光と影の番人
「この扉…まるで意思があるみたい」
アリスが呟く。
「そう言えるだろう」
私は扉の表面で蠢く光と影の紋様を観察する。
影の守り手として、この扉から発せられるエネルギーを明確に感知していた。これは二つの相反する力の間に吊り下げられた、危うい均衡だった。
扉に手を当てる。掌から湖の純粋な調和のエネルギーが流れ出し、光と影の紋様と交わる。
フィンは両手の中で全力で輝き、紫の光が私の力をさらに増幅させる。紋様が私たちの手の下で生き返り、互いに踊り合うように見える。
扉は深く調和的な音を立ててゆっくりと開く。内部から流れ出る空気は清涼で、明るすぎず暗すぎない、完璧な均衡を感じさせる。
中へ踏み入れると、巨大な薄明かりの広間に出た。片側は眩いばかりの白光に満ち、水晶と輝く植物で埋め尽くされている。
もう片側は漆黒の闇に包まれ、深い影とシルエットが蠢く。両者の境界には、白と黒の結晶でできた巨大な柱がそびえ立ち、その頂点で半透明の球体が色を変えながら浮かんでいる。これが光と影の心臓に違いない。
しかし、広間の空気は張り詰めている。白光の中から、眩い翼を持った人影が現れる。
純白の光で構成されたその体は、ダイヤモンドのようにきらめく目をしていた。光の番人だ。
一方、闇からは巨大なシルエットが立ち上がる。深淵な影で形作られた体に、闇の中に光る瞳。影の番人である。
二人の番人は柱を囲むように対峙し、敵意に満ちた視線を交わす。その存在自体が、広間の均衡をさらに乱している。
「何者だ?この聖域を汚す者よ!」
光の番人の咆哮が反響する。
「調和を取り戻しに来た!だがお前たちはそれを歪めた!」
影の番人の唸りが地響きを立てる。
どうやら、他の番人とは違い、彼らは魂喰らいに穢されたわけではないらしい。この国の不均衡によって互いに敵対しているのだ。
光の番人が腕を振ると、眩い閃光が私たちを襲う。光は眼球を焼き、体内を貫くように熱く疼く。
同時に影の番人が暗黒の鉤爪を伸ばし、私たちを闇へ引きずり込もうとする。影は肌にまとわりつき、窒息するような冷たさを運んでくる。
アリスは素早く弓を構えるが、どちらを狙えば良いか迷っている。光と影の同時攻撃に晒される中、フィンは肩で必死に輝き、かすかな防壁を張るが、これほどの相反する力には苦戦している。
「こいつらは互いに戦っている!両方の注意を引きつけなければ!」
私は力を集中させる。
これはこれまでの戦いとは全く異なる。光と影を同時に制御し、滅ぼすのでなく、再び調和させねばならない。




