表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/94

二つの世界の狭間の朝

布団を蹴り飛ばしてベッドから起き上がる。冷たいフローリングに足をつけた時、つま先にピリピリとした感覚が走る。

まるでまだ炎の国の溶岩の上を歩いているようだ。


洗面所に向かい、鏡に映った自分を見つめる。目の下には薄いクマ、顔には妙な疲労感。

しかしどこか内側に、新たな決意がきらめいている。


シャワーを浴びる。肌に当たる水は浄化の儀式のようだ。

熱いお湯は炎の国の灼熱を思い起こさせ、冷たい水の衝撃は湖の深淵を連想させる。

体を流れる水と共に、頭の中の疑問も形を成していく。

あれほどリアルだったヴェリディアン・レルムは単なるゲームだったのか?それとも私は完全に没入していたのだろうか?


タオルで体を拭き、カジュアルなTシャツとジーンズを着る。

キッチンで急いでコーヒーを淹れながら、釣り竿や剣、元素の心臓から遠く離れた現実に戻ろうとする。

今の最大の敵はプロジェクト報告書と、部長の尽きない要求だ。


デスクに座り、PCを起動する。画面の光が顔を照らすが、頭の中はまだ光と影の国にいる。

複雑な表やグラフを見ながら、魂喰らいとの戦いや番人の調和を思い出す。どちらの任務が難しいだろう?

PCのフリーズは、炎喰らいの攻撃と同じくらいイライラするものだろうか?


一瞬目を閉じる。あの静寂と安らぎが恋しい。

ヴェリディアン・レルムでの最初の日々――湖岸で釣りをしていた頃を思い出す。

竿を投げて何時間も待ち、魚が食いつく瞬間を感じ、静けさを味わっていた。

あの頃の最大の悩みは、釣れる魚のサイズだった。

ゲーム初期のあの穏やかさは、私をとても幸せにしてくれた。だが今は...


携帯が再び鳴る。顔がこわばる。

部長ではないことを祈りながら画面を見ると――アリスからのメッセージだった。


「リョウ、大丈夫?急にログアウトしたから心配してたわ」

メッセージを読んで胸が軽くなる。


思わず笑みがこぼれる。良かった、ゲーム外でも連絡先を交換していたんだ。

「大丈夫だよ、アリス。急用が入ってしまって。ありがとう」

素早く返信を打つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