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vsくまさん

罠師の方と日にちをずらすための投稿です。

次回投稿日は2月20日です。

罠師は19。

「んー、最初に話した通りだとこれから2人で1緒に狩りしようと思ってたけど……」

「これだとちょっと簡単すぎるよな」

ソロでも数十秒に1羽ペースで狩れたんだしそれを2人でやってもただの作業になりそうなんだよね。

VRMMO初めての人とかなら丁度楽しめるんだろうけど私たちみたいに戦闘慣れしてる人にはちょっと簡単すぎかな~。

「でもさ、このゲームすごいテンプレを大事にしてる感じあるじゃん?」

「あぁ、たしかにそうだな」

「だから夜になったら難易度跳ね上がるとか……ありそうじゃない?」

「お、たしかにそれあるかも」

こういうゲームの最初の草原とか森って大体昼と夜で難易度別物になるよね、なぜか。

だからそれを狙っていこうっていうわけですよ。

「でもそれするにしても今太陽真上にあるし多分夜になるまであと1,2時間はあると思うけどそれまでどうする?」

さすがにゲームで時間の進みが現実と同じってことはないでしょ。

夜にしかインできない人とかがかわいそうだし。

「ん~、そっちは?」

「フウのレベル上げに付き合ってもいいんだけど……正直裁縫、料理とかもやりたい」

「おっけ、なら俺もそっち手伝うわ」

「マジ? ありがと」

彼女に合わせるとは流石フウ、やりおる。

「それじゃ、簡単な宿的な場所探そっか」

「おー」


あれから私たちにも使える安宿を探して早速そこにチェックインした。

まぁこういうゲームの宿の使い道は基本的にはカラオケとかネカフェ、漫画喫茶とかと1緒で個室の確保っていう意味合いが大きい。

中にはホントに泊まる人もいるけどね。

閑話休題。

「さぁフウさん」

「はいなんでしょうかゆらちんさん」

「裁縫にする? 料理にする? それとも……わ・た・し?」

「んー……じゃあ料理で。どれぐらい味覚が再現されるかも気になるし」

「む、このボケ殺しめ。まぁいいや、りょーかい」

折角このゲームにならってテンプレで聞いてあげたっていうのにまったく……。

まぁここで「お前」とか言われちゃったらそれはそれで恥ずかしいっていうか……その……な、なんでもない!!

「で、では早速作っていきましょう!」

「なんでそんな赤くなってんの?」

「う、うるさい!!」

なんか盛大に自爆した気分……あぁ恥ずかし。

えーとなになに、料理をするにはまず『初級キッチン』を展開します。

ストレージを操作してそれを出す。

すると、目の前にドン出現した。

「「お~!」」

見た目は基本的なアパートとかについてるキッチンを想像してほしい。あんな感じだ。

「じゃあなんか食べたいのある?」

「俺が選んでいいの?」

「もちろん」

私の料理レベルは……まぁ普通ぐらいにはあると思う。けっして上手いわけじゃけど。

「まあ食材はウサギ肉だけだけど」

「ん~……じゃあ、からあげで。うさぎって鶏に近い食感らしいし」

「はいはーい、じゃあちょっと待っててね」

このゲームは職業にあった装備とかのアイテムを最初にいくつかもってるからありがたいね。食材を買うお金もないみたいなことにならないから。

そんなことを考えながら鍋に油をひき、火にかけて小麦粉をまぶしたうさぎ肉を鍋にぶちこむと……爆発した。

「あうっ」

「……は?」

ふぇっ!? なに? どゆこと?? なんで爆発すんの????

私がプチパニックを起こしていると次第に煙もはれ、フウの方を仰ぎ見ると、

「ぷっ」

……なぜか笑われた。

「ぷっ、あはははは! なんだお前そのあた、頭……やば、死ぬ……」

ゲラゲラとお腹を抱えて笑いながら転がりまわるフウ。

え、なに? どゆこと?? なんで私笑われてるの????

