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万色無双の役立たず  作者: 士口 十介
学園篇
1/48

はじまりの平手打ち

グダグダと書いていたのを簡単にしました。

「ヴィン、昨日銀髪のロングヘヤーの人と一緒に居なかった?」

「見間違いじゃないのか?

昨日は図書館で調べ物をしていたよ。うん。」

実は覚えがある。

ちょっとした用事で銀髪ロングと一緒に街に居たのだ。


「とにかく、昨日は図書館にいて、街に行っていないよ。」

と言うと


「ヴィンの浮気者!!」



スッパーン!!!



俺、ヴィンフリート・ジンネマンは幼馴染のフレデリカに平手打ちを喰らった。

あまりにも綺麗(クリティカル)に入った為よろめいた末、階段を踏み外した。


ガガガガガ、ゴツン!!!


階段を滑り落ちたはずみで階段の踏板に頭をぶつける。

その時、記憶がよみがえってきた。


階段を落ちるのはこれで三回目。

どうやら前世の記憶が戻るには階段から落ちて頭を打つ必要がある様だ。

現在十六才だから年齢は関係ない。


今回は前回と違って、剣と魔法の世界。

俺は武術全般と全色魔法、(この世界の魔法の系統は色で表され青、緑、赤、橙、黄、白、黒、紫、無の九色)のスキルを持っている。


ただ、全色魔法と言うのが厄介である。

魔法の系統スキルは数が多いほど習得経験値が下がる。

武術スキルも同じ様に数が多いほど習得経験値が下がる。


そして魔法職と戦士職は成長の方向が違う。

魔法の系統スキルは武術のスキルでの習得経験値を下げ、武術スキルは魔法の系統スキルでの習得経験値を下げる。


結果、武術スキル、魔法の系統スキルの習得経験値は百分の一となる。


そう俺はこの世界では何でもできるが何でも出来ない器用貧乏な魔法戦士だった。

(某RPGの赤魔道士と言えばわかるだろうか。)

能力やスキルは十歳になった時に神殿で開示される。

その時から俺は“役立たず”と言われていた。




さて話を戻そう。


階段の上で俺をひっぱたいたのは幼馴染のフレデリカ。

同じ村の出身で、冒険者になる為にこの冒険者育成学校、アバロン学園に入学した。

階段から落ちた俺を見て青い顔をしている。

彼女が浮気者と言った原因は昨日、同じパーティ仲間のパメラと一緒にいたからだろう。

買い物のアドバイスを受けていたのだがさてどうしたものか・・・。


「ヴィン?大丈夫?」

心配そうな顔でフレデリカがのぞき込んでいる。

「大丈夫。ちょっと当たっただけだ」

俺はそう言うと、頭を振りながら立ち上がった。


「あ、ここ瘤になっている。ごめんなさい。痛かった?」

そう言うと。フレデリカは緑魔法の“治癒”を唱える。

輝く薄い緑色の光が瘤になった所を覆うと痛みや腫れが引いてゆく。


「本当にごめんなさい。まさかこんなことになるとは思わなくて・・・。」

少し涙ぐんで謝ってくる。

いつもは元気いっぱいなんだが、こんな時はしおらしい。

そして俺はポケットからリボンを結んだ小箱を取り出し、彼女に差し出す。


「はい、これ。」

「?」

「入学祝、それともうすぐ誕生日だから、プレゼント。」

「あ、ありがとう・・・。」

「開けてみて。」

箱の中から銀の髪留めが出てくる。

小さな白い花をあしらった形をしており、フレデリカの栗色の髪に似合うと思ったのだ。


「つけてくれる・・かな?」

「うん。」

髪留めをフレデリカにつける。

思った通り、彼女によく似合っている。


「ヒューヒュー、お二人さん仲いいねぇ。」

フレデリカに髪飾りをつけていると銀髪のロングヘヤーがはやし立てる。

「あ、昨日ヴィンと一緒にいた女の人!!」

「パメラ、見ていたのか・・・。」


パメラはフレデリカの髪飾りを見ると

「うん。良く似合ってるね。ヴィンが2時間も選んだ。」

「おい、パメラそれは言わない約束だろ。」

「そうだっけ?ま、似合っているから良いんじゃないの。」


まったく、口の軽い奴だ。

パメラとそんな会話をしているとフレデリカが

「ヴィン、ずいぶん仲いいのですね。」

と問い詰める様に尋ねてくる。

「言っとくけどな。こいつはこんな格好をしているが、男だ。」

「ええ?」

「本名はパルミロ、さらに格闘戦のエキスパートだ。」

「よろしく~」


「・・・・・」


うん、ギャップがすごすぎて声に出来ない様だ。

パメラ(こう言わないと怒られる)は見た目スタイルのいい銀髪ショートカットの美人なのだ。


「で、この子があなたの幼馴染ね。」

「ああ、名前はフレデリカ、緑魔法の使い手だ。」

「たしかに緑魔法は治癒系の呪文が多いから私たちのパーティにはピッタリね。」

「パーティ?」

とフレデリカは尋ねる。疑問に思うのはもっともだ。


「ああ、学園では迷宮へ探索することがあるってパンフレットには書いてあっただろう。」

「ええ、でもそれは一学期の終わりぐらいだったような?」

「いやいや、新人の獲得はもう始まってるんだよ。」


「フレデリカの様に緑魔法が使える新人は有望株なんだ。」


さっきの術式の展開や発動までの速さ、効果の確かさを総合すると上位クラスだろう。

村でも訓練を欠かさなかったみたいだ。

俺と違って、魔法は緑魔法のスキルと白魔法のスキルのみだ。


そして俺はあの日の事を思い出していた。


連載に当たって、年齢や設定を微妙に変えました。

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