表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

めし、くれ

「ただいま~っと」

「なー」

「!?」

 家の扉をガラッと開けると、なんとポチがお出迎えをしてくれた。

 そんなバカな……あのポチがこんな健気なわけがない! あの子はもっとツンデレなハズなのに!?

 そんな風に私がびっくりしていると、ポチが私の足をすりすりとし始めた。

「!?!?」

 そんなバカな……あのポチがこんな健気なわけがない! あの子はもっとツンデレなハズなのに!?

 ついに、ついに私もポチになつかれたの……?

 いつもこいつは栞にはあまえんぼなのに私とお父さんにはつっけんどんとしてるんだよね。

「ぽちー!!」

「なー」

「!?!?!?」

 思わずポチを抱きかかえようとすると、いつもはするりと避けられるところを素直に抱かれてくれた。

 そんなバカな……あのポチがこんな健気なわけがない! あの子はもっとツンデレなハズなのに!?

 これは明日槍が降るなーとか考えながら靴を脱ぎリビングに入ると、テーブルに書置きが残されていた。

『ちょっと今日遊んでくるからポチのえさよろしく!(>人<)

 あ、それと夜ご飯はカレー作っておいたから時間になったら食べてねーヾ(≧▽≦)ノ』

「……」

「なー」

 わかる、今ならポチの気持ちがハッキリとわかる。さっきの凶行の意味も。

「なー(めし、くれ)」

 つまりこういうことだろう? ポチさんや。

「なー(はよ)」

「…………」

「なー(折角かわいくお願いしてやってんだからとっととしてよ)」

「………………」

 まぁ、こんなことだろうと思ったよ……


 猫様にエサを与えた私は自室に行き、ゲームをする準備をしていた。

 はぁ、折角私にも春が来たと思ったのに……はぁ。

 ちょっと微妙な気持ちになりながら、ゲームにログインした。


 ログインが完了したので、早速フレンドリストを確認する。

「あ、フウまだログインしてないんだ」

 そしたら今のうちに料理スキル上げておこうかな。

 もう昨日の過ちは繰り返さない。いまできるのが『焼く・炒める』だけだということを再確認して、材料を買うべく街に繰り出そう!

 ちなみに現在の所持金、初期の1000Gからくまやらなんやらで増えまくって6400Gである。

 さーて、野菜は大体いくらぐらいかな~っと。


「トマトは1つ200Gだね」

 うわぁ高い。

「これは有機栽培で作る品質にこだわったの品なんだよ。しかも魔物とかのせいで仕入れするのも大変でね~、それでこんな値段になっちゃったのさ」

 しかも現実的。

「あの、申し訳ないんですけどもう少し安く買えるところとかはありませんか?」

「あー、だったらあっちの店とかがいいんじゃないかい? 」

「ホントですか!? ありがとうございます!!」

「いいんだよ、困ったときはお互い様だろ?」

 いい人だ……ありがとうおばちゃん。

「それじゃあね」

「はい、今度はちゃんと買いに来ます」

「はは、それじゃそん時はいっぱい買っておくれよ」

 おばちゃんにお礼をいい、さっきオススメされたお店に入る。

「らっしゃっせー」

「トマトとじゃがいも、あと卵ください」

「かっしゃりたー」

「5つずつお願い」

「あーい、1500Gになりゃーす」

「はいお願い」

「あっしたー、まっさーい」

 店を早足に出る。

 ……ずっと何言ってるかわかんなかったな。なんかたまにコンビニとかでいるよね、こういう言葉遣いのバイト。


 買った野菜とうさぎ肉を使って料理を作っていると、ピロリンとログインコールが鳴ってフウがログインしたことを教えてくれた。

 早速メッセを飛ばす。

『昨日と同じ宿で料理作ってるけど来る?』

『マジで? いくいく』

 今日は得意の卵料理。しかもまだフウに食べさせたことがない奴だからきっとビックリするはず。

 ふっふっふ、これならあの料理上手も唸るはず。

 作ってるのはフリッタータ。このまえクック〇ットで「たまご」だけで検索かけて面白いのないかな~と探してたら偶然みつかったレシピ。

 これを簡単にいうとキッシュを進化させた感じかな? 特徴はすっごいいい匂いがすること。

 ゲームだからいい匂いがするぐらいですむけど現実だとものすごいことになる。

 オリーブオイルをたくさん使うから食欲をそそる香りが辺りに充満してできるのが待ちきれないレベルでいい匂いがする。

 これをより香りに特化した「クークー」っていうのを作った日には妹が野獣に変わる。

 それぐらいいい匂いなのだ。

 そんなことを考えながらフリッタータ―を作っていると、丁度完成したときにフウが入ってきた。

「よーす……うわめっちゃいい匂いする」

「ジャストタイミング、今できたけど食べる?」

「食べる」

「はーい」

 フライパンの上に大皿を乗せ、よいしょっとひっくり返す。

 すると綺麗な円形にできたフリッタータが姿を表した。

「おー! 美味そう!!」

「あ、半分は私食べる」

「あいよ」

 食器をストレージから出して2人の前に出す。

「「いただきまーす!!」」

 パクっと1口食べると、フワフワの卵といろんな具材がうまく合わさり飽きが来ない味になっていた。

 うん、美味しい。

「うっわうま! やっぱお前卵料理うますぎるだろ!」

「えへへ、ありがと」

 喜んでもらえたみたいでよかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