「くっ、ふふふ……は、はい鏡」

「あ、ありがと」

渡された手鏡を見てみると、アニメで実験に失敗した博士のようなアフロ頭になっていた。

「な、なんじゃあこりゃあぁぁぁぁぁ!?」


その後改めて料理スキルの説明を見てみると、最初は焼く、炒めるしかできないらしい。

それでまだできない調理法をするとさっきみたいに爆発する、と。

私のバカ、なんで先にそこを見とかなかったのさ……死にたい。

今は真っ赤になりながら無言でうさぎ肉をステーキにしている。

アフロは近くの雑貨店で買った櫛を通したら治った。よかった。

「はい完成、どうぞ」

「ちょっとゆら、機嫌治してくれよ。笑ったことは謝るからさ」

「私は傷つきました。自分の失敗を大爆笑されて。しかも10分以上も」

「ごめんごめん」

これは慰謝料を請求しないとダメだね。

……ほんとに恥ずかしかったんだから。

「クレープ」

「え?」

「こないだ駅前に新しくできたクレープ屋さん、おいしそうだったなー」

「あそこ1個800円以上するんだけ」

「だったなー」

「……わかった。なんならドリンクもつけよう」

「ん、なら許す」

この瞬間私の機嫌は180度反転した。やっぱり学生に800円は高いじゃん? しかもドリンクつければ多分1000円超えるし。

「ふんふふーん♪」

今度の週末を楽しみに鼻歌を歌いながら、ハッピーになった私は追加で串焼きも作っちゃう。

「いただきまーす」

「はいはい、めしあがれ」

私が串焼きを作ってる間にフウはステーキを食べる。

「へぇ、いいじゃん。おいしい」

「よっし」

これで私の女子力を少しは証明できたかな? なんならクレープも手に入って1石2鳥。

……その分代償も大きかったけどね。


次に作った串焼きも無事高評価を得ることができた。やったぜ。

んで、外が暗くなってきたため私たちはフィールドに向かっていた。

多分これがこのゲームで最後の自発的にする戦闘だと思う。

まぁフウに誘われたり頼まれたりすればまだするかもだけど。

これから私は家で夫の帰りを待つ妻的なポジションを確立しようと思う。

それはともかく、今は狩りを楽しもう!!

