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絶対死なない吸血鬼  作者: 五月雨
序章 死なない者達
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二人の出会い

学校の帰り道を歩いていた。少年の後ろから、トラックが走ってきた。道の横に寄って、トラックが通りすぎるのを待った。運転席の人が見えた。曲がり道のはずが、まっすぐ少年に向かって走ってくる。強い衝撃と景色の変化。目の前に広がるのは、幻想的な世界。体に激痛が走る。


俺、死ぬのかな


自分の運命を恨んだ。走馬灯が、十五年の人生を見せてくる。


・・・・・短い人生だったな


「死にたいか、死にたくないか。」


声のする方を見る。オレンジ色の綺麗な髪に、薄汚れた白い服を着た女の人が立っている。


「答えろ。死にたいのか。」


必死に声を絞り出そうとする。だが、もう体に力は入らず、痛みだけが体にある。


死にたくない、死にたくない、生きたい、生きたい、生きたい、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きたい。


心の中で必死に念じたのが伝わったのか、女の人は笑いながら、少年の消えかかってる命に手を当てた。


「死にたくないよな。しかし、お前はもうすぐ死ぬ。だか、助ける方法はある。私の従者になれ。そして人の体を捨て、永遠の肉体に魂を移してやろう。さあ、運命に宣戦布告だ。」


・・・・・・・少年の体は、動かなくなった。




森林の真ん中の道を青年が歩く。金髪に、青い瞳、赤黒いマスクに、スーツ姿。襟ボタンを閉めて、ネクタイが絞まっている。青年の今の名前は、死桜。昔は人間だった。


「スーツ暑い、死にそうだわ。死なないけど。」


死桜が一人言を言うと、連動してマスクも動く。二段構造のようなマスクで、外側は牙のような形をしたフィルターで、内側は完全に口を隠している。よたよたと歩き続けると、一人の少女が木の上を見ている。


「お嬢ちゃんどうしたの。木登りしたいの。」

「鳥さんの雛が巣に帰れないの。」


言われて上を見ると、木の先端に巣がある。


「俺に任せな。帰してきてやるよ。」


死桜が自分の左手の小指をちぎる。ブチブチと音をたてて、ゴキゴキと骨を砕き、小指を巣の上の方に投げる。


「ちょっとだけグロいから、こっちを見ないで目をつぶって。」


死桜の体が赤黒い液体に変化する。まるで血のようで、その液体が小指めがけて飛んでいく。小指に液体がつくと、そこから死桜の肉体が形成されてく。あっという間に体が現れると、巣に雛鳥を帰して少女の前に戻る。


「お兄ちゃんすごいね。ヒーローなの?」

「残念だったな。俺は吸血鬼。黒血の吸血鬼の血族。またの名を、ブラッディ・ヴァンパイア・ブラッド」

「よくわかんないや。でもありがとう。」


お礼がしたいと言う少女に連れられて、森林を抜ける。そこには、青色をふんだんに使われた城が建っている。


「ネモ、どこいってたの!探したのよ。」

「お姉ちゃん。ごめんなさい。」

「あなたは誰ですか。」

「俺は死桜。ちょっとだけ頼みを聞いてくれない。」

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