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17話 なずなの身体





 さて、里奈に叩かれたことで正気に戻った。改めてなずなをみる。髪の毛はそのままで瞳は黒色から青色に変化している。よくよく見れば機械の瞳になっているようだ。触った腕や足の肌はぷにぷにで柔らかかったし、実物になっているように外見からはみえたが、実際は違うのかもしれない。肌の色も元のままで、胸と身長はまえより少しは大きくなっている。130くらいかもしれない。胸も微かに膨らんでAAからAくらいになっている。

「なずなが裏切ったっ!?」

「どうしたの?」

「なずなが成長して私達より大きくなったの」

「ずるいです。学校でもチビッ子って虐められてた仲間だったのに……」

「否定。協定はない」

 服装はワンピースだったが、変身すると上は丈の長いコートで下はミニスカート。腕は両方、両方機械の腕で左手は鉤爪になっていて右手は機械の手になっている。よくよく見ればその手も剣のようになったりしている。足も機械で靴と一体化している。後ろ足裏、横にブースターがあるようだ。

「とりあえず色々と調べましょう。まずは運動能力ですね。通常の状態でお願いします」

「了解。頑張る」

「私も能力欲しい……でも、まだ駄目だよね」

「レナ……ごめんね……」

「いいよ。リナの目の方が優先だし」

 まあ、もう少し待ってもらおう。

「怜奈の武器も作るから待ってくれ」

 二人の頭を撫でてから皆で移動する。訓練施設でもあるので運動能力を測定する機械はある。

 さて、訓練施設でなずなちゃんをみているが、彼女の運動能力はかなり高いようだ。静久が計測していっているが、普通の人よりも明らかに性能が高い。100メートル7秒という驚異の結果がでている。他のも凄く高い。握力は握力計が壊れたりもするし、投げる力も高い。やはり機械なだけあって強いようだ。

「むう、なずなに勝つにはどうすればいいかな……」

「魔法?」

「接近戦がいいから」

「まあゆっくり考えるといいさ。どんどん種類も増えていくしな」

「は~い」

「わかりました」

 とりあえずこれでいいだろう。なずなちゃんは勾玉が手に入らないだろうからこれから効率は落ちるが仕方ない。

「お兄ちゃん、そういえば刀が欲しい」

「刀でいいのか?」

「私、非力だから刀の方がいいと思うし……」

 確かに西洋の剣より刀の方がいいか。しっかりと作ってやらないとな。

「だが、しっかりと習わないといけないだろう。誰かに教師を頼むべきだな」

「ならば私が教えてさしあげましょう」

「っ!?」

 振り返るとそこには私服姿の近藤さんが居た。すぐに下に衝撃が伝わって下を向くと結衣が飛び込んできていた。

「……兄さん、久し、ぶり……」

「ああそうだな。今日から一緒に住むのか?」

「そ、う。やっと、一緒」

「という訳で、私もお世話になります。ですのでお礼として刀の使い方を教えてあげましょう」

「提案。私にもお願い」

 どうやらあちらも終わったようで静久となずながこちらにやってきていた。

「ああ、貴方が報告された人ですね」

「?」

 小首を傾げるなずなちゃんをみた近藤さんは驚いたことに腰に差していた刀を引き抜いてなずなに渡してきた。

「少しためしてみましょう。お二人共、それで私を攻撃してきてください。なに、あたらないので問題はありません」

 訓練を開始する三人を見送り、俺は静久と一緒に里奈を連れて食事の準備をする。里奈は味見係だ。結衣は部屋の準備をしてもらうことにした。







 静久と一緒に料理をしていく。といっても、俺はパスタを茹でるくらいで、静久がソースと具材を作ってくれている。いたって普通の料理のはずだった。

「静久、この鍋の水はなんだ?」

「ただのポーションです」

 隣で台に乗りながらフライパンでベーコンと玉葱を炒めている静久をみる。もう一度視線を戻してパスタが入っている沸騰したポーションをみる。

 隣をもう一度みると、フライパンに牛乳とたっぷりのチーズを入れていた。ここまではわかる。だが、次に大きな魔石を取り出したかと思ったらチーズのように削ってそれを入れ、更には試験管に入っている緑や紫の液体を入れていく。化学反応が起きたのか、ポフッという音と共に虹色の煙がでると、フライパンにはカルボナーラのようなクリームソースができていた。

「先輩、もういいと思いますよ」

「ああ、そうだな」

 パスタをあげて湯をきる。それからフライパンに入れてかき混ぜていくが、多いのでなかなか上手く混ざらないようだ。10人分を越えているから仕方ない。

 俺は後ろから静久を抱きしめるようにして手を重ねて混ぜるのを手伝う。邪魔かもしれないが、二人で作業をするのは好きだ。静久も同じだと思う。

「後は盛り付けですね」

「任せる」

「わかりました。先輩は皆を呼んできてください」

「ああ」

 里奈や怜奈、結衣、なずなちゃんだけでなく、近藤さんをはじめとした自衛隊の人達も呼んでみなで食事をする。呼んで食事を開始する。アリスさんは部屋で食べるので後で静久が持っていく。