「さぁ行くよフウ! 目指せモン〇ターハンター!」

「おー!」

頭の中で例のBGMが流れる。

「ふっふふふーん、ふふふふふーんふふふーふー、ふふふーんふふふーふーふーん♪」

頭の中じゃなくて口に出てるじゃんって? ……たしかに。

VRのモー〇ンは本当に楽しかった。迫力がえぐい。

「えらくご機嫌だな」

「まぁね」

だってこういうところの夜の森ってラスダン並みに難しかったりするじゃん。

そんなの楽しみに決まってる。

「さぁて、レベル4とレベル3のペアでどこまで戦えるかな~っと?」


「ね、ねぇフウさんや」

「な、なんですか? ゆらちんさんや」

「これ、詰んだんじゃない?」

「…………」

え~と、なんでこんなことになってるんだっけ……

最初の方は良かったんだよ。確かに敵は強くて1発でHP半分以上持ってかれたりしたけど、それも含めてスリルが楽しかった。

わかりやすく言うと裸でG級リオ〇ウスに挑んでるみたいな。

んで、私たちもテンション上がっちゃって奥まで突き進んでいったわけですよ。

するといつの間にか草原から森にマップ移動しててですね。

流石に帰るかーって思って振り向いたら……くまさんがいたんですよ。

くまさんはくまさんでも黄色かったりするわけじゃなく、全身は真っ黒な毛並みに覆われて目が紅く染まってるめっちゃ怖いやつ。

超強そうなの来た! って思って私たちは勇み挑んでいきました。

よし、こっからはもうちょっと細かく描写しようそうしよう。

ではvsくまさん、入ります。


「行けるね? フウ」

「もちろんだ。お前こそ大丈夫か?」

「ふふっ、誰にもの言ってんだか」

私たちは冷や汗を流しながら……いやゲームだし出ないけど。まぁそんな雰囲気でありながらも楽し気に笑いあった。

「いくぞくま公!」

「ハチミツの貯蔵は十分か?」

「ぷっ」

ちょ、フウ、笑わせないでよ……

そんな風に私が笑いをこらえていると、くまがブオンと音をたてながら爪で薙ぎ払ってきた。

「うおっ!?」

フウがびっくりして声をあげながら大袈裟に回避する。

対して私は気持ちを切り替えて1歩後ろに下がり回避。

すると、空振りした爪は近くの大木に当たり……その幹をへし折った。

「「……は?」」

いや、え……は? なにその火力……えっぐ。

これはちょっと……大分楽しくなりそうだね!

「いくよフウ!」

「あいよっと!」

まずは私がくまの後ろに回り込み、包丁で膝裏を切りつけた。

カーーーン!

「え?」

金属同士がぶつかったような音が響き、私の包丁は弾かれた。

続けざまにフウが私が切った場所の反対側に斬りかかる。

カーーーン!

「は?」

金属同士が(ry

なにこの硬さ……ダルいなぁ。

膝裏でダメならもう目か口の中を狙うしかないかなぁ……他には首とか?

どちらにせよ上か、こいつ背高いんだよね。

多分3mぐらいある。

……いや届かなくね?

い、いやまぁ最悪弾かれてもダメージは少量入ってるでしょ。

モー〇ンでも弾かれてても斬り続ければ部位破壊できるし。

だったら斬り続ければ1応倒せる……はず。


あれから数十分、ひたすらヒット&アウェイで右足の膝裏を斬り続けていると、ついに切れ込みが入った。

「よしきた! フウ!!」

「あいよっと!」

すかさずフウがそこに飛び込んでいくが、なんとなくイヤな予感がする。

くまの顔を見ると、なにかをためているようだった。

「っ!? やっば!? フウ! 戻って!!」

しかし、私が警告をすると同時に、くまが吠えた。

「グルワァァァァァッァ!!」

「なぁっ!?」

その咆哮は衝撃波となって私達に襲い掛かる。

少し距離を取っていた私は風を感じるだけですんだが、やっとできた傷を斬ろうとくまに肉薄していたフウは吹き飛ばされてしまった。

さらに、今までは緩慢で避けやすかった動きが急に機敏になり、1瞬でフウとの距離を詰めた。

「やば」

い、と言い切る暇もなく、フウが左腕を消し飛ばされてこちらに転がってきた。

「ビリビリする……」

このゲームだけではなく、VRゲームは大抵ダメージを食らったところにはしびれが発生する。それも結構強めのが。

だからダメージ気にせずゾンビアタックは余程の変態以外まずできない。

「大丈夫?」

「あー、正直結構ヤバイ。今ので体力が9割減った」

1撃で9割とかやば。

草原の敵が裸で挑むリ〇レウスだとしたらこっちはイビ〇ジョーだね。それも飢えてるやつ。

いやいや軽口叩いてる場合じゃない。

なんかオーラ出てるし多分もっと硬くなってるよねこれ……

「じゃあフウは1旦回復してて。私が時間稼ぐ」

このゲームの回復薬は時間経過で回復するタイプだからフウが戦線に戻るには少々時間がかかる。

「おいおい、さっきの見たろ? こいつ大分速いぞ」

ふっふっふ、それがどうしたっていうのさ。

「私は〝ゴースト〟様だよ? まぁ見てなって」

さ、いっちょやったりますか!


