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10話 能力習得

  近所の人達を起こして避難して貰う。これだけでもかなり大変だった。自衛隊の人が一緒じゃないとまず信じてくれない。それに自衛隊の人が手配してくれた車で急いで逃げていく。この辺りはゴーストタウンみたいになるのは時間の問題だろう。

 自宅に戻ると、既に多数の機材が運び込まれて、防衛する為の陣地も作成されていた。しかし、まだまだ不安だ。何か手伝える事が無いか、聞いてみるか。


「四ノ宮さん、何かできる事はありますか?」


 リビングで結衣の横に座って、手伝っている四ノ宮さんに声をかける。


「そうですね。今の所はありません。いえ、教えて欲しい事がありました」

「なんですか?」

「ここにある迷宮についてです。特に出現する魔物についてです」

「わかりました。図鑑で説明します」

「お願いします」


 出て来た魔物について説明していくと、四ノ宮さんが溜息をついた。


「ここを放棄する訳にはいかなくなりましたね」

「それほどやばいんですか?」

「ええ。おそらく、一級指定の迷宮です。属性は太陽又は光でしょう。太陽花が居るのですから、確定です。これらは動かないのですが、非情に強力な魔物です。私達が居た迷宮は三級指定の迷宮でした。一級指定の迷宮にはそれぞれ、神の名前が刻まれています。現在、日本で発見されている一級指定迷宮は富士の樹海に出現した須佐之男命。北海道に出現した月詠です。どちらも強大で強い魔物が徘徊しています。こちら、新選組指揮官。小隊α、そちらの迷宮の名前を確認してください」

『了解しました』


 四ノ宮さんが無線で連絡を取ると、直ぐに返事が帰ってきた。これは無線ではなく、有線で接続しているからこそ、通信出来ているらしい。


『まじかよ。この迷宮、やばいですわ』

『ここの迷宮の名前は天照大御神。主神ですわ』

「やはりですか。引き続き、警戒をお願いします」

『了解です』


 四ノ宮さんが無線から手を放すと、苦笑いしながら現状を話してくれる。


「ハッキリ言って、彼女……奥さんでいいんですか? 年齢には問題ないんですよね?」

「もちろんです。20は過ぎています。なんでしたら、身分証を確認しますか?」

「いえ、大丈夫です。いささか信じられないほどの若さですが、まあ事実なのでしょう。初等部の生徒くらいにしか見えませんが」

「本人の前で言わないでくださいね。少し、気にしていますから」

「ええ、はい。さて、続きです。まず、一級指定迷宮は属性が決まっています。ここならば天照大御神ですから、太陽です。逆に月詠なら夜です。須佐之男命は刃です。月詠で確認されている魔物は幽霊(ゴースト)死神(グリム・リーパー)などをはじめとした不死者(アンデット)系です。須佐之男命では刀剣類を持った魔物が出てきます。おそらく、ここも全て太陽や光に関する物でしょう」

「土竜もですか?」

「天岩戸から土を連想されたのかも知れません。いえ、そもそも天照大御神は自然神ですからね。案外、土竜は土を耕す為かも知れませんね。それと確か、天照大御神は太陽、光、慈愛、真実、秩序を司っているのでしたね。太陽と光は太陽花達が、慈愛は入口の安全エリアでしょうか。真実はわかりませんが、秩序は軍隊系の魔物が居る事が判明しています」

