そーらーにーきえてーえーた、うちあーげー......うさちゃん!
やっとゲーム開始です。
ゲームにログインすると、前回中断した最初の国を選ぶところに戻ってきた。
てことで早速選択して……ってそういえば凪はまだキャラ創ってないじゃん。
てことで凪にチャットを送る。
『今どのへん?』
『語りが終わったとこ。ありゃすげーな』
『でしょでしょ!? あ、それとさー』
『ん?』
『暇だからそっち入っていい?』
『おー、りょーかい』
そう、このVR機器は双方の合意があれば他人のプレイ画面に入れるのだ。
まぁ普通のプレイ中だとそんなに意味ないんだけど、キャラクリの時とかは1緒に話ながら創れるからすごく楽しい。
てことで早速フレンドリストから凪を選択してっと……
「よし、さっきぶり」
「はやっ!」
「でしょ?」
イメージとしては……まぁスタンドみたいなもんだよ。
「どれどれーっと」
凪が創ってるキャラを見てみると、超カッコよかった。
「へー、いいじゃん!」
「だろ? まぁこれはベースだからもうちょい弄るつもりだけどな」
「ふーん、だったらここをこうすればもっといいんじゃない?」
「おー、たしかに!」
みたいな感じで楽しくキャラを創っていった。
「うっし、完成!!」
「おーー!!!」
2人共キャラクリは結構凝る人だったから大分時間が掛かった。
けどその分最高にカッコいいと思います!!
その後は、取り敢えず私は自分のに戻って通話を繋ぎ、いっせーのーせで同時に『if you free』の世界に入っていった。
ローディングが終わり、徐々に視界が晴れてくると、そこはよくある噴水広場のような所だった。
私の真横に凪のアバターがあったため、声を掛ける。
「へー、中々良いところだね、フウ」
「あぁ、異世界感あって綺麗だ」
ちなみに凪は名前をフウにしたみたい。
「あ、そういえばどう? このアバター、大分自信作なんだけど」
どうかな、好みに合えばいいんだけど……
「へー、可愛いじゃん!」
「ホント!? ありがと!!!」
キターーー!! よし、目標達成! 完!!!
あ、この流れ2回目だし飽きましたかそうですか。
「で、どうしよっか?」
「あー、取り敢えずどっかのギルドに行けって説明書には書いてあったな」
「ん、おっけー」
このゲームは本当に自由度が高く、ギルド1つとっても冒険者ギルドや商業ギルド、盗賊に職人、変わり種ではサーカスや料理、もふもふ同好会なんてのもあったりする。いや最後のもはやギルドじゃないじゃん、ただのサークルじゃん。
まぁとにかくいろんなのがあるんだよ、うん。
「で、どこにする?」
「んー、折角ファンタジー感あふれるこの街にしたんだし、普通の冒険者でいいんじゃね?」
「私も賛成」
3秒で決まった。
流石は私達、息ピッタリだね!
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」
うんうん、やっぱ冒険者ギルドの受付といえばキレイな女の子だよね。
「登録に来たんだが」
なお、対応はフウがしている。私? 私はその後ろでニコニコする係。
「かしこまりました。後ろの方もご1緒ですか?」
「はい」
「では、こちらの水晶に手をかざしてください」
2人ですっと手を出す。
やっぱりステータスチェックと言えば水晶。異論は認める。
「はい、少々お待ちください、ただいま確認させていただきます」
水晶がぺかーっと光のを見てフウが「おぉ!」と声を漏らす。
それがなんだかかわいくって、私はクスッと笑ってしまった。
「……なんだよ」
「別に、ただかわいいなーって」
「ふっ、お前には負けるよ」
「そう? えへへ~」
そんな風にイチャイチャしていると、やっぱり酒場と1緒になってるギルドのそこら中から妬みの視線が飛んでくる。
なおほとんどが男プレイヤーなあたり理由はお察しである。
「ふふっ、仲がよろしいのですね。はい、完了です」
「「ありがとうございます」」
「こちらが冒険者カードになります」
そう言って私達は受付嬢さんから銀色のカードを受け取った。
うん、いいね、なんかワクワクしてきた。
「それでは、よき冒険者ライフをお過ごしください」
ペコリと1礼される。なのでこちらもペコリと返す。
可愛い受付嬢さんに和まされながら、私達はギルドを出た。
「さて、無事登録を終えた所なわけだけども」
「あぁ、そりゃあやっぱり行くよな」
ニヤリと笑い合う私達。
いくらこのゲームを始めた目的が女子力アップのためとはいえ、やっぱりやらないわけにはいかないよね。
「それじゃ行こっか」
「だな!」
「「フィールドに!!」」
さぁさぁやってきましたフィールド『始まりの草原』。
なんともベタな名前、だがそこがいい!