「グルワァァァァァッァ!!」

「しっ!」

躱す、躱す、躱す。

目線、パターン、あらゆることから行動を予測して攻撃を躱す。躱し続ける。

極力自分からは攻めず、時々大きな隙が出たときだけ1発斬る。

右から爪がきたら後ろに下がり、上から来たら逆に接近してすれ違いざまに斬撃を浴びせる。

[『回避:8』を獲得しました。]

[『回避:9』を獲得しました。]

[『包丁:5』を獲得しました。]

次々とスキルの獲得を知らせるアナウンスが視界に入る。

これがすごくうざい。いくら小さくて半透明とはいえ視界を少し遮るし、設定からオフにできるけどそれをする暇もない。

それに、ここまで見ると余裕そうに見えるかもしれないけど、実は全然そんなことはない。

皆、私の「敏捷」いくつか覚えてる? あと「体力」

「体力」は10だし、「敏捷」に至っては2だよ2。

元から遅かった動きがちょっと前からさらに遅くなっている。

久しぶりに来た攻撃のチャンスを1度見過ごして自分の体力ゲージを見ると、体力ゲージはすでに0になっており、じわじわとHPが減ってきていた。

これは結構マズい。そろそろ休憩しないと……

でも爪しか攻撃方法がないみたいでよかった。足や牙、先ほどの咆哮なども使われたらたぶんもう死んでたと思う。

やはりこの時、私の集中力は限界に近かったのだと思う。いつもならまだ他の攻撃方法がなかったとしてもこれからも絶対来ないというわけではないのだから警戒をおこたることは無かったと思う。

だが、今は「どこから爪が来るか」しか考えていなかった。

そのため、隙を見て攻撃したときに下から迫ってくる足に反応することができなかった。

「しまっ!」

「だぁ!!」

死んだと思ったが、回復を終えたフウがその攻撃をいなしてくれた。

「フウ!?」

「待たせたな! もういけるぜ!」

流石私の彼氏、タイミングが神すぎる。

1旦2人で距離を取り、情報を伝える。

「もうだいぶ膝のダメージは蓄積してると思うから、多分もうちょいで落ちると思う」

「おっけー、じゃあ行くか」

回復薬をぐびっと飲み、体力回復のために串焼きから外した肉を1つ頬張る。おいしい。

「ラストスパートかけるよ!」

「りょーかい!」

さっきのことでフウならくまの爪をいなせることがわかったから攻撃が来たらフウがいなす。その隙に私が飛び込んで斬る。蹴りがこなければそのまま斬って、きたら下がって代わりにフウが斬るみたいな感じでパターンを作ることができた。

そしてそのパターンを数分間続けると……

「グゥ、アァ」

ついにくまが膝をついた。

「はぁぁ!!」

「らぁぁ!!」

瞬間、私たちは同時に駆け出し私が左目、フウが右目に武器を突き立てた。

「はぁ、はぁ……」

「どうだ……」

そして……そして、くまは前のめりに倒れてそのまま動かなくなった。

[レベルが6になりました]

[レベルが7になりました]

[『包丁:8』を獲得しました。]

同時に流れ込んでくる大量の経験値。

さっき草原の高レベルモンスターを5体程倒して1つしか上がらなかったのにくま1体で2つも!?

どれだけ強かったんだ……くま。

「はぁ、はぁ、疲れたー!」

「俺もだ……ぐあぁ」

2人で地面に寝そべる。

ゲームだから疲れは感じないはずだけど、やっぱり強敵と戦うとすごい疲労感を感じる。

いくら夜の森は強い奴が多いとはいえこれもしかしてボス倒したんじゃない?

なんて思っていたんだけど、その考えは間違いだと身をもって知ることになる。

「グルルルル……」

「ガルゥ……」

「くまぁ」

そこら中から唸り声が聞こえる気がする。それもついさっきまで聞いてたのと同じ奴が。

確かに戦闘中木とか超薙ぎ倒してたし大分大きな音もなってたけど……いや、まさか、そんな……。

「ね、ねぇフウさんや」

「な、なんですか? ゆらちんさんや」

「これ、詰んだんじゃない?」

「…………」

ここで、冒頭に戻るというわけだ。

「いやー、でもさフウ」

「ん?」

「疲れたけど……最っ高に楽しかったね!!」

「だな!!」

2人して満面の笑みを浮かべた後、私たちは大量のくまにぶちのめされた。

ちなみにいまさらですが町娘の初期服はpso2のメトリィアシンの赤みたいな感じです。

わかる人は少ないと思いますが。

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