仲間と参加寮
「ふぅ~。今日のノルマは終わりと。」
“寮生、三十人から協力の許可をもらってある。”と、パメラがそう言った通り毎日鑑定三十回のノルマをこなす。
「しかし、この頃はレベルアップしなくなったな。」
流石にLv9にもなれば次に上がる為の経験値の量は半端が無ない。
(倍々ゲームじゃないだけましなんだけどね。)
「でも、ヴィンはよくそんな単調な作業が出来るわね。」
いつもの日課の鑑定を受けながらパメラはそう言った。
パメラは基礎レベルが高いこともあり鑑定の場合、少し多めに経験値が入るようだ。
だが、彼のステータスやスキルを正しく見ることが出来なかった。
鑑定に成功はするのだが、偽装されたステータスやスキルの鑑定に成功しているだけのようなのだ。
偽装スキルを看破する為には上位呪文の解析が必要なようだ。
「いや、単純な作業でも次のレベルアップまでの経験値が予想できるからね。」
「そんなものかなぁ。」
と言いつつステータスを読ませない偽装が出来るパメラの底が知れないんだけどね。
パメラも得体が知れないが同じメンバーであるアルフレートも問題の多い人物である。
彼は魔獣好きか高じて部屋の一室はおろかその階全てを魔獣部屋にしてしまった為、この寮に来ることとなった。
このティアマト寮は五階建で屋上がある。
アルフレートの部屋は屋上に作られていた。(作ったとも言う)
彼は魔獣使いなのだ。
そしてもう一人のカーティス。
これは女癖が悪い。
と言っても対象が年長のご婦人方。
“熟女スキー“なのだ。
で、とある貴族の奥さんに手を出してこの寮に入ることとなった。
レンジャーである彼は獲物である対象を狩ることが好きだとか何だとか、もう病気である。
談話室ではメンバーの五人、俺、パメラ、フリッツ、アルフレート、カーティスが集まっている。
「参加の寮が決まったぞ。」
対抗戦の打ち合わせに行ってきたフリッツが話し出す。
「ハフニール寮、ベヒーモス寮、リバイアサン寮は当然として後は?」
とパメラが言う。
彼が言った三つの寮はこの学園でも実力者ぞろいの寮だ。
対抗戦はほとんどがこの三つの寮のどれかが優勝する事が多かった。
「フェンリル寮、ヨルムンガルド寮だ。
それ以外のユニコーン寮、フェニックス寮、ユグドラシル寮は参加しない。」
ユニコーン寮が参加しないのならフレデリカとは敵対しなくてすむ。
俺は少しほっとしていた。
「・・・六寮。思ったより多い。」
アルフレートが唸りながらそう言う。
「例年なら三つか四つや。ティアマト寮が参加するんで残れんが上がると考えたんとちゃうか?」
カーティスが言う通り、参加する寮の数によってはくじ運次第で準優勝もあり得るのだ。
「今回は参加寮が多いので去年までのとは多少ルールが変わった。」
「でしょうね。総当たりだと半年じゃ足りないもの。」
去年までは“ダンジョン走破”や“目標探索”は一対一の勝負だったが、今回はまとめて行うとのこと。
「“ダンジョン走破”や“目標探索”でのポイントが多くなっているな。」
「その辺りはフェンリル寮が有利だな。」
「まぁ、他の連中もそう思ってるだろうな。」
「うむ。」
「だが今回はアルフレートやヴィンフリートが存在する。」
「そやな。」
そして、フリッツはこちらを向きながら言った。
「と、言う訳で最低限、“ダンジョン走破”までにはLv10以上になってくれよ。」