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12話 学校へ2



 学校に向かう為に車を走らせる。学校に向かう途中はまるで地獄のようだ。所々で火の手が上がり、悲鳴が聞こえてくる。空では自衛隊のヘリと空飛ぶ魔物であろうが大きな鳥と翼の生えた馬が、互いにドックファイトを行っている。方や銃弾で方や魔法だ。互いの攻撃でマンションが崩れたりもしていて、最適な道順が選べない。


『……敵性体、確認……表示……』

「このまま進むと、敵の陣地に突撃します……?」


 視線をやると無数の光点がナビに表示されており、道の先に陣地が築かれている。


「みたいだな。迂回路は?」

『……四十分くらい……』

「時間が無いです」

「だが、問題もある」


 突っ込んで殲滅できるかどうか、だな。機銃は自動で撃てるが、威力がどこまであるかわからない。


『……敵はトロール、オーク、ゴブリン……問題ない……でも、弾は不安……』

「……この子達を使いましょう」


 浮遊砲台を使えば火力は問題ないかも知れないな。いや、それならいけるか。


「光学迷彩を使おう。この車を覆えるか?」

「多分、出来ます。太陽はまだ出ていますから」

「なら、頼む。その状態で突っ込む」

「わかった。結衣、手薄な所を教えて」

『……わかった……』


 浮遊砲台が車の回りに展開され、結界みたいな物が張られた。これで姿が隠れているだろう。後は音だが、このまま進む。

 進んでいくと、魔物達が待ち構えていた。いや、何かを囲んでいるようだ。


「先輩……アレ……」

「ああ、そうだな」


 連中は腕を食べていた。食べられているのは男の人だ。そちらに集中しているからか、こちらには気付いていない。いや、周りをキョロキョロとしている。だが、まだ気付かれていない。

 そのまま進んでいくと、魔物達が集まっていた。もっと酷い光景が有った。オークやゴブリン達が様々な年代の女性を襲っていた。


「っ……先輩……」

「駄目だ。ここで助けたら怜奈を助けるのが間に合わないかも知れない」

「でも……」

「大事なものはどちらか、履き違えたら駄目だ。俺達に彼女達を助ける時間も力も無い」


 そんな事は聖人君子の正義の味方でもお願いすればいい。


「結衣、自衛隊から援軍は出せるか?」

『……聞いて、みる……』

『増援は無理ですが、空に居るヘリから機関銃による襲撃はできますよ。ですが、おそらく一度だけです』

「了解です。なら、やる事は一つだ」

「先輩……?」

「内部からぶっ放してさっさと逃げる。後は追わせながら集めた所を機関銃で仕留めて貰う。その後は自衛隊に任せる。これが現界だ」

「ありがとう」


 静久の言葉を聞きながら、敵陣の中で機銃の主砲と副銃を操作していく。


「結衣、ロックの補佐は出来るか?」

『ん、任せる』

「静久、光学迷彩解除。機銃と一緒に掃射してくれ」

「了解。結衣、合わせてください」

『ん、トロールお願い』


 犯す事や食事に夢中になっている魔物達の中心部で、静久の浮遊砲台から光線が放たれてトロールの頭部は貫かれる。続いて車の上部に備え付けられている機銃が回転しながら銃弾をばら撒いていく。ゴブリン達やオーク達が貫かれて倒れていく。元から地面に押さえつけられている女性達にはあてないようにしてある。しかし、魔物達もただやられるだけではなく、こちらを囲もうとしてくる。


「出すぞ」

「はい」


 ゆっくりと車を出して、回り込んで来たゴブリン達を轢き殺す。すると、オークが斧を捨てて掴んできた。そのまま進んむが、かなりの筋力で車を止めていく。アクセルを踏み込むが、車体を上げられてどうしようもない。


「邪魔です」


 浮遊砲台の光線がオークを串刺しにして、敵を倒してくれた。そのお蔭で、アクセルを踏み込むとオークの上を走る事が出来た。そのまま左右に車体を揺らしながら、飛んでくる矢や魔法を避けて進んでいく。


『……引き離し、過ぎ……』

「分かった。速度を落とす。銃弾が勿体無い。訓練がてら、静久が倒してくれ」

「了解。結衣、指示してください」

「ん」


 速度を落として、魔物達が付いて来易くする。適度に進みながら、結衣の指定したポイントを静久が狙撃していく。最初は誤差が酷かったが、次第になれてきたのか、あってきているようだ。

 しばらく走ると、前方の空からヘリがこちらに飛んでくる。そのヘリの後ろから大きな鳥がこちらに飛んできている。


『こちら、デルタ2。クロスレンジで互いの敵を倒せるか?』

「静久」

「可能です」

「了解した。こちらの敵をよろしくお願いする」

『心得た』


 互いに交差する瞬間に発砲して、俺達は巨大な鳥を撃ち落とし、ヘリは機関銃で後ろの魔物を一掃してくれた。


「先輩」

「わかっている」


 アクセルを踏み込んで落ちて来る大きな鳥を回避する。走り去った瞬間、背後に大きな鳥が墜落する。俺達はそのまま進んでいく。


『……やばい……次の交差点、入ったら……光学迷彩でエンジン切って、待機……』

「わかった」


 不安だが、指示に従うしかない。結衣の言葉もかなり焦り気味だったし。言われた通りに曲がって、エンジンを切る。直に静久が光学迷彩を発動してくれる。何が起こっているかはわからない。


「せっ、先輩……アレ……」


 静久が震えながら、俺の服の裾を掴んできた。そちらを見ると、指で市役所の多きなビルを指さしていた。なんでもないじゃないかと、思いながら上を見ていくと……その隣に三、四十メートルはありそうな巨大な赤い巨人が庁舎の先端を掴んでいた。赤黒い肌に額にある刃のような巨大な角。鎧兜を着こんだその姿は正に鬼武者といった感じだ。そいつは腰にさした巨大な刀を振るう。それだけで庁舎が切断され、倒壊していく。


「せ、先端……」

「静久……」


 根源的な恐怖が湧き上がる中、シートベルトを外して、静久を抱き寄せる。互いに震える身体を抱き締めながら、耐える。鬼武者が歩く音と振動がまるで地震みたいに伝わってくる。踏みつぶされたり、見つかると人溜まりも無いだろう。

 どれくらいそうしていただろうか。音と振動が離れていき、二人でほっとする。


「セラ、ヴォルフ、大丈夫ですか?」

「わふ」

「にゃぁ~」


 静久が後ろの二匹に声をかける。二匹も互いにくっついている。それを確認してから、エンジンを入れる。


「結衣、どうだ?」

『……離れた……大丈夫……でも、やばい……学校、オーク……侵入した……』

「そんなっ⁉ 先輩っ!」

「分かっている!」


 ここからでもまだまだ時間が掛かる。急いでいかないと不味い。学校の場所は山を超えた先で、高速道路の下にある最近教学になった学校だ。


「結衣、最短ルートを教えてくれ!」

『……危険だけど……最速……』

「それでいい!」

「御願い!」

『ん、高速道路』

「わかった!」


 急いで高速道路に向かう。直ぐに高速道路の入口が見えてきた。ETC用のレーンに入る。レーン遮断機が降りているが、無視して突破する。この車なら簡単だ。普通なら、駄目だろうが今は緊急時だ。直ぐに速度を出して120キロまで加速する。


「先輩は運転に集中してください」

「わかった」

「結衣ちゃん、ルートを教えてください。途中で降りられないはずですが……」

『……高速から、飛び降りるだけの……簡単なルート……』

「いやいや、何言ってんの!?」

「確かにその方が速いですね。壁は撃ち抜けばいいですしね。降りる時は障壁を壁にしましょう。可能ですよね?」

『可能』

「先輩」

「わかった。それで行こう」


 静久まで乗り気だし、手段があるならいいだろう。このまま走っていき、トンネルを超えた瞬間、渋滞に掴まった。そう簡単には行かせてくれない。そりゃ、こんな状況になったら皆避難するだろう。


「結衣、車の中に人は要るか?」

『……ちょっと待つ……ん、居ない……』

「なら、潰して進むぞ。障壁で壁を作ってくれ」


 直ぐに障壁を作ってくれたので、そこに乗って車の上を走る。段差は激しいが、この車なら問題ない。

 しばらくの時間を走っていると、目的の学校が見えた。


「見えました!」

『……高速道路……屋上、つける……』

「わかった。静久、頼む!」

「はい!」


 浮遊砲台で光線を集めて放つ。壁が破壊されて道が出来た。ハンドルをそちらに切って、突っ込む。直に高速から出て重力に従って落ちていく。


「静久っ!」

「はいっ!」


 浮遊砲台が展開した障壁の上を乗って、落下速度を落とす。しかし、予想以上に下がっていく。浮遊砲台の浮力が足りない。


「ちょっ、止まらないんだけどっ!」

「せっ、先輩……いっぱい撃ちましたよね……」

「エネルギー不足だとっ⁉」

「た、太陽も陰ってきてますから……」


 屋上には間に合わない。だが、窓からならぎりぎり入れる。機銃を向けて前段発射して壁を穴だらけにする。そこから車で突撃して内部に入ると同時にブレーキを踏み込む。車体は横滑りしながらもしっかりと止まってくれた。






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