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部活は高校生の青春そのものとも呼べる活動でそこに入ってるだけでなんとなくカッコイイ感出るしカースト上位に入れたりしてまぁつまり何が言いたいかというと運動ができる私の彼氏はとにかくカッコイイ!!!

遅れてごめんなさい!!

しかも普段の半分ぐらいしかないです……ホントにごめんなさい。

 チャイムが鳴り、私たちはついに学校という名の牢獄から解放される。

「そういえば幽良」

「ん~! あ、なんですか?」

 大きく伸びをしているとサキサキ先生に声を掛けられた。

 わざわざ声を掛けるなんてどうしたんだろ、今日は寝なかったはずなんだけどな。

「今日は珍しく授業中に寝なかったな」

「はぁ」

 なんだ、そんなことか。

「どうです? 見直しましたか?」

「それが普通だ馬鹿者。これからもそれを続けるように」

「はーい」

 サキサキ先生のありがたいお言葉を背に受けながら、私は凪のクラスへ突撃していった。


「あ、幽良。じゃーねー」

「ん、ばいばーい」

 女子にあいさつをされたりしつつ、凪のクラスを目指す。

 すると、途中であった男子がこんなことを教えてくれた。

「彼氏なら今日先生に仕事任されたから遅くなるってよー」

「ふーん、教えてくれてありがとね」

 んー、先に帰ってもいいんだけど……どうしよっかな~。

「あ、そうだ」

 折角だし弓道部でも見に行こうかな。

 実は今、部活動見学の時期なのだ。だから1年生は好きな部活に参加または見学をすることができる。

 ゲームする時間なくなるから部活には入らないけど、弓道ってちょっと興味あるんだよね。

 ほら、なんかカッコイイじゃん弓道。

 それに弓って音が出ないし曲射もかけやすいから慣れてくると銃より強かったり……いや違うそれはゲームの話だ。

 でも実際結構イケる気がするんだよね。ゲームとはいえリアルさを謳ってるFPSで4,5回射れば1回は当たるようになったし。

 というわけでレッツゴー!


「……というわけで弓道にはいろいろと細かい作法があるんだけど、それを聞いてても詰まんないと思うから早速射ってもらおうかな」

 そういった後、先輩はまぁ放ち方の指導とかはするけどね、と付け足しニカッと笑った。

 え、何あの人かわいい。

 あ、そういえばこの学校は男女で弓道部が別だからそこは安心してほしい。

「まずは弓かけを付けてね。指の所に親指、人差し指、中指を入れて……紐をこんな感じで巻く」

 ふむふむ、こうかな?

「できたら早速弓を引いてみよう! あ、流石に最初は矢はナシね?」

 そりゃそうだ。急にやらせてケガでもしたら大変だもんね。

「じゃあまず弓を左手に持って……」

 それからしばらく、先輩の指導が続いた。

 すごい丁寧に教えてくれたからわかりやすくてありがたかった。この人いい人だね。


「さ! 教えることは教えたし、順番に射ってみて!」

 先輩のその声に待ってましたと言わんばかりの歓声が上がる。

 早速他の体験者達が矢を放っていくがやはりというべきか1人も当たらず、というかまともに矢が飛んだ人も少なく、私の番になった。

 しかしこの先輩本当にスゴイ。みんなが外して軽くショックを受けている所にニコっと笑いながらそれぞれに違うコメントをするのだ。それも具体的な改善点と一緒に。

 それはともかく今は私の番だ。深呼吸をして意識を研ぎ澄ませる。

 ゲームで弓を使った時を思い出して……あのときは動く対象にこっちも動きながら当てたんだからこれも当たるはず……集中。

 ゆっくりと息を吐きながら弓を両腕の高さまで引き降ろす。

 大丈夫、きっと当たる…………

「はっ!」

 全神経を研ぎ澄ませ、極限の集中状態で放った渾身の1射は……

「すごいすごい! 初めてで当たるなんてすごいじゃん!!」

 的の縁に、ギリギリ刺さっていた。

「ふぅ……よかったぁ……」

「キミ、才能あるよ! どう? 弓道部入らない?」

「あはは……考えときます」

 ん~、どうしよっかな~……入らないつもりだったんだけど、結構楽しかったな。

 それにギリギリだったとはいえ当たった時がとにっかく気持ちよかったし嬉しかった!

 まぁもし入ったとしても最初の半年ぐらいは作法とかだけでまともに射れないってのは知ってるけど……それを入れてもちょっとやってみたいかも。

 そんな風にちょっとルンルン気分のまま、その日は最後まで弓道部の体験をしていた。

 毎回先輩が具体的にアドバイスをくれたおかげか、最後の方には私たち全員的に当たることはなくともマトモに飛ぶようになった。

 私は結局あれから1発も当たることなくやっぱマグレだったのかなと思ってたら、先輩が

「いやいや初めてやって当たるなんて偶然じゃおきないから! やっぱ才能あるんだよ!」

 と力説されてちょっと照れた。

 楽しかったなー、でもゲームがなー……

 うー! どーしよう!!

 そんな風に悩みながら、私は弓道場を後にした。


 玄関に着くと、丁度凪が靴を履き替えてるところだった。

 しかもなぜか汗だく。

「あ、幽良じゃん、丁度良かった」

「え、なんでそんな汗だくなの?」

 先生の仕事手伝ってたって聞いたんだけど。そんな重労働だったの?

「あー、仕事終わって帰ろうと思ったらお前の靴がまだあってさ、近くの奴に聞いたら弓道部行ってるって言ったから」

 から?

「俺もちょっとバスケ部行ってた」

「へー、たしかに凪球技上手いもんね」

 料理出来て人望あってスポーツもできるとか私の彼氏最強すぎん?

「で、どうだった?」

「楽しかったぜ、ミニゲームだったし」

「へー」

「しかも結構活躍できたし! 俺バスケ部入ろっかなー」

「え、部活入るの?」

 凪が入るんだったら私も入るにしようかな……一緒に帰れるし。

「まぁな。折角の高校生活だし入んないと損だろ?」

 そういってニカッとイケメンスマイルを決める凪、超カッコいい。So cool! ってやつだね。

「幽良は弓道部入んの?」

「へ? も、もちろん」

「うっし、ならお互い頑張ろうな!」

「うん!」

 こうして、成り行き的に私の弓道部加入が決定した。

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