湖畔の安らぎと友情のひととき
湖の守護者としての初日は、神殿での激しい出来事の後、不思議な静けさと共に始まった。ヴェリディアン・レルムの均衡は回復し、私に課せられた責任の重さは感じるものの、心は軽やかだ。
アリスとフィンと共に街に戻り、最初に向かったのは、全ての始まりの場所であるあの穏やかな湖畔だった。
夕暮れ時、湖面は金色と紫色に輝いている。空気は暖かく、そよ風が吹いている。釣り糸を湖に投げ入れ、糸が水に落ちる音が、冒険の喧騒を心から洗い流してくれる。
フィンは私の膝の上で満足げに鳴き、アリスは傍らに静かに座り、湖の平穏を眺めている。
「信じられないわよね?数日前まで普通の弓使いだった私が、今は湖の守護者の相棒だなんて。夢から覚めたみたい」
アリスは視線を湖の果てに向けたまま呟く。
「僕もただの釣り人だった、アリス。そして今は…」
私は微笑む。言葉を続けないが、彼女には伝わっている。
私たちの人生は、予想もしなかった方向へ進んだようだ。
フィンは私の膝から飛び降り、アリスの肩に乗る。アリスはフィンを優しく撫で、小さな体はさらに輝きを増す。
「この小さな相棒。本当に奇跡みたい」
「そうだね。彼の力がなければ、ここまで来られなかった」
アリスの言葉に頷き、私は笑みを浮かべる。
しばらく静かに座り、湖の安らぎを堪能する。釣り上げる魚は単なる獲物ではなく、この新たな始まりの象徴のようだ。
夜が更けると、湖畔に小さな焚き火を起こす。火を囲み、食事と温かいお茶を楽しむ。
アリスは今日あった面白い出来事を話し、私は時折笑いながら聞く。フィンは火の温かさにうとうとし、時折小さな寝息を立てる。
「これからどうするの、リョウ?湖の守護者としての任務は?」
アリスはくつろいだ様子で静かに尋ねる。
「まずは湖の均衡を保つことが最重要任務だ。だが湖の精霊は他の秘密も囁きかけている。ヴェリディアン・レルムにはまだ探検されていない場所や、解き明かされるべき謎がたくさん残っている」
「じゃあ、冒険はまだ続くわ!どこへ行くにしても、私とフィンは一緒よ」
アリスは明るく叫ぶ。
湖面に昇る月が私たちを包み込む。星空がきらめく。
この瞬間は、新たな友情と始まり、そして待ち受ける冒険への静かな誓いのようだ。疲れは希望へと変わる。
ヴェリディアン・レルムが私たちを待っている。




