その九 祭り。(後半)
大変長らくお待たせしました。
待っている人がいてくれると私は切実に願うがいないと思っちゃう辺り残念ですね~。
さて、今回は長いうえ、更になんと分かりにくいという非常に最悪な方向に向かってしまったので、ヒントを出したいと思います。
ヒント『私は百合じゃない!!』
こんな感じです。
時刻は現在18時32分。
私は今、霞ヶ原さんに買ってもらったたこ焼きをほうばっていた。
「どうえ?美味しおすか?」
「はい!めちゃくちゃ美味しいです!!」
今は神社のお賽銭箱の前の階段に座り、休憩を取っていた。
構図でいえば霞ヶ原さんは食べ物を挟んで私の右隣に座っている。
ちなみに霞ヶ原さんは焼きそばを食べ終わり、今は私と同じたこ焼きを食べていた。
「よくそんなに食べれますね」
妖怪は基本的によく食べるが、霞ヶ原さんは異常だった。
まず最初にフランクフルトを5本食べ、次に焼き鳥の股と皮を8本ずつ食べ、その次に焼きそば4人前を食べ、その次にお好み焼きを6人前を食べ、その次に焼きそばを5人前を食べ、今度はお菓子系が食べたくなったのかチョコバナナを3本、りんごアメを2個、綿菓子を4つ、ベビーカステラを6つ、じゃがバタ3つ、あんず飴を3つ、そしてまた焼きそばを5人前たえらげ今に至る。
ハァハァ……疲れた。
いくら何でも食い過ぎでしょ。ギ〇ル曽根かよあんたは。
見てるこっちが気持ち悪くなってくる。
「どないん?食欲あらへんん?」
口を開けたままフリーズした私を心配したのか聞いてくる。
「そんなに食べて平気なんですか?」
「どもないどすえ、まやまや食べれへんくらい。それに食べても太れへんし」
そう言いながらも次々口にたこ焼きが入っていく。
霞ヶ原さんの身体はどういう構造しているのだろう?
だって、出るとこ出てるし引っ込むとこ引っ込んでる。つまりナイスバディなわけで。
でもあんな目の回るような量食べたら普通太るというより吐くだろう。
「そや、叶ちゃんにええモン見してあげるよ」
「え?いいもの?」
私が聞くと、霞ヶ原さんはこくりと頷く。
「見ててな……」
そういうと霞ヶ原さんはたこ焼きを上に投げる。
「あっ!!……んっ?」
私がたこ焼きを投げた事に驚いて声をあげた瞬間、たこ焼きは消えた。
「どない?驚おいやした?」
前回からおもっていたが、霞ヶ原さんはどうやら驚かすことが大好きようだ。
そしていつも私が驚かす対象である……。
そんなに反応が面白いかな、私。
ま、面白いからやるのだろうが。
「ど、どうやって消したんですか!?教えてくださいよ!」
そんな技があるとはー!!
「ふふふ、そら無理や」
「な、何でですか!?意地悪しないで教えてくださいよ~」
「ふふふ、おせて欲しかったら叶ちゃんのスリー○イズおせてよ」
「えぇーーー!そ、そんなの無理ですよ!!」
な、何故みんな私のす、ス○ーサイズ知りたがってるの
「ふふふふふ、やっぱり叶ちゃんはおもろいなー」
「うぅー……やっぱりー……」
言うと思った。
「ほな、叶ちゃんが敬語使いまへんで話してくれへんならええよ」
「え、でも霞ヶ原さんは年上じゃないですか!?」
「なん歳に見える?」
「うーん、十八歳くらい……かな?」
絶対二十歳なんて言えない。
「ほな、叶ちゃんは今なん歳?」
「いまは十四ですけど……」
「ほな同い年やね」
「へーそうっだたん……ってえぇー!!」
同い年には見えない。
「い、いやだって、中学生には見えないっていうかなんというか…」
だってあのボディで中学生はないって。
「そない?たとえばやなあ、どこが?」
恥ずかしそうに体をくねくねしながら頬を両手で押さえる霞ヶ原さん。
「た、例えば顔が大人びているとか」
「おんおん」
「体が中学生離れしているくらい良いとか」
「そないな事言われへんと照れへんではおまへん」
あからさまにマジで照れる霞ヶ原さんは少し可愛かった。
「って、そないほななっくって。敬語は使いまへんで欲しいんかて」
「そうでした」
「また使こうてる」
「うーん難しいな」
いきなり敬語を使うなって言われてもな~。
「ほな、まずは名前で呼び合ってみようか」
「えぇーー!む、無理ですよ!」
それを言うとまた霞ヶ原さんはむぅーーと唸った。
「わかりまし……わかった。や、大和…」
「うちが叶ちゃんって呼んでるみたいに大和ほななくてあや名で呼んでよ」
「え、うーん何がいいかなー。大和は男っぽいしなー……」
大和、何かいいのが。大和、大和、大和……あっ、そうだ女の子っぽい名前が!
「…で……」
「え、なん?何やええ名前見つかったん?」
「うん。大和だから撫子。どう?」
私の中では結構いい線いってると思うんだけど。
「撫子、か、おん、ええ名前やと思うよ。おおきに、叶ちゃん」
「よっかたー。気に入ってくれて」
でも、そのとき私は嬉しそうにしながら悲しそうな複雑な笑顔だったことを忘れはしないだろう。
「ほなお返しにあや名つけてあげるよ」
「ほ、ほんとに?」
「おん、ええよ。そやなー叶ちゃんさかいに……」
あの複雑な顔はなんだったのだろうか。
「ほな姫さんで!」
「何処もかかってないよ!ってかどこが姫」
「にしても姫さんは順応早いなー」
「…まさかの無視……!」
「かんにんどっせ悪気はおますよ」
「あるんだ……」
「だが断る!」
「そのネタはだめでしょ!?」
それはいいのだが……。
「やっぱり撫子って長いし呼びにくいから撫子でいい?」
「そのネタもあむないと思おんせやかて、まぁ、姫さんがよろしいならええんではおまへん?」
あれ?そういえば……。
「撫子がどうやってたこ焼き消したのを教えてもらってないよね?」
すると撫子はビクッと体を震わせ、背中から冷や汗がたらたらと流れ出した。
「う、うーん。しゃーないか……おせてあげるよ」
撫子は立ち上がるとおいでおいでをして歩き出す。
その手にはいつの間にか消えた大量の食料のパックやらをゴミ箱に捨て、神社の裏の巨石の前まで来てこういった。
「姫さん、今回ばっかりは驚かいないでね」
「う、うん。わかった」
撫子が目を瞑り、呼吸を整える。
すると、私はすごく嫌な予感がして2~3mくらい後ろに跳ぶ。
着地してもう一度撫子を確認すると撫子は目をゆっくり開いた。
その眼は蒼く輝き、撫子を中心に巨大な影が円形状に地面に広がっていた。
私はその眼を見てぞっとした。
何もかもを飲み込むような真っ黒い世界のようなその眼に。
「撫子、その姿は?」
「私はデイダラボッチの末裔」
「え、あの富士山とか芦ノ湖の?」
「そう」
これで理解できた。
あのときの霧も、消えたたこ焼きも全てが『撫子の中』だったからだ。
「撫子本体は撫子だけど、本来はもっと大きいでしょ?」
「ええ、私が核だけど、本当は皆私の中にいるわよ」
「まぁ、別に撫子が何であれ撫子は私の友達に変わりないよ」
「よかった……」
そう言うと撫子は眼を瞑る。すると影は中心に向かって急速に縮んでいく。
再び目を開けると蒼かった眼は元の色に戻り、影はいつもの大きさに戻っていた。
半泣きになりながら撫子はへなへなと座り込んでしまった。
「だ、大丈夫!?」
「お、おん。これしんどいしかなん思い出がおまんどすな」
何があったかは今は知らなくていい。撫子が勇気を出して私に教えてくれたことが今彼女が私にできる精一杯の行いだったというだけだ。
私は今何もしてあげられないかもしれない。慰めにもならないのかもしれない。
でも、彼女が最後に言った言葉の返事くらいはしてあげられる。
「どういたしまして!」
現在時刻20時4分。
空には流星郡が私たちの上を流れていた。
叶「私は百合じゃない!!」
青年「な、なんだよいきなり?」
叶「だって本編で……ってそういえば今回出てないよね?」
青年「そうなんだよ。なんか俺嫌われてる?」
大和「確かに名前も決まってへんし、ましてや主人公やてへんさかいしゃあないといえばしゃあない」
青年「う、確かに。ならば、作者様や、次回作は俺が主人公になるように作ってください!!」
作者「やだ(笑)。だって名前も決めてないし、更に話にも出てこないような奴を何故に主人公にする?」
青年「そこをなんとか!」
作者「やなこった。もう次回作の第一話作り終わったもん」
青年「え゛、マジで……?」
作者「うん♪」
青年「そんな~、また主人公じゃないの?また使い捨てキャラなの?」
作者「ってかそれ以上に後半以外ちょとしか出ない」
青年「更に酷かった!?」
作者「まぁまぁ、落ち着きたまえ。次話では大活躍間違いなしだから(笑)」
青年「おいおい、(笑)をつけるな」
叶「そんなことはどうでもいいんだけど、何で急に活躍するの?」作者「それはね……。次話が最終話だからたよ!!」
叶「そ、そんな!?」
作者「はい、カンペ。いい加減まとめて」
叶「うぅ。次回、最終話 流星の夜に。」