4枚目
『必殺!ぐれーん・キック!』
「おおっ!!」
『オレの名は、ぬいぐるまー紅蓮。赤く輝く蓮((明日))の華!』
「ぐれーん!!」
『みんな、来週も観てくれよな』
『きらりと輝く白い鳩((歯と))、明日を生きる力をモットーに、愛映会の提供でお送りしました』
ぱちぱちぱち。
テレビにかじりつくようにして、特撮映像に見入っていた少年少女が本日の感想を述べ合っている。
微笑ましい光景だ。
放送中も物語の内容にあわせたように、ピンクのうにょうにょと緑のつんつんがせわしなく動いていた。
のけぞったり、抱き合ったり、手を握ったり。
忙しいな。お子様ツインは。(双子ではありません)
肉体こそ十代半ば?を越えたふたりだが、精神はまだまだ子ども。
「あ、そだ。びー」
「なんだよ。グリレ」
「ぐ?え?なんだよ、その略し方――」
グレー・G。トーンダウン。
「セタンは仕事か?続き観たいんだけど?」
「来週にしろ。次週まで待て」
「えー、なんでー?」
「これ生だから」
「LIVEなんだよ。ラ・イ・ブ!過去放送分は見れるけど、次週予告分は未放送なのっ!」
「え~、早く観たいぃ」
「ったく、グラサン無いだけで、ガキに戻るんだからなー」
ぶーぶー言っている二人を無視して、夕飯の準備を再開する。
←← 巻き戻し。
G「オレ様の名はグレー・G」
B「グラサン全身緑タイツのフル○ン野郎」
G「緑……は、あってるけど……」
G「これはタイツじゃねぇ!スーツだ。スーツ!てめえが着てるのと同系統だろうが?どこに目、ついてんだ?ああっ!?」
B「スーツだったのか。てっきり、新種のド派手ヌードタイツかと」
G「いやん。って、違うわ!」
B「えっと、名前なんだっけ?」
G「グレー・G」
瀬田「緑なのにグレーなのか?」
B「グレー?グレージュ?どちらも色が違うな」
P「緑!緑!」
瀬田「緑ちゃんでもいいが……」
B「実は裏地グレーだったり?」
G「いや、緑」
ぱから。っと、本体に戻ってひらり。
B「おお、緑だ。まごうごとなき緑色っ!!」
瀬田「えと、グレー、なんだったか」
G「グレー・G」
瀬田「グレジ?言い難いうえに、何より印象が悪い。効率よく印象を向上するには……」
B「ええと、瀬田さん?瀬田さーん?」
瀬田「よし。お前は今日から、グリーンレジだ!」
G「グリ、何?は?え?」
瀬田「君の名前だ。グリーンレジ。環境にも配慮したよい名前だ。奥様方の印象アップ間違いなし!」
B「せ、瀬田さん、印象は関係ないと……」
ついに壊れたか?
戸惑っている所にパピヨン登場。
なにやら楽しそうに……おままごと?
P「いらっしゃいませ。ぴっ」
G「ありがとうございましたぁ。って、POSじゃねーし、通らねーよ!」
P「通らないの?」
G「通るわけないだろ。読み取り不可だろう、それ。空気だぞ、空気!」
P「じゃあ、これは」
G「だから、オレはPOSでもレジでもねぇ!」
B「わかってるじゃん」
少し早送り →→
壊れた瀬田さんの暴走は続き。
B「にぃぐるまー星は奇人変人、おまけに変態さんの集合体なのか?」
瀬田「さあ、これが本物のグリーンレジスターくんだ」
G「知ってる!」
瀬田「なんだ。知っているのか?では、その機能は?」
B「普通にレジとして機能すれば何でもいいと思うよ」
瀬田「おい、開発者の皆様に謝りなさい。血と涙と感動を共有するんだ!」
一同「どうやって?」
壊れた瀬田さんについていけない。
一同、揃って首を傾げた。
現時点まで早送り →→
グリレとの出会いを回想していたはずが、妙なところまで思い出してしまった。
とにかくご飯だ。ご飯。
お気に入りの番組が終わったからには、急いでお子様たちの胃袋を満たしてやらないとな。
母ちゃんモードになっていることに気づかないBは、瀬田の行方も放置したまま、張り切って台所に向かったのだった。