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月宮の魔導師〜天導宮の朧月〜  作者: 天星 えあり
第1章 婚約破棄後は迅速に退散すべし
4/5

閑話 時は少し遡りて

やって…しまった…!

前の後書きで、次々回登場予定の方を、こんな早く、しかも予定外の登場の仕方をしてしまうとはっ!!

だってだって、思いついたんだもん!

思わず書いちゃったんだもん!

でもさすがに自分でも1日で書き上げられるとは思わなかった!

しかも、第四話の終わり方(予定)からいくとこのタイミングがベスト……

だから開き直ったんです。

「どうせ来々週更新予定だったし、それなら読者の方に見放されたくないから後々の更新詰まりのプレッシャー覚悟で更新しちゃえ!」と。


水曜日零時、不定期更新

次回、来週または来々週更新予定








ある日の午後、はひとり部屋の中で静かに怒りをつのらせていた。






部屋の中はあちこちに広げられたままの様々な文献ぶんけんなどで散らかり、それなりの広さーー彼にとっての『それなり』であって、実際には王宮の最も広い部屋程の大きさな上、《空間魔術》により更に広いーーである部屋は、つい数ヶ月前のきっちりと整理整頓された部屋の面影おもかげなど見る影もない惨状となっている。

唯一散らかっていないキングサイズの豪奢ごうしゃなベットがある寝室も、自動洗浄の魔術式が起動した形跡が無いことから、どうやらここ数ヶ月間のあいだロクな睡眠を取っていないことがうかがえた。

実際、大した睡眠を取っていないであろう彼は、そんな事を毛ほども窺わせない、数ヶ月前と一切変わらない(・・・・・・・)顔で、ここ数ヶ月籠りっぱなし、既に住んでいるのと変わらない己の書斎の窓辺にある机ーー数ヶ月前に、いつも眺められるようにと設置し直したーーに頬杖をつきながら外を眺める。




「………」




ゆっくりと夕日が沈む様子を冷めた目で見つめながら、彼はここ数ヶ月に届いた手紙の字を何ともなしになぞっていた。



「ーーリウ。俺の、愛おしい女神」



金と濃い藍色のオッドアイに狂おしいまでの恋慕を映し出しながら、しかし彼は動かない。

ふと、彼はすっと目線だけを窓から自室の扉へと動かした。

すぐに、その扉をノックする音が部屋に響く。



「ーー入れ」



感情のこもらない無機質な美声で入室を促し、彼はまた窓へと目線を戻す。



「何があった」



扉を開く音すら立てずに音もなく近づいて来た己の部下に問う。



「〈朧月〉様の件で、ご報告が」


「そんな事は分かっている。『何』が、あった?」



この部下は臨時で〈朧月〉専用の仕事を与えている。

そして、この部下が《伝達魔術》ではなく、わざわざ来るという事は、それなりの事態が起こったという事に他ならない。



「つい先程、〈朧月〉様よりご連絡が。どうやら、この世界に『違法侵入者』がいたようです。他の世界の神が無断で介入したのが発覚次第、神々がその神を捕らえたものの、肝心の他の神が送り込んだ『違法侵入者』はこちらの世界に既に落とされていたらしく、神々は〈朧月〉様に処分をご依頼なされたとか。期間は設けられていないそうですので後日対処する、と〈朧月〉様は申されましたが、様子を見る限り『違法侵入者』は末期のようですので、後日に回すのは良いとして、ご帰還の時が予定よりも遅くなられるかもしれません」



報告を聞き終え、彼はうっすらと、その人間とは思えない程の美貌を歪めた。



「そうか、分かった。今日はもう下がって構わん」


「はい。それでは〈白夜〉様、失礼いたします。

ーーお部屋、片付けなくとも宜しいのですか?」


「リウが帰ってきたらな」


「……左様でございますか」



もう一度、失礼いたします、と断って、入った時と同じく音もなく部下は退出した。

そのまましばらく窓の外を眺めていた彼は、とうに夕日が沈んでいた事に気付いた。



「ーー遅い。……迎えに、行くか」



そして、とうとう痺れを切らした彼は、手に持ったままだった手紙を机に置くと立ち上がり、何もないはずの空間から漆黒に青銀の刺繍が施されたローブを纏い、顔が見えなくなる《認識阻害魔術》を念入りに組み込んだフードを深く被ると、一瞬でその場から跡形も無く消えた。



魔術式を展開せず、詠唱スペルも、起動魔術名称も無く、魔術痕すら一切残さずに伝説とも言うべき《転移魔術》を使用出来るのは世界で二人。






一人は神に匹敵する膨大な魔力を有し、数多の神々の祝福を受け、この世に存在する全ての魔術の行使を可能とし、神々の住まう宮殿【天導宮】へ入ることを許された〈三宮〉のひとつ、【月宮】の頂点たる長、【大魔導師】の称号を持つ〈朧月〉。




もう一人は〈朧月〉には及ばぬまでも、多くの魔力を有し神々の祝福を受ける、世界の叡智を結集したあらゆる知識を得る〈三宮〉のひとつ【陽宮】の長、【大賢者】の称号を

持つ〈白夜〉。











『彼』の名は




ヴィレイト・ロッザレオ・アーデルライト




紛う事なき、〈三宮〉がひとつ【陽宮】の長、【大賢者】の称号を得る〈白夜〉













ーーー世界最強をになう一対である













前回の後書きよりもネタバレ感が否めないですが、悪しからず!

一番上手く書けた気がするから!(自己満足)

次回は元の場面に戻ります。

どうもありがとうございました!

(ポイント評価、コメント下さい。誤字脱字の指摘やこんな風にして欲しい、if、裏話、この単語の意味がわからない、設定集が欲しい、などなど、出来る限りリクエストにお応えします!!)




H.29 8月9日 0:31

訂正:【空間魔術】→《空間魔術》

得て→得る

上の文は更新予約の日に見直した時に急遽付け足したため確認作業を怠っていた様です。

失礼いたしました。


評価、レビュー、ブクマお願いします。



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