第一話 早く帰りたいのにっ
「リリーウェル・ユーエトラ・ミレーユ!
今この時をもって、貴様との婚約を破棄させてもらう!!度重なるミリアへの仕打ち、もう黙っておれん!!」
ああ、やっとだ。ようやくこの時が来た。
その言葉に、私は思わず笑みをこぼした。
卒業パーティーの開かれた夜、ピンクブラウンの髪と瞳を持った少女ーー確か男爵家の養子となった元平民だったと記憶しているーーと寄り添う様にして偉そうに告げた元婚約者であり、この国の王太子である、アレン・ディ・イミニークスの私の予想より遅く、予定より早い婚約破棄に、ようやく肩の荷が降りた気分だった。
(本当に、危なかった。後一歩遅かったら、きっとあの方がーー)
想像するだに恐ろしい。あの方のことだ。もしかしなくても大惨事になってしまう事は想像に難くない。それを思うと、流石の私でもたまらない。実際、安堵の笑みが引きつっている気がするのは気のせいではないのだろう。
「おい、貴様!聞いているのか!?」
おっと、危ない。すっかり今の状況を忘れて自分の世界に沈んでしまっていた。
まあこの程度の小物相手に一々取り繕う必要性も感じない。とっとと面倒な茶番は終わらせてしまおう。そして、早くあの方の元へ行くのだ。
なんだかんだと理由をこじつけることも出来るが、もういっそ正直に言ってしまおうではないか。
そう、早く、早く帰らなければ───
(あの方に何日どころか何週間も何ヶ月も会えなくて、もう私が限界なのよっ!!)
もう無理。もう限界。もう耐えられない。私は断言しよう。これ以上離れていたら、私がこの国を血祭りに上げる!!
私がただの一貴族令嬢ならば、これはただの少々物騒な比喩表現で済むのだろう。しかし、こうして嬉々として婚約破棄を受ける私が普通なはずもなく。
私がその気になれば、この国どころか国単位で滅ぼすことすら造作もない。
……まぁ、その前にきっとあの方が滅ぼしてしまうだろうけれども。
「おい!聞いているのかと言っているだろう!?」
……ああ、また忘れていた。婚約破棄については非常に喜ばしい限りだが、馬鹿の相手をするのはごめんだ。何故わざわざそんな面倒ごとを進んでやらなければならないのか。
生憎と私にはそんな酔狂な真似を自ら進んでやるような趣味などない。ならば、必要最低限のことだけ話して面倒は全て仮とはいえ婚約する羽目になった原因に押し付けてさっさと撤収させていただくとしよう。
「かしこまりました。それでは婚約破棄の書類は既に揃えられているはずなので、後日王太子殿下はそれにご署名をお願いいたします。わたくしの署名も既にしておりますので、出来る限り早急に申請して下さいませね。ああそうそう、この婚約は仮婚約ですので、教会への申請は不要です。教会側へも始めから通達済みですので、誓約書も用意されていません。ということですので、御心配なさらずに手続きをなさって下さいね。でないと、私も帰ってすぐに結婚式が挙げられませんから」
それでは、とやり遂げた感いっぱいに意気揚々と去ろうとすると、
………なんか、出て来た。
ごめんなさい!
ほんっとごめんなさいぃぃ!!
短編更新するからしばらく休むとか言っといて、結局他の連載まだ全然載せてないのにまた新しいの出しますぅっ
だってだって、飽きっぽいんだもんっ
それに頭の中では完成してても手が追いつかないしっ
なんかどんどん必要ない文が増えて、というか自分では分かってるのを説明しないと読者の方々が分からないだろうからって下手な説明文書いて、でも説明下手で嫌気がさして、結局さじ投げちゃうんですっ
なので、完結するのは期待しないで下さいっ
しても「何年たっとんねん!」ってなるから!
P.S 作者は大阪出身なのでがっつり大阪弁です。ご注意下さいませ!
(でも一番一緒にいた母親と祖母が香川出身なので、時々言葉がおかしくならない保証が出来ない……)