1.はじまり
小鳥遊乙葉です。
18歳、今日からこの街で暮らします。
電車で少し大きな街に来ました。
私の住んでいたところより、ずっと大きな街。
レンガで造られた街並みが広がり、コーヒーの匂いがあたりから漂いそして桜が咲き誇る美しい公園がある街です。
そして、新しい家は駅を降りて、そのまっすぐレンガの街並みを通り過ぎていった先にある
「sherehouse clover」という白い家。
コーヒーの匂いが香ばしくて、ちょっぴりくすぐったくて。なんだか、夢のよう。
cloverに着いて、小さな呼び鈴を鳴らそうと手を伸ばしたとき、ちょうどよくキィ……と扉が開きました。その扉の向かいに居合わせた方と、「わっ」と、驚いた声を出してしまいました。
「新しくここに入る方ですか?」
居合わせた方が声をかけてきました。
その人は不思議な魅力を纏っていて、まるで春の日にそよぐ花のような女性。もし、この街が大きな野原だとするならば、一輪可憐に咲く菫やタンポポみたいな。
「は、はい。小鳥遊乙葉です。
今日からここでお世話になります。」
「乙葉さんですね。玄関で待っていて下さい。
美樹さんを呼んできます。」
快活で綺麗な声をしたその方は、美樹さんという方を呼びに行きました。
たじろぎつつ、二歩ほど進んでみて、私は、きょろきょろしながら家を眺めてみました。
花が飾ってあったり、名前がついたシューズケースや傘を置くスペースもありました。
広すぎず、でも狭くも感じさせない雰囲気が、なんだか素敵に思えます。
そう眺めていると、その美樹さんらしき女性が私に近づいてきました。
「あなたが、乙葉さんかしら?」
大輪の百合が咲いたような綺麗な人……
思わず見とれて、一拍遅れて返事をしてしまいました。
「はい。小鳥遊乙葉です。ええと…
二ヶ月前から申し込みをしていました。」
「私はcloverの管理人、四葉美樹です。
よろしくね。まずはリビングに入ってちょうだい。
簡単にcloverのルールを説明するわ。」
荷物は玄関の隅に置いて、私は美樹さんに連れられてリビングに入りました。
「座って?」と言われて椅子に座り、美樹さんも向かいの椅子に。そして、優雅な仕草でルールを書いた紙を私に向けて差し出しました。
cloverのルールはこんな感じでした。
─────────────
食事は全員でとる
料理は当番制
掃除は自分の部屋で各自行う
公共の場は休日に全員で行う
消灯は12時までに行う
─────────────
「質問はあるかしら?」
「いえ、大丈夫です」
きちんと守れそうか、と聞かれ私は素直に「はい」と答えました。
一通り聞いた後、書類にサインをして、いよいよ自分の部屋に案内して頂けることになりました。
シェアハウス「clover」にやってきた乙葉。
扉で出会った方はどなたなのでしょうか?
そして、いよいよ自分のお部屋に入りました
見て下さってありがとうございます(*^^*)
乙葉はそよかに手を引かれてどこかへ行く様子です。
どんなことに巻き込まれちゃうのでしょうか?