大地の息吹と新たなる扉
「我が国が……本当に癒されている。どうやってこんな奇跡を?」
カイルは信じられない様子で周囲を見渡す。疲れ切っていた顔に、希望と活気が宿っていた。
「ただ調和を取り戻しただけさ」
掌にはまだ元素の調和が残っている。
影の守り手として、今やヴェリディアン・レルムを超え、より広大な均衡を感知できる。あらゆる元素、あらゆる世界がどう繋がっているのか――理解しつつあった。
神殿の奥に現れた新たな扉へと歩を進める。扉はもはや暗くなく、緑と青の鮮やかな輝きを放っている。
要素の国が取り戻した生命そのもののように。表面には風と大地と水の紋様が浮かび上がる。世界同士の調和の証だ。
扉が静かに開くと、眩い光が差し込む。外へ出た私たちが見たのは、生まれ変わった国の姿だった。
空は灰色の雲から解放され、紺碧に輝く。太陽の光が乾いた大地を温め、亀裂は徐々に塞がっていく。
枯れ木には新芽が吹き、花々が咲き誇り、甘い香りが漂う。干上がった川床には再び水が満ち、ささやかなせせらぎが聞こえる。
魂喰らいが残した穢れの痕跡は消え去った。空気は清浄で、風の唸りも脅威ではなくなっている。遠くの険しい山々さえ、陽光のもとでは穏やかに見えた。
「信じられない! ここは……もう楽園みたい!」
アリスが歓声を上げ、両手を広げる。
「我が国が……再び息を吹き返した」
カイルは膝をつき、地面に手を当てて目を閉じる。深呼吸する彼の表情には、言葉にできない安らぎがあった。
「この恩は決して忘れません、影の守り手よ。この国は貴方を永遠に記憶するでしょう」
振り向いた彼の目には、感謝の色が満ちていた。
フィンはカイルの肩に飛び乗り、嬉しそうにきらめく。彼もまた、国の再生を喜んでいる。
私は思う――これからどうなるのだろうと。要素の国での使命は果たされた。
だが古木は、他の世界の不均衡にも言及していた。影の守り手として、新たな導きを待っていた。
その時、眼前の空間にきらめく新たな扉が現れ始める。この国自体のエネルギーが生み出したかのような扉だ。
奥は霧に覆われて見えないが、どこか馴染みのない元素の気配を感じる。
この扉は、私たちを新たな世界へと招いている。要素の国の平穏を後にし、未知への旅が始まる時が来たのだ。