「軍隊系ですか」

「はい。おそらく、見たという蜂もそれ系統でしょう。やれやれ、誰かが神様が私達につかわした試練といっていましたが、それは強ち間違いではないかも知れません」

「確かに」


 しかし、一級指定の迷宮か。奥に進まずに経験値稼ぎに重きをおいていたのは正解だな。


「どちらにしろ、ここが氾濫されると手に負えませんでしたね。おそらく出て来るのは携帯ミサイルじゃどうしようもない、化け物でしょうから」

「では、倒しておいて正解だったのですね」

「ええ、そうです。ああ、そうだ。まだ能力を得ていませんでしたね」

「欲しい物がありませんでしたので」

「でしたら、ここは午後12時に祭壇が出現しますよ」

「今まで出ていなかったのですが……」

「それはそうでしょう。あの機能は五階まで降りた人が居れば、ロックが解除されるシステムですから」


 なんて面倒なシステムなんだ。


「ですが、行軍訓練で五階までいっているので、今なら問題無いでしょう。どうか、良い能力を手に入れてください。出来たら、戦闘系でお願いします」

「いや、取りたい能力があるので」

「今は緊急事態です」

「だが、断る」

「……はぁ、好きにしてください。森谷さんのお蔭でかなり助かっていますからね」

「ありがとうございます」

「しかし、そうなるとアレです。もうやる事はないのでさっさと眠って昼に備えてください」

「わかりました。妻が夜食を用意しているので、食べてやってください」

「ありがたくいただきましょう」


 話を終えて、結衣の方を見るとかなり高速でタイピングを行っている。何をやっているかはわからないが、忙しそうなので寝る事だけを伝えておこう。


「結衣、俺はもう寝るから長期戦になるんだからしっかりと睡眠をとるんだぞ」

「ん、わかった。おやすみ」

「ああ、おやすみ」


 そのまま移動して、静久の下に向かう。彼女は台所で沢山のおにぎりを作っていた。


「先輩、どうしましたか?」

「もう休む。明日は迷宮で能力を手に入れるぞ」

「わかりました。こんな時に不謹慎かも知れませんが、せめて一緒に寝ましょう……その、不安で……少し怖いです」


 手を洗ってから、俺の服の裾を掴んで上目遣いでお願いしてきた静久に一発でKOされた。このまま襲いたいが、流石に不味い。抱き上げるだけにしておこう。


「わかった。何時ものように一緒に寝よう」

「はい」


 抱き上げて口付けを交わしてから、夜食を配っていく。それがを終れば、俺は寝室で久しぶりに静久と抱き合って眠る事にする。


「先輩、一つお願いがあります」

「なんだ?」

「明日、お母さんやレナとリナを迎えに行きたいです」

「何処に居るかはわかっているのか?」

「はい。お母さんとリナは病院に。レナは学校です」

「わかった。明日、能力を手に入れてから向かうとしよう」


 これは最悪、錬金術を諦めないとならないかも知れないな。しかし、愛する妻の為ならば仕方ない。それに大切な家族だしな。でも、諦めたくないな……出来たら、出て来る事を願おう。








 ※※※






 目が覚めると、暖かな温もりが二つあった。慌てて布団を上げてみると、右側には妻である静久が俺の腕を枕にして猫のように丸まりながら眠っている。左側は何時の間にか潜り込んでいた結衣が下着姿で眠っていた。これは非常にやばい事態ではなかろうか?


「おい、結衣」

「ん~~後、二時間~~」

「長いですね」

「……」


 右際に居た静久が起き上がり、こちらを見ていた。


「あ、あのだな……」

「どうせ潜り込んできたのでしょう。大丈夫ですよ。先輩の事を信じていますから。まさか、手を出したりはしていませんよね?」

「していません」

「なら、構いません」


 静久が結衣をずらして、頭を枕に乗せてくれる。これで俺は自由となった。ベッドから出て着替える。時刻を確認すると、すでに十一時になっていた。

 下に移ると、既に皆さんが忙しく働いている。俺達も急いで朝食を食べて準備する。狙いは昼の十二時だ。あまり時間はない。


「柊さん。能力ですが、一番最初に捧げた物が基準になるそうです。ですので、捧げる物はしっかりと考えてください」

「ありがとうございます」


 四ノ宮さんが助言をくれ、俺は静久と選ぶ事にする。


「先輩、錬金術がいいんですよね?」

「まあな。でも、怜奈達を助けに行くのに戦う力が必要だ。銃だけではどうしようもないかも知れない」

「なら、錬金術でも戦える物を選びましょう。それより、詳しい内容を教えてください」

「わかった」


 祭壇について、知っている事を静久に教える。


「なるほど。では、要らない物を排除していきましょうか。少しでも確率をあげる為に必要な物とそうでない物を別けましょうか」

「それだとゲームじゃないな」

「攻略本を切り取ってしまえばいいのです」

「それはなんとまあ……」

「有効でしょう。モンスターのデータなど要らないのですから。必要なのは素材ですよ」

「わかった」


 錬金術関連のみを取り出して、捧げる用意をする。こんな事をしていれば、時間が過ぎて昼の十二時前となった。俺と静久はヴォルフとセラを連れて、迷宮に入っていく。




 迷宮では既に自衛隊の人によって投石機だけではなく、ロケットランチャーやナパーム弾などが用意されているのでこちらは大丈夫なようだ。自衛隊の人に挨拶してから、水晶の方へと向かう。


