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ある日突然見知らぬ女性が訪ねてきました、どうやら婚約者の浮気相手のようなのですが……?  作者: 四季


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4話「破滅するだけ」

 殺人という罪を犯したラランは牢屋送りとなった。


 それと同時に人権をはく奪された彼女は人として扱われることはなくなった。


「ララン、そこの生ごみを食え」

「嫌……嫌よ……そんなの、絶対……」

「食え!」

「きったない! 最低! そんなことできるわけがないでしょ? 美味しい料理を出してちょうだい!」


 彼女は毎日のようにおかしな行動をすることを求められることとなる。


「黙れ!」

「ぐっぎゃ!」


 今やラランは人ではない。動物以下の存在。それゆえ、管理者の命令に従わないことは許されない。命令に従わなければ徹底的に痛めつけられる。それが彼女に与えられた運命だった。

 命令の内容が常識的に考えてどんなにあり得ないことだとしても、彼女はそれに従うしかない――あるいは、暴力に耐えるか、だ。


「い、痛いじゃない!」

「まだ生意気な口を利けるとは元気だな」

「何なの……」

「ならばもっと痛い目に遭わせてやろう」


 管理者は彼女のみぞおちを蹴り上げる。


「っ!!」


 逆らえば痛い目に遭わされる。

 その現実は変えられない。

 彼女が選べる道は限られている。


「い、った……ぁ、ぁぁ……」


 ラランに希望ある未来はない。


「ほら!」

「ぎゃ!」

「もっと!」

「あああ!」

「もっとだ!」

「きゃ、あ……い、やあああああっ」

「まだまだ!」

「ぎゃああああああ!」

「ほぅら!」

「ああっ」

「もっともっと!」

「やめ……ぎゃあ! ああ! いた……あああああ!」


 人権はく奪された彼女を待っていたのは地獄。

 そしてそれは何をしても永遠に逃れられぬ暗黒の世界だ。


「ぁ……ぅ、ううっ……ぁ、や……も、もう、い……い、や……これ、いじょ、う……や、やめ、て……ぅ……っ、うぅっ……ぅ、ぅ、ぁ……あっ……もう、こん、な……の……うう……」


 泣いて、泣いて、泣いて。


 それでも逃れられない。

 それでも許されない。


 誰も助けてはくれない。

 誰も寄り添ってはくれない。


「こん、な……っ、こと、って……ぅ、あ、ぁぁ……う、ううっ……ひど、い……ひと、り、ぼっち……で……ずっと、ずっ、と……たす、けて……だ、れか……だ、れかぁ……おね、が、い……ぅ、っ、ぁ……や、やだ……だ、れも……た、す、けて……くれ、な、いなん、て……ぇっ……う、ぅ……こ、こわ……っ、い、ぃぃぃ……の、にぃ……うっ、ううっ、う、う……ぁ、っ、う……」


 ただ、孤独の闇に堕ちてゆくだけ。


「あんな……ぁ、ん、な……おかし、な、おと、こに……っ、ぐすっ……かか、わら、な……けれ、ばぁ……っ、い、ま……だ、って……しあ、わ、せで……いら、れた、は、ず……なの、に……っ、う、ううっ、ぐす、う、ううう……」


 ――その後ラランは処刑された。



 ◆



 あの後ラランの両親とも話をした。

 そして慰謝料を支払ってもらえた。

 二人は娘とカイールの関係は詳しく知らなかったようだが、こちらから説明すると理解してくれ、素直に償いのお金を支払ってくれた。


「良かったわね、アイリーン」

「ありがとう母さん」

「これで後はゆっくり休むだけね」

「……なんだか安心したら眠くなってきた」


 ラランが現れたところから始まって、とんでもない事件に巻き込まれることになって……と、ここまで色々ありすぎた。


「ええ、ええ、そうでしょう。短期間で色々あったものね。疲れているでしょう、だから休んで。他のことは何も心配しないでいいからね」

「母さん優しすぎじゃない?」

「何を言っているの。母親だもの、娘が困っている時には支えるわよ。必ず、ね。……それが母としても役目よ」


 カイールも、ラランも、もうこの世から消え去った。私を厄介な話に巻き込んだ者たちは消滅した。生き残ったのは被害者である私一人だけ。形は違えど悪しき行いを重ねた二人は勝手に破滅していった。


 ある意味それは定めだったのだろう。


 神様は見ている。

 運命は知っている。


 悪いことをしておきながら幸せになんてなれはしない。


 罪は償うことになる。


 ……どこかで必ず。


 ちなみにラランの実家でもある王都で営業している本屋は事件から一年も経たないうちに閉店した。

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