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神殿の入口と風の番人

風と大地の神殿の陰鬱な威容の前に立ち尽くす。空は暗く染まり、紫電が周囲を切り裂く。

カイルの顔に浮かぶ不安が、事態の深刻さを物語っている。アリスは弓を強く握りしめ、視線は神殿の暗い入口に釘付けだ。

フィンは私の肩で落ち着きなく動き回り、彼の放つ微光が周囲の重苦しい空気をわずかに和らげている。


「ここが魂喰らいの心臓部だ。中にはさらに強力な存在が潜んでいる可能性が……それに、神殿自体の番人もいる。かつては我が国で最も高貴な精霊だったが、今は闇に支配されている」

カイルの声は嵐の轟音にかき消されそうになる。


神殿の巨大な門は苔に覆われ、無数の亀裂が走っている。表面には風と大地を象った紋様が刻まれているが、今は歪み、黒く濁っている。

扉から漏れるエネルギーが私の内臓を震わせる――あの影の存在の残した穢れよりも、さらに古く深い闇を感じた。


「覚悟を。この扉を開けたら、後戻りはできない」

私は釣り竿をしっかりと握り直す。


「信じてるよ、リョウ」

アリスは決意に満ちた表情で頷く。


フィンが低い唸り声を上げ、私の肩から飛び降りて扉へと近づく。小さな体で扉の表面に触れると、紫のエネルギー波が紋様を伝っていく。

歪んだ紋様が一瞬、フィンの光で浮かび上がるが、すぐに再び暗転する。フィンの力が、古代の封印と拮抗しているようだ。


扉の表面で微かな軋む音がし、重厚な扉が古びた音を立ててゆっくりと開いていく。内部からは冷たい湿気とともに、強烈な風の流れが押し寄せる。

この風は単なる気流ではない――霊的な力を帯びていた。


中へと足を踏み入れる。神殿内部は外観から想像していたよりはるかに広大だ。

中央には螺旋状に上空へと伸びる巨大な階段が浮かんでいる。階段は風の中に溶け込むように存在し、壁は気流によって形作られたような波打つ曲面だ。

天井を見上げると、そこには雲と雷が渦巻く巨大な空洞が広がっている。まさに風の神殿の心臓部と言える空間だ。


しかし、室内に満ちるエネルギーは明らかに異常だ。空気は竜巻の前触れのように張り詰めている。


その時、階段の中間地点から、風そのものを具現化したような巨大な人影が現れた。嵐の精霊と一体化した半透明の存在――

その目は渦巻く気流の色をしており、体は無数の風の渦で構成されている。これが風の番人だ。


「何者だ? この聖域を穢すとは、不届きな mortal(死すべき者)めが!」

番人の咆哮が空間全体を震わせ、嵐のような反響を生む。


「気をつけろ! 風の番人だ!」

カイルが剣の柄を握り締める。


番人は腕を振り下ろし、私たちに向かって猛烈な風の波を放つ。気流が体を押し戻そうとする。

アリスは必死に踏ん張り、矢を風に向けて構える。フィンは私の肩にしがみつき、その輝きで風防壁を形成する。カイルは剣を地面に突き刺し、耐えようとしている。


この番人は、これまでに出会った魂喰らいとは次元が違う。彼と戦うことは、風そのものと戦うようなものだ。

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