古の封印の解放
忘れられた神殿の巨大な扉の前に立つ。それぞれが異なる魂の源を表す古代の印が石の表面に刻まれている。
「決められた順序で、魂の源のエネルギーをこれらの印に導け」
遺言の指示が頭の中で反響する。
フィンが肩の上でそわそわし、アリスは弓を構え周囲を見張っている。
最初の印に近づく──古の森の紋章だ。
震える手を印の上に置く。目を閉じ、古の森で感じた穏やかなエネルギーに意識を集中させる。内から湧き上がる力が手を通して石へと流れ込む。
フィンが肩で輝き始め、そのエネルギーが私のものと混ざり合い、印へと注がれていく。
印が緑色に輝きだす。扉の表面に微かな振動が走る。
まるで古代の封印の一つが解かれたようだ。成功した。
次は二つ目の印──轟きの滝の紋章。
今度は自信を持って手を置く。心の中で滝の轟音とエネルギーを再現する。私のエネルギーはフィンの強まる輝きと共に印へと流れ込む。
印が青い光を放つ。扉はより明確に震え、低いうなり声を上げる。二つ目の封印が解けた。
「すごいわ、リョウ!扉が動いてる!」
アリスが囁く声には畏敬の念が込められている。
三つ目にして最後の印──霧の沼の紋章。
震える手を印に当てる。沼の深遠で神秘的なエネルギーが心を満たす。全ての力をフィンの強烈な輝きと合わせ、印へと注ぎ込む。
印が紫色に輝く。今度は扉が激しく揺れ、石同士がぶつかり合う。
軋むような音と共に、巨大な扉の中央に細い隙間が現れる。隙間は広がり、内部からは新鮮で湿った空気と甘い香りが漂ってくる。
「開いた!」
アリスが叫びながらも、弓を構えたまま待機している。
扉はゆっくりと内側へ開いていく。暗闇の中に古代の通路が現れる。
内部から放たれるエネルギーは、これまでとは違う強烈なものを感じさせる。ここはまさしく、忘れ去られた場所なのだ。
夜の闇が神殿の入り口をさらに神秘的に見せる。内部の様子は見えない。
しかし、内部から発せられるエネルギーは私を強く引きつける。湖の守護者たちの遺言の秘密が、今まさに目の前にある。
フィンは肩の上で嬉しそうにはねる。小さな体でこれほどのエネルギーを導いたにもかかわらず、疲れた様子は全く見せない。彼は本当に非凡な存在だ。
「準備はいいか?私が先に入る」
アリスに向き合う。彼女の顔には決意と少しの興奮が見え、私は微笑む。
「いつだって!何があっても、私はあなたの後ろにいるわ」
アリスはうなずき、弓をしっかりと握りしめる。
私たちは共に、開いた扉へと足を踏み入れる。忘れられた神殿の深奥が、私たちを待ち受けている。