「ああ、味が飽きたらビーカーの液体を入れてください。味が強制的に書き換わりますから」

 テーブルの上にあるビーカーにはクリームソース、ミートソース、ペペロンチーノ、ボロネーゼ、トマトソースと色々と用意されている。

「すいません。なんですか、これは……」

「どんな不味い料理でも、とても美味しい料理に錬成して変換する素晴らしい薬品です。栄養価と質量は等価交換なので、ありとあらゆるものを食材に作り替えられます」

「素晴らしい! 不味いレーションが美味しいパスタに…いや、岩ですらパスタに変更できる可能性が……」

「流石にそれは無理ですが、同じカテゴリーにある食物、草なら可能ですよ」

「是非とも量産を……」

「面倒なので嫌です」

 静久は本当に色々な薬品を作り出している。俺も負けてられない。なずなちゃんを解析すれば一気に技術力をあげることができるだろうから、後でお願いしよう。なずなちゃんをみれば普通に食べている。って、食べて大丈夫なのか?

「なずなちゃん、エクスマキナは人間の食事も大丈夫なのか?」

「肯定。体内でエネルギーに変換します。基本的に食べなくても大丈夫なんです」

「そうか。それと後で俺の工房まで来てほしい」

「肯定」

「……浮気……?」

「違うぞ」

 結衣が俺の膝の上に乗ってきた。

「むっ」

 対抗して静久も乗ってきた。二人に膝が占領されてしまったが、可愛いのでよしとしよう。

「で、結衣は部屋の片付けは終わったのか?」

「まだ。終わらない」

「仕方ありませんね。手伝ってあげましょう」

「お願い」

「代わりに他の子の事も認めるのですよ。そこの三人とお母さんが微妙なくらいです」

 静久の中ではなずなちゃんは既に確定で、アリスさんが微妙なんだな。まあ、確かにアリスさんもなずなちゃんも凄く可愛いんだが……アリスさんに至っては義理の母親なんだよな。

「四人……? 仕方ない。これ以上は駄目。週二で相手してもらえない」

「待ってください。その計算は駄目です。私は半分以上、要求します。むしろ、私と一緒じゃないと駄目です」

「贅沢」

「正妻ですから、当然の権利です」

「ちっ、勝負で決着つける」

「いいでしょう」

 二人は俺の上で睨み合っている。しかし、二人共戦闘タイプのスキルじゃないような……いや、二人共万能タイプだから戦えるか。

「喧嘩はしてほしくないし、互いに怪我をするなんてもっての他だ。だから、やるならスポーツとか、ゲームでやってくれ」

「確かに遺恨が残るのは駄目ですね」

「ん、妥協は大事。でも、運動はやだ」

「しかし、電脳戦は私が不利になります。スキル的に」

「だったら、原始的なゲームでいいんじゃないかな?」

「トランプとかでも良さそうですね」

「それでいきましょう。結衣もいいですね?」

「いいよ」

 怜奈と里奈の意見に二人も賛成したようで血で血を洗う戦いは回避できた。まあ、結衣も一番強いのが静久だとわかっているから、大人しくトランプに納得してくれた。俺が静久と結衣なら静久を選ぶとわかっているのだろう。

「でしたら、私も参加しましょう。妹さんもいるので三対一は可哀想でしょうし」

 近藤さんも参加してくれるなら大丈夫だろう。多分。

「なずなちゃんはどうしますか?」

「回答。私はマスターの下へといきます」

「マスター?」

「俺のことだな。それなんだが、その呼び方は流石にやめて欲しい」

 マスターといっているが、外見上はまるっきり人間だ。精々機械みたいな髪飾りが取り付けられているようにしか見えない。戦闘時は機械人形みたいな機械部分が外にでてくるか、今だと普通に黒髪の綺麗な女の子だ。

「確かにそれだと逮捕されますね。まあ、今でも充分に逮捕の案件なのですが」

 近藤さんの言葉はしゃれにならない。一応、同意なのでセーフだが、不倫していることになる訳だしな。

「合法なので大丈夫です」

「信じられないことにそうなんですよね。偽装とかしていませんか?」

「していません」

 堂々と答える静久に近藤さんは溜息をつく。そして、羨ましそうに静久の頬っぺたを触っている。

「まあ、そっちは任せる。それで、呼び方だが……」

「回答。おじ様ならどうですか?」

「それならまだいいか。じゃあ、皆はトランプでもしていてくれ。なずなちゃんは俺と一緒に工房に来てくれ。色々と調べたい」

「了解。すぐにいきます」

「いってらっしゃい。あまり変な事はしないでくださいよ」

「しないさ」

 なずなちゃんの腕や足をみせてもらうだけだ。色々と解析したいしな。もちろん、許可を貰ってからするし問題ない。

「なずな、変なことをされたら叫ぶんだからね。すぐに助けにいくから」

「解答。問題なし」

「むしろ、自分からしちゃいそうですよね」

「その可能性の方が大きいです。オークのものが肉体を再構成したことで抜けていたらいいのですが……」

「……監視する……?」

「流石にそれは問題がありますね」

 色々といっているが、さっさとなずなちゃんを連れていく。彼女も大人しくついてくれた。




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