニーはおとなしくなった。ありがとう、ドラゴンライダー"アントニオ"。


 それから、フェルナンデスおじさまに手紙を出した。龍姫から受けたしうちを書き連ねて、証拠や詳しいレポートも同封した。どうか、かの女を退治するため、おじさまの力をお貸しください。


 





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