生命の心臓と森の囁き
忘れられた神殿の第二の部屋で、巨大な切り株の上の古代碑文が私たちの前に横たわっている。フィンの輝きが碑文に刻まれた「生命」と「成長」の印を照らし出す。
今こそ、湖の生命力と繋がる時だ。アリスは私の傍らで静かに待ち、視線は碑文の印を追っている。
碑文に近づく。フィンの小さな前足はまだ印の上にある。
私はその傍らに手を置き、私たちのエネルギーが融合する。目を閉じ、意識を自然の生命エネルギーへと向ける。
遺言に記された「自然と一体となる」能力を思い出す。ここで、その能力をさらに高めなければならない。
内から湧き出るエネルギーがフィンの力と合わさり、碑文へと流れ込む。切り株が震え始め、刻まれた印がより鮮やかに明滅する。
部屋の壁を覆う樹根も微かに動き、まるで神殿の壁自体が息を吹き返したようだ。
源から放たれたエネルギーが旋律を奏で始める。鳥のさえずり、葉のざわめき、流れる水音が混ざり合ったような調べ。森の精霊が私たちに囁きかけているかのようだ。
フィンは私の肩で嬉しそうに跳ねる。小さな体が紫の光に包まれている。
今回はただ輝くだけでなく、周囲に小さな緑の葉を撒き散らしている。葉が碑文に触れると、印がさらに力を増す。これはフィンの新たな能力か?生命エネルギーを物理的な形に変換しているようだ。
碑文の印が完全に輝き出す。切り株からゆっくりと映像が浮かび上がる。湖と古代の森の繋がりを示す地図だ。
地図には三つのポイントが明示されている。これらは湖の生命力を支える他の「生命の心臓」に違いない。
映像が鮮明になるにつれ、源との絆が強まる。心の中で、ヴェリディアン・レルムの他の「生命の心臓」の位置がより明確になる。
遺言の地図が今、はっきりと理解できる。この新たな知識が、私の使命の範囲を広げていく。
繋がりが完結する。源からのエネルギーが静まっていく。
フィンはゆっくりと元の姿に戻るが、まだ微かに光っている。この体験が私たちの絆をさらに深め、強くする。
碑文から放たれたエネルギーが部屋の奥の扉へと流れる。扉が古びた軋み音と共にゆっくり開く。内側からは新鮮な土と水の香りが漂ってくる。ここが神殿の次の部屋だ。
「信じられないわ、リョウ!フィンって…あの小さなスライム、何でもできるの?」
アリスは驚嘆の眼差しで碑文と私を見つめる。瞳がきらめいている。
「どうやらそうらしい。彼は本当に特別な存在なんだ」
私は微笑む。
共に新しく開かれた扉へと進む。忘れられた神殿の秘密が一歩ずつ明らかになっていく。湖の心を浄化するという使命は、新たな次元を迎えようとしている。