「大丈夫ですか?」

「ええ。投石機も使えますが、やはりこちらの方が使えますからね」

「でしょうねえ」

「そちらは水晶ですね。話は聞いています」

「ええ」

「でしたら、柊さんが触れるだけで大丈夫なはずです。別の迷宮で五階まで行っているなら問題ありません。もしくはすでに祭壇に触れて勾玉を一つでも得ていた場合です。触れれば出るはずです」

「わかりました」


 薄黄色になっている水晶に触れると、確かに祭壇が出現した……と思ったら祠だった。鳥居まである。


「これ?」

「みたいだな」


 祠の中に用意した物を入れると、瞬く間に消えていく。


「錬金術を頼む」


 そして、現れたのは金色の勾玉だった。勾玉を受け取って、名前を確認する。錬金兵器。なんか違う。確かに強そうだが。


「錬金兵器か……違うな。まあ、武器としては当たりだろうが」

「じゃあ、次は私ですね」


 静久が物を捧げると、深い青色の勾玉が出た。


「こっちは水魔法ですね」

「セラ達もできるか、試してみるか」

「そうですね。おいで、セラ」

「にゃ」


 セラを静久が掴んで持ち上げ、祭壇に捧げさせる。腕に乗せて入れてみる。すると、銀色の勾玉で分身というのが出た。それをあっさりと飲み込んでしまった。するとセラの身体が猛烈に光に包まれる。


「だ、大丈夫ですか?」

「多分大丈夫なはずだ」

「にゃ~」


 光が収まるとセラが何時の間にか二匹になっていた。それで静久の肩に乗って両側からぺろぺろと舐めている。どうやら、これが分身の効果だ。続いて、ヴォルフだ。


「ヴォルフ、頼む」

「わふっ」


 咥えたゲームをぽんと、置いて出て来た勾玉をそのまま食べてしまった。何が出たかはわからない。ヴォルフも光って飲み込まれていく。それから、直ぐに出て来て丸まってしまった。


「まあ、いいか」

「そうですね」

「じゃあ、二週目だな」

「では、私からしますね」


 静久が用意したアトリエのゲームをぽんと置く。すると、今度は虹色で錬金術が出た。


「出ましたね」

「だね」


 貰った物を確かめると、物質変換が可能みたいだ。それも色々な方法でだ。


「ありがとう、静久っ!」


 俺は嬉しさのあまり、抱きしめて頬擦りしてしまう。


「痛いです。それで、これが目的の物ですか?」

「ああ、多分な」


 改めて説明を読む。すると、とんでもない一文があった。


 錬金術:素材を物質変換して、全く別の物を作り出す技術。女性用。


 そう、女性用。つまり、俺は使えずに静久が使える。


「なん、でだ……」

「先輩、先輩」

「なんだ?」

「この、ゲームって主人公が女性の錬金術師だからではないですか?」

「しまったっ⁉」


 そりゃ、女性用になるのは仕方ない。逆に男性が武器とかを作っていた。ある意味では会っているのかも知れない。


「まあ、仕方ない」

「ですね。最後はお願いします」

「わかった」


 もう一度捧げる。次に出たのは緑色の勾玉で、風力操作だった。これで俺達は今日の分を使い切った。集まったのは錬金兵器と錬金術。風力操作、水魔法の四つだ。


「さて、どうするか」

「そうですね。先輩は錬金術がしたかったんですよね?」

「まあな」

「なら、私が習得しましょう。先輩は錬金兵器の方をお願いします」

「そうだな。そうなるしかないか。他はどうするか……」

「残すしかないですね」

「それもそうだな。里奈達にあげてもいいしな」

「はい。では、同時に飲みましょう」

「そうだな」


 二人でそれぞれ勾玉を飲み込む。すると、身体が凄い光に包まれた。その光の中で選んだ武器の種類の錬金兵器の作り方と操作方法が頭に入ってくる。どうやら、一つだけはサービスのようだ。なので、現状で作れる最大の兵器を作る。それは太陽花の大きな魔石を丸ごと錬金して作る小型の浮遊魔導砲台。材料に鉄やなんやらと要るが、それは隣に要る静久に頼む。


