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炎に対する水の舞

これは単なる炎との戦いではない。炎そのものを調和させる戦いだ。

「下がれ!このままじゃ勝てない!」

アリスたちに叫ぶ。


火山の斜面に輝く赤い結晶に目を向ける。要素の国の紫の結晶と同じく、これらが炎喰らいを強化し、炎の国のエネルギーを吸い取っている。破壊しなければならないが、この灼熱の中で近づくことさえ困難だ。


脳裏に影の守り手の教えが浮かぶ。「水の流れを導け」――湖のエネルギーは水の本質だ。炎に対抗するには水の力を用いねばならない。だがここには水がない。


「フィン!水の精を凝縮させろ!奴らを冷却するんだ!」

フィンは指示を受けると肩から飛び立ち、私の胸元で回転し始める。

小さな体から放たれる紫の光が渦を巻き、大気中のわずかな湿気を集め始めた。これは最小の水分粒子さえ捕捉する能力だ。


炎喰らいが襲いかかる。溶岩の体から放たれる熱波が皮膚を焼く。

アリスが必死に矢を放つが、的へ届く前に蒸発してしまう。


フィンは全力で輝き続ける。集めた湿気が紫の光の中で濃縮され、一滴の水となる。これは普通の水ではなく、水の精髄そのものだ。この一滴がフィンの力と影の守り手のエネルギーと融合する。


手を伸ばし、水滴を炎喰らいへ投げつける。弧を描いて飛んだ水滴が命中した瞬間、爆発的な蒸気の渦が発生。

炎の怪物の体が一瞬色を失い、うなり声を上げて後退する。


「効いてる!水で無力化できる!」

アリスの目が希望に輝く。


作戦は決まった。フィンと共に大気から水滴を生成し、炎喰らいを弱体化させる。アリスは弱った敵を狙い撃つ役だ。


再び力を集中させる。フィンは掌に飛び込み、全エネルギーを注ぎ込む。さらに多くの湿気を集め、水の精髄へと変える。

次々と炎喰らいへ水滴を放つ。命中のたびに蒸気爆発が起こり、怪物たちは分散し熱を失っていく。


アリスが弱体化した炎喰らいを狙い撃つ。今度は矢が貫通し、敵は灰となって消散する。


最後の炎喰らいが消えた時、火山の赤い結晶に狙いを定める。これがこの世界の不均衡の根源だ。

フィンの助けで集めた水の精髄を結晶へ直接注ぐ。水滴が灼熱の結晶に触れると、鋭い蒸発音が響く。

結晶は熱を失い、赤い輝きを消してひび割れていく。最終的に粉々に砕け、冷えた滑らかな石だけが残った。


結晶の消滅と共に、炎の国の空気が変わり始める。空の紅色が薄れ、優しい橙色へ。溶岩の流れは緩やかになり、煙も減少する。大気が少しだけ呼吸しやすくなった。


次は火山の心臓部だ。この国の調和を完全に取り戻すため、最後の対峙が待っている。

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