辺りを見渡すと、ちらほらと戦闘をしてるプレイヤーが見える。
「取り敢えずはソロで数分確認して、それからペアでやろう」
「あぁ、だな」
なんだかんだいいつつフウってか凪も私とゲームをする内に大分戦闘狂になってきたから、いくら彼氏彼女の関係だからってまずは大体のパワーバランス把握などのために2人共ちょっとはソロでやりたくなる。2人で同じ標的を狩ると簡単になっちゃうからね。
「それじゃ三十分後ぐらいにここ集合ね」
「おっけー、どっちの方がレベル上がってるか勝負しようぜ」
「お、いいね。それじゃあ勝った方は負けた方になんでも1個命令できるってことで」
「なるほど、そりゃあ負けられないわ」
「それじゃ……解散!!」
そう言うと同時に、私達は逆方向へ脱兎の如く駆けていった。
このゲームは、職業ごとに最初に貰えるアイテムが決まっていて、その中で武器になりそうなのを探していく。
うーん、基本は布とか調味料とかだから使えそうなのは包丁とフライパンぐらいかな?
だったらまぁ取り敢えずは刃物の包丁にしとこう。
まだ聞いてないから確定じゃないけどフウは絶対と言っていいほど戦闘職だろうけど、私には培ってきた圧倒的なプレイヤースキルがある。これで対抗していこう。
お、早速うさちゃん発見。
角生えてるし、たぶんホーンラビットだろう。ベタだし。
さてと、幸い包丁は何本かある。取り敢えずバレてない今のうちに投げつけよう。
あ、みんなも包丁を投げるときは刃の方をもって投げるのがオススメだよ。空中で半回転させて当てるイメージで。
こうした方が安定するし相手に刃を当てやすいからね。
息を整えて……そこっ!
私が投げた包丁は見事うさちゃんの首に当たり、その首を落とした。
よし、うまくいったね。
死んだうさちゃんはポリゴンになったりせず、そのままそこに消えず残っていた。
あ、ドロップ品とかにならないんだ。
取り敢えず死体をそのまま回収しておく。
ストレージに入ると同時に、それの名前が分かった。
ーーーーーーーーーー
「ホーンラビットの死体」(品質:良)
傷口がほとんどなく、状態の良いホーンラビットの死体。
解体すれば様々なアイテムが手に入る。
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「ホーンラビットの頭」(品質:良)
傷口がほとんどなく、状態の良いホーンラビットの頭。
角は様々な物に加工される。
ーーーーーーーーーー
なるほどね、こんな感じなんだ。
それに解体は自分でするorギルドで頼むとかかな? このゲーム結構テンプレを大事にしてるみたいだし。
まぁ取り敢えずこの方法で十分ぐらい狩り続けよう。
あれから十分包丁投げで狩り続けていたら、レベルが3になった。
それと『投擲:7』ていうのも入手した。
これがいわゆるスキルってやつで、使い続けると数字が上がっていくみたい。
最初は1で入手したのが上がってったからね。
効果はダメージアップと命中補正……かな? 多分。
取り敢えずこの狩り方はここまでにして、こんどは接近戦をしよう。
お、早速うさちゃん発見!
「ヘイヘイうさちゃん、カモーン!」
人差し指でくいくいっとして挑発する。
[『挑発:1』を獲得しました。]
あ、そんなスキルもあるんだね。
そのスキルの効果なのか、うさちゃんはキーっと1鳴きすると、こちらに突進してきた。
それに合わせて包丁を下から走らせるが、低い敏捷のせいか倒せはしたものの切り口が歪になってしまった。
んー、この方法はダメかな。
うさちゃんの突進が予想以上に速く、包丁が首を両断する前にうさちゃんが移動しているため、まっすぐ切り上げたはずが袈裟斬りのようになってしまった。
品質も良からやや良に下がってるし、方法を変えよう。
てことで倒し方3、フライパン。
乙女の武器として有名なフライパン。これを使いこなせれば私の女子力もアップ間違いなしだろう。
近くにいたうさちゃんをかるーく挑発して、突っ込んできた所を体の正面で真下に叩きつけ打ち落とした。
Oh……犬神家みたいになってる……
顔を地面に突っ込み動かなくなってるうさちゃんは、なんだかかわいそうだった。
まぁ私が犯人なんですけどね。
えっと、ちなみに品質はっと……うっそ最高!?
へー、これ良いじゃん。
1応なんパターンか試そう。
さぁさぁ実験に付き合ってくれよ、うさちゃん達。
パターン2、真上に打ち上げる。
かるーく挑発(以下略
真上に打ち上げ、落ちてきたところをガシッとキャッチする。
うん、これも品質最高だし、中々いいんじゃないかな。
パターン3、バッターゆら選手。
ふっふっふ、もう作戦名だけでなにするかはわかったね?
てことでかるーく(以下略
いったぁ……腕痺れる~……
私の貧弱な筋力では真っ正面から打ち返すことはできず、フライパンは弾かれてしまった。
むぅ、これはだめか……面白いと思ったんだけどな~。
取り敢えずピヨってるうさちゃんをクイッと絞めて止めをさす。
うーむ、1番良いのは打ち上げかな、うん。
まぁ1番楽なのは打ち落としなんだけど、あれは見た目が……てことでこれに決まった。
さて、残りの15分ひたすらうさちゃんには鳥になってもらおうか。数え方も1羽2羽だしちょうど良いんじゃない?