「素材が欲しいが、作れるか?」

「どんなのがいいのですか?」

「出来たらダイヤモンドか水晶だな。透明度があるものがいい」

「ダイヤモンドは炭素でしたね。最初だけは経験値過剰だからサービスしてくれるみたいです。どれだけ入りますか?」

「出来るだけ」

「わかりました」


 静久が灯油のケースごと使ってダイヤモンドを作り出してくれる。それが何個も作ってくれた。それは一つハンドボールくらいの大きさだった。どう考えても値段がおかしくなりそうだ。取り敢えず、これを使って作る。太陽花の大きな魔石と巨大ダイヤモンド。後はイメージだけだ。イメージするのは空中に浮遊してレーザー砲を放ち、敵を殲滅する。同時に光を操作できるようにしておく。やはり、遠隔操作の浮遊砲台はロマンだ。


「よし、出来た」


 錬成の光が立ち上り、煌めく浮遊砲台がくみ上げられていく。それは十面体の形をしており、空中に浮遊している。それが五個できた。それの操作端末は……そこでふと静久を見る。


「?」


 不思議そうにこちらを見る静久。そこには綺麗な首が見えた。人の弱点であり、急所である首。そこを守る防具を作るのがいいかも知れない。チョーカーにして、どうせなら鈴もつけておこう。これらもダイヤモンドと同じようにして硬い物にしておこう。


「よし、出来た。静久」

「なんですか?」

「これをつけないか?」

「チョーカーですか?」

「ああ。急所を守るためにな。後はこれがコントロール装置になっている。これが壊される時は……」

「死んでいるという事ですね。確かに腕輪や指輪なら斬り落とされたら終わりですね。でも、先輩が装備しなくていいのですか?」

「ああ、静久の方が大事だからな」

「私にとっては先輩の方が大事なんですけど……」

「俺には弓があるからな。遠距離攻撃手段は要るだろう?」

「それはそうですが……」

「いいから」

「ふぅ……わかりました。着けてください」

「ああ」


 差し出された首筋にチョーカーを嵌める。鈴も合わさって猫みたいだ。取り敢えず、抱き上げる。


「猫みたいだ」

「にゃぁ?」

「可愛いな」


 猫の手でそんな事を言って来る静久を撫でると、次第にかるくぽすぽすと殴ってくる。


「痛い痛い」

「そろそろ降ろしてください。視線が痛いです」

「あ」


 顔を真っ赤にして言って来る静久に改めて、ここには他の人も居るのを思い出した。回りの人は素知らぬふりをしてくれたが、これは結構恥ずかしい。今まで、セラとヴォルフを除けば俺達以外に人がいなかったから、ついイチャイチャしてしまったな。


「それで、これの使い方は?」


 地面に降ろすと早速聞いてきた。


「音声と思念操作みたいだな」

「起動してください」


 静久が声に出すと、地面に落ちていた浮遊砲台がうっすらと光ながら浮き上がってくる。


「レーザー以外にも光の操作とかできるから普段は光学迷彩で隠しておけるぞ」

「それって私達も隠れられるって事ですよね」

「たぶん、リンクして使えばいける」

「色々と試してみます」


 それから、静久が三角形にしてバリアを展開したり、回りを囲んで光学迷彩を使ったりと色々と試していく。俺もその間に矢を用意していく。準備をして二時くらいにここを出る事になるだろう。








ヴォルフのモデルにしているうちのワンコが、亡くなりました。もふもふが居なくなっちゃったよ……猫も少し前に……今年は厄日です。

こちらは置いといて、アトリエです。

アトリエはまあ、分かる人はもう直ぐですとだけ。

錬金術はやはり女性用という事にしました。兵装開発は男です。作った兵装は小型のラミ○ルとかだと思ってください。あんな感じです。もしくはビッ○兵器です。

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