新たなる囁きと予期せぬ呼び声
街へと戻る途中、広場では人々が普段通りの生活を送っているように見えたが、空気には妙な活気を感じる。
湖の精霊と結んだ絆が、周囲のエネルギーをより鋭く感知する能力を与えてくれたようだ。風に乗って聞こえるいくつかの囁きは、まだその意味を完全には理解できない。
守護者アラリックの店へ向かう。ドアは少し開いており、中からアラリックの声が聞こえる。
中に入ると、アラリックが街の古老ナンシーと話しているところだった。ナンシーの顔には不安の影が浮かんでいる。
「ああ、リョウ、アリス!ちょうど君たちの話をしていたところだ。ナンシーは最近、囁きの森で起きている奇妙な出来事を心配している」
アラリックはかすかに微笑んでいる。
「囁きの森?あそこはもう浄化したんじゃなかったの?」
アリスが眉をひそめる。
「普通の影の存在ではない。森の奥底から、これまで聞いたことのない不気味な音がする。木々が枯れ、植物が萎れている。まるで森自体が病んでいるようだ」
ナンシーはヴェリディアン・レルムの植物と自然について深い知識を持つ人物だ。彼女がこれほど心配するということは、事態が深刻なのだろう。
「それに、いくつかの村人が森の奥で奇妙な光る生物を見たと主張している。闇の存在は浄化したと思っていたが、どうやら完全ではなかったようだ」
アラリックは思慮深げだ。
私の心に、忘れられた神殿で見た闇の存在の最後の映像がよみがえる。闇の存在は封印したが、もしかしたら何かを残していったのかもしれない。あるいはこれは、湖の精霊を再び脅かす別の力なのだろう。
「湖の精霊も落ち着かない。その囁きが私を苛ませている。たぶん、あそこへ行く必要がある」
「じゃあ何を待ってるの?囁きの森に戻るべきよ!」
アリスは勢いよく頷く。
「リョウ、これは新たな使命だ。まだ何が待ち受けているか完全にはわかっていない。慎重になれ」
アラリックは心配そうに私を見る。
「心配するな、アラリック。準備はできている」
フィンが肩の上で目を覚まし、瞳を輝かせる。まるで森からの呼び声を感じているようだ。
外に出ると、空気は以前より冷たく、風も強まっている。囁きの森から聞こえるあの不気味な囁きは、今やよりはっきりとしている。




