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決断の境界線で

「もちろん!楽しみにしてるわ!」

スマホをテーブルに置き、アリスのメッセージを見つめる。

彼女は何を期待しているのだろう?新たな冒険へ出発するのか、それとも私が本当にゲームをやめてしまうのか?


キャラクター削除の考えは、朝のシャワーで感じた熱いお湯と冷たい水の急激な温度差のようなショックだ。一方では解放を求め、他方では「湖の守り手」としての責任の重さを感じている。


冷蔵庫を開けるが、食欲は湧かない。頭の中にはまだ巨大な石の番人や炎の魂喰らいのイメージが残っている。現実のプロジェクトや報告書の重圧も、このファンタジー世界と同じくらい圧迫感がある。

ばかげている!ゲームにこんなに影響されるなんて…


それでも、ヴェリディアン・レルムでの静かな釣りの日々が懐かしい。最初は単なる現実逃避だった。部長の終わらない要求や会社の政治、息苦しいオフィスから逃れるための避難所。湖畔で何時間も釣りをしていると、心が癒された。だが、いつの間にか私は次元の救世主になっていた。力を得、責任を負わされた。これはもはや楽しみではなく、第二の仕事のようだ。いや、本業より疲れ、危険な仕事だ。


夕食を作るのを諦め、ソファに倒れ込む。テレビをつけるが、画面に集中できない。


「リョウ、湖の守り手よ…あなたの使命は完了した。次元の調和は取り戻された」

頭の中で、ポータルの向こうからの謎の声が響く。


この言葉は終わりを告げるものか、それとも新たな始まりの予兆か?使命が完了したなら、なぜこんなに疲れているのか?なぜこの空虚感が消えないのか?


ゲームを削除すれば、この空虚は埋まるのか?それとも「湖の守り手リョウ」がいない喪失感を感じるだろうか?アリスやフィンとも別れなければならない。彼らは単なるキャラクターを超え、真の友達になっていた。


再びスマホを手に取る。画面のヴェリディン・レルムのアイコンが、挑戦するように私を見つめている。数時間前の冒険は、人生で最も非現実的でありながら、最も生き生きとした瞬間だった。あの時に感じた力、勇気、帰属感…現実ではめったに味わえない感情だ。


深くため息をつく。明日はゲームにログインする。だが何をするかはまだわからない。今夜、この二つの世界の間に吊り下げられた魂と共に、決断を下せるかもしれない。完全に離れて単純な釣り人の日々に戻るか(もはや単なるゲームだが)、あるいは「湖の守り手」としての重責を受け入れるか。どちらの選択にもそれぞれの重みがある。

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