神殿への道と嵐の呼び声
カイルはこの廃墟の街の最後の守り手として、先頭に立ち道を案内する。
アリスは肩に弓を構え、警戒態勢。フィンはカイルの肩に乗り、時折きょろきょろと周囲を見渡す。
「風と大地の神殿へ続く道は容易じゃない。魂喰らいがそこら中に潜み、この国のエネルギーを糧に力を増している。それに、神殿に近づくほど、大気の状態も悪化していく」
彼の声にはまだ疲れが残っていたが、意志は固い。
私たちは進み続ける。
「この国はかつて、元素の純粋なエネルギーに満ちていた。風が大地を育み、大地が風に命を吹き込んでいた。だが魂喰らいが現れてから、その調和は崩れた。大地は干からび、大気は穢れた。我が国はゆっくりと死につつある」
ひび割れた大地を歩きながら、カイルは要素の国について詳しく語ってくれた。
彼の話は、私の中の影の守り手としての力をさらに奮い立たせる。これは単なる国の均衡の問題ではない――この国そのものの魂がかかっている。
ヴェリディアン・レルムの湖が味わった苦しみに似ているが、はるかに大規模なものだ。
道中、以前見た影の存在に似た、しかし風と大地の精気を吸い取って強化された、より強力な魂喰らいが襲ってきた。神殿の影たちよりも敏捷で危険だ。
黒い鉤爪を振りかざし、猛スピードで襲いかかる。
「こいつら、速すぎる!」
アリスが驚異的な速さで矢を放つ。矢は魂喰らいを貫くが、一時的に形を崩すだけだ。
「フィン、奴らのエネルギーを乱せ!」
私は叫ぶ。
フィンはカイルの肩から飛び立ち、紫の衝撃波を放つ。そのエネルギーが魂喰らいの動きを止め、体を震わせて一時的に力を弱める。
私はその隙に釣り竿を振るい、釣り糸で魂喰らいを捕らえようとする。捕らえた魂喰らいからエネルギーが伝わってくる。
彼らは風と大地の純粋なエネルギーを吸い取っていた。フィンの力と融合した釣り糸は、逆に魂喰らいのエネルギーを吸収できるようだ。
魂喰らいは弱り、やがて完全に消滅する。
暗黒の存在からエネルギーを吸い取り、消し去る――
これは影の守り手としての新たな能力かもしれない。
「信じられない、リョウ! 本当に消滅させたんだね!」
アリスが目を丸くする。
「こんな力は見たことがない」
カイルも驚きの表情を浮かべた。
幾体もの魂喰らいを退けながら、さらに前進する。神殿に近づくにつれ、空はさらに暗くなる。
遠くに、巨大な陰鬱な建造物が見えてきた。風と大地の神殿だ。
崩れかけてはいるが、不気味な威容を保っている。神殿の周囲には、空中に浮かぶ紫の雲と、地面には巨大なクレーターが無数に広がる。
風の唸りは、嵐の招きのように強まっていく。
「神殿まであと少しだ。あの場所のエネルギーは極めて濃い。最強の魂喰らいが待ち構えている」
カイルの声は硬い。
神殿の頂点から、紫の稲妻が地面に叩きつけられ、爆発音が轟く。
これはこの国の苦痛の現れだ。私たちの任務は、想像以上に困難なものになるだろう。